バスを乗り間違えた話【クウェート留学2週目】
9月某日。その日は授業がなかったが、大学で勉強しようと部屋を出た。
寮〜大学間は無料の送迎バスが出ているが、直接キャンパスまで連れて行ってくれるバスは少なく、だいたいは寮近くの停留所で一度乗り換えなければならない。
その日も停留所で降ろされ、大学まで行くバスに乗り換えようとした。
そばにいた運転手に英語で声をかける(ちなみに、タクシーやバスの運転手、飲食店の店員などはほとんどが移民で、少し意思疎通がしづらい)。
「ジャーミア(アラビア語で大学のこと)に行きたいんだけど」
すると運転手は不思議そうな顔で近くの運転手に「ジャーミアってどこのことだ?」というような会話をし始めた。この伝言ゲームが5人くらい続いたのち、一人が顔を明るくした。
「ジャブリーヤね! それならこのバスだよ」
ジャブリーヤ。たしかに語呂は似ている。クウェートでは方言か何かでジャーミアのことをジャブリーヤと呼ぶのか。私はそう納得してバスに乗り込んだ。
バスが発車して少したってから、経ってから、ふとGoogle map で「ジャブリーヤ」と検索してみた。
ジャブリーヤは地名だった。それも、私が行きたかったキャンパスから20km離れた場所の。
あとから知ったことだが、クウェート大学は各地にキャンパスが点在しており、ジャブリーヤは医学部キャンパスがあるエリアだったのだ。
私はバスに揺られながら思考を巡らす。今運転手に声をかけておろしてもらおうか?いったん目的地についたあと、タクシーで寮まで帰ろうか?
でも、ジャブリーヤ行のバスがあるということは、ジャブリーヤから寮までのバスも出ているはず。
実際、バスの窓には時刻表らしき数字が貼ってある。この時間に降ろされた場所で待っていれば帰れるはず!
結果、私はその時刻表(とおぼしきもの)に書かれた時間まで、周りをぶらぶらすることにした。
道路で黒猫ちゃんを見つけたり。
スーパーで怖すぎるシャンプーを見つけたり。
思えば、1人で外をうろつくのはその日が初めて。観光地のような場所ではなかったが、気の向くままに歩いて、少し現地人の気分を味わえたひとときだった。
そして、見事帰りのバスを見つけ、寮まで帰ることまでできた。めでたしめでたし。
ちなみに、授業は難しいがアットホームなクラスでなかなか気に入っている。教授のアラビア語はまだ1%くらいしかわからないが、なんとか食らいついていきたい。
それでは、来週も良い1週間になりますように。