見出し画像

タベノコシ、ダメ、ゼッタイ

この日訪れたのは日暮里にある『ザクロ』!
イラン・トルコ・ウズベキスタン料理のお店で、日曜月曜にはベリーダンスのショーを見られることでも有名らしい。

いちばんに薦められたのは「食べきれないコース」。挑発にしか聞こえないこのネーミングセンス、脱帽です。まんまと店主の策略に乗せられ、余すことなく食べ尽くしてやるぞの気持ちで注文してしまった。
諸事情によりお料理の写真は非公開だけど、鶏1羽、ラムのコフタ、豆カレー、お野菜の煮込み、ピクルスの盛り合わせ、パン、などなど赤字経営を疑ってしまうほど豪華なラインナップが熱々でやってくる。どれもスパイスの香りが立つ絶品で、煮込み系が好きな私にはクリティカルヒットだった。
ただしゆっくり味わっている暇は無い!!!次のお料理がジャンジャン運ばれてきて、あれよあれよという間に場を埋め尽くしていく。自分がこれをやる時が来るなんて思ってもみなかったけど、アニメの主人公がやるみたいに両手それぞれに持って食べた。右手コフタ、左手パン、アレおかわり来た、あ、はいじゃあ頂きます、右手コフタ、左手パンでカレー掬う、ピクルスも乗せとこ、みたいな。ふぁー書いてて息切れしそう笑。

そして隣の席にも同じくフードファイトをしている紳士淑女が計3名。インドネシア人のマダムと、夫さん、そしてその社長さん。文字通り同じ釜の飯を食べていると思ったら戦友のようにも見えてきて「とんでもなく多いですよねぇ」って話しかけてみた。結構盛り上がって身の上話なんかも聞いたりして。「食べきれないコース」の引力、すごい。
そのあとは皆さんと連絡先を交換してサヨナラし、食べきれない分はパックに詰めてお持ち帰り!わあい良い仕組みだ。おうちで温め直して美味しくいただきました。

ちなみにこの日ダンスショーは無かったのだけど、店主さんのパフォーマンスが凄かった。入店するやいなや口説かれ、食事中に指名されてはトルコの伝統衣装を着せられ、同行者を私の奴隷に仕立て上げて場の笑いを掻っ攫い、という感じで大変愉快。お客さん全員の目を、耳を、舌を惹きつけてしまう名物店主アリさん。大好きです、ごちそうさまでした。


パキスタンから帰ってきたばかりの知人とのお出掛けだったのだけど、話を聞けば聞くほど来世は男の子がいいなぁと思う土産話ばっかりだった。私だって知らない土地で初めて会う人たちと川の字で寝たいし、毎週変わる身体のコンディションに振り回されずに好きな場所を歩きたい!!!!!!

でも実際そういう人生を謳歌している女性は沢山いるでしょ?と言われればまあそう。彼女たちを見ていると自分にもできそうな気がして根拠のない自信が湧いてくることがあるけど、それはその人が今「生きて」発信をしているからであって浮かれてはいけないとも思う。
彼女たち自身が「バックパッカー」と名乗っていたり「女子一人旅」とタイトルをつけて動画投稿したり、女性であることを全面に出して発信していることから察するに、異国を歩くことにおいて「女性であることは」良くも悪くも目立つ。最悪の失敗談は本人から聞き得ないことを思うと、私の性格上やっぱり少し臆病になってしまうことに気がついた。

仏教的な考え方かもしれないけど生き物の身体は借り物の容器みたいなものだと思ってるので、借りてる容れ物が繊細だってわかってるとそれに無理をさせるのが憚られる。できるだけの事をやってやりたいと企んではいるものの、自分だけの自分じゃ無いと分かってるからどうしてもストップがかかるラインがあってもどかしい。時折お金をかけてカバーするという選択肢も出現するけど、それはそれでまた苦しかったりする。

人生も食べきれないコースなんでしょうか。自分でそういうコースに仕立て上げちゃってるのかな。
あれが実はこっそり「持ち帰れるコース」だったみたいに、一見味わい尽くすのが難しそうなこともどこかで堪能するチャンスが来たらいいなと、欲張りな私はいつも考えてる。

2024/05/11 sat.
加筆修正 2024/11/06 wed.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?