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紡いだことばたち。
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2020年4月の記事一覧

詩 25

詩は呼吸する

春の風が
波紋を広げる
池のほとりで
散っていく花びらを髪飾りに

詩は踊っている

一心不乱に

朝日がその横顔を
金色に染めて

詩は深く、深く呼吸する

詩 24

滔滔と流れていく日常

朝方
吐き出しかけた言葉を
夜にはひとり
弔っている

窓を開ければ
呑気な日差しが差し込んできて
一瞬、混乱してしまう

先の見えないトンネルに
行き場を無くした怒りが
満ちていく

退屈は感覚を麻痺させる

皆同じ顔をして
その怒りが
もう誰に向けられているのかもわからないまま
文字を打つ手は滑り出し
止められない

ゆっくりと閉じていく世界

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詩 23

空はどこまでも青く
無邪気に私を誘う

世界の異様さとの
コントラスト

春の匂いが鼻をかすめる

ああこれは
濃い
命の匂いだ

詩 22

弦を弾く指先
夜の呼吸に耳を澄ます
内側で、鳴り響く音

言葉は静かに強く
明日を紡ぎ出す
生きるために
守るために

「うちで踊ろう」
離れていても
音で繋がる

扉を閉じても
世界は広がる
呼応していく命が、明日を繋ぐ

何処にいても、僕らきっと
「重なり合えそうだ」