講義の予習用資料

第1日前半分
〇 使用ケース
 12月決算の東証一部上場企業2社の有価証券報告書(2018年12月期)
〇 課題
 (1) 2019年3月31日時点の株価(終値)を基に、PER、PBR、ROE、キャッシュ・フローの動向等を考慮の上、投資対象としてどちらの株式が適切かを検討してください。
 (2) 同じ材料を用いて、それぞれの会社・株価について、同業他社との比較を行った上で、それぞれの株式の投資の適否について検討してください。

第1日後半分 課題
・  業種の異なる5銘柄を(どのような基準でも構わないので)選ぶ
・  2018年6月1日の終値で、選択した5銘柄を(売買単位を無視し)同金額ずつ購入したものと想定する
・ 上記5銘柄のポートフォリオの動きと日経平均株価またはTOPIXの値動きを比較(2019年5月31日まで)する

 この場合において、(1) ポートフォリオと日経平均またはTOPIXのパフォーマンスはどちらがよかったか、(2) 週次リターンの標準偏差で観察したリスク(※)はどちらが大きかったか、の2点を観察し、その観察結果から銘柄選択や分散投資についてどのようなことが言えるか。

(※)毎週末ごとの(実現)収益率を計算し、その標準偏差をエクセル等を用いて計算すればよい。可能であれば、標準偏差の年率換算(週次のリスクであれば52の平方根倍すれば、年率換算できる)

第2日前半分
〇 使用ケース
 直近発行された個人向け社債2銘柄の資料(後日公開)
〇 課題
 両債券の利回り(表面利率)の差はなにによって生じているのかを検討したうえで、どちらの債券が投資対象として適切かを論じて下さい。

第2日後半分
〇 使用ケース
 (1) JCR、S&P、ムーディーズの格付け別デフォルト率(後日公開)
 (2) 日本証券業協会の格付け/利回りマトリックス(後日公開)

〇 課題
 格付け会社から「投資適格ではない」「投機的」とされる格付けを付されている社債、あるいはそのような格付けを付された会社が発行する社債を一般的にジャンク債と呼ぶ。ジャンク債は、より安全性が高いとされる他の債券(国債や、投資適格の格付けが附与された社債)などと比較すれば利回りが高いが、それは、そうでなければ(合理的な投資家は)誰もジャンク債など購入しないからである。このような状況を踏まえた上で:

・  ジャンク債1銘柄に投資することは個人投資家にとって適切かどうか
・ では、ジャンク債100銘柄に投資することは個人投資家にとって適切かどうか
・ どのような場合に、ジャンク債への投資は避けるべきなのか(逆に、どのように投資すればジャンク債への投資は適切なのか)

を検討してください。また、その分析が、ジャンク債ほどではないものの、格付けがトリプルAではない社債にどのように応用できるのかについても考えてください。

第3日前半分
〇 使用ケース
 オーストラリア、ブラジル、トルコ、各国中央銀行の金融政策決定会合プレス発表文(後日公開)
〇 課題
 (1) 各国中央銀行の声明から、中央銀行が金利の誘導目標を決める際に重視している要素について述べてください
 (2) 高金利通貨の金利が高い理由はなんでしょうか
 (3) インフレとはどのような現象で、それが当該国建て通貨の投資にどのような影響を与えるのか検討してください
 (4) 円は金利が低い、あるいはマイナスなので、外貨での投資のほうが有利と言えるでしょうか。

第3日後半分 課題
 (1) 日本の消費者物価指数(http://www.stat.go.jp/data/cpi/1.htm)と、オーストラリアの消費者物価指数(http://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/mf/6401.0)とを比較した上で、オーストラリアと日本のインフレ率の差から想定される、1年後の豪ドル/円の為替レートの水準はいくらでしょうか。
 (2) 日本の国債の利回り(http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/jgbcm.csv)と、オーストラリアの国債利回り(http://www.rba.gov.au/statistics/tables/xls/f02d.xls)とを比較した上でオーストラリアと日本の金利差から算出される、2年後の豪ドル/円の理論為替レートの水準はいくらでしょうか
 (3) 円資金を持っている日本の投資家が、2018年5月31日にオーストラリアの5年国債を購入し、2019年5月31日に売却した場合の損益と、同じ金額を日本の5年債(http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/data/jgbcm_all.csv)に投資していた場合との得失はどうなるでしょうか。必要な場合には、オーストラリアの4年債の利回りは3年債と5年債の平均と考えてよく、また、表示されている利回りは単利と考えてください。さらに、2018年5月31日時点では、両国の国債の利回りと表面利率とが一致していたと想定してください。

(※)債券の価格(額面100円または豪ドルあたり、円または豪ドル)から利回り(%)を計算する式は:{表面利率(%)+(100-価格)÷償還までの年数}÷価格×100、これを価格について解くと:債券の価格(100円または豪ドルあたり、円または豪ドル)={100+(表面利率(%)×償還までの年数)}÷{100+(利回り(%)×償還までの年数)}となります。

第4日前半分
〇 使用ケース
 投資信託2銘柄の交付目論見書(後日公開)

〇 課題
・ 両投資信託の過去のパフォーマンスを比較し、その差が生じた理由について検討してください。なお、パフォーマンスの比較に際しては、可能な限り、分配金についても考慮をしてください。また、比較をする上では、たとえば、比較のための開始時期を同時にするといった工夫も考えられるでしょう。(.csvファイルの場所は後日公開)
・ 両投資信託のシャープ・レシオ(※)を計算・比較し、大きな差があった場合にはその差の源泉について検討してください。
・ 両投資信託の販売手数料、信託財産留保額、運用管理費用について、その差が生じる理由を考えてください。
・ 運用会社の知名度が投資信託の銘柄選択に関連すべきか否かを検討してください。

(※) シャープ・レシオとは「(実現した)リスク」に対して、「(実現した)リターン」がどの程度の割合であったかを示す尺度。高いリターンは高いリスクを取った結果のはずなので、「リスク1単位あたりのリターン」という形で、高いリスクで高いリターンを実現した人と、低いリスクで低いリターンしか実現できなかった人とを比較できるようにしたもの。
 具体的には、「超過リターン」を「超過リスク」で割って求める。超過リターンとは「無リスク金利を上回るリターン」、超過リスクは「無リスク金利を上回るリスクの標準偏差」を用いる。

第4日後半分 課題
 日本株式を対象にアクティブ運用を行っている投資信託を(使用ケース以外から)1つ選び、その投資信託を2018年6月1日に購入して2019年5月31日まで保有していた場合と、日経平均株価やTOPIXの動きとの違いを観察したうえで、(1) ポートフォリオと日経平均またはTOPIXのパフォーマンスはどちらがよかったか、(2) リターンの標準偏差で観察したリスクはどちらが大きかったか、の観点から、アクティブ運用を行う投資信託について、選択の方法を検討してください。なお「特に理由もなく」選ぶというのは可としますが、過去のパフォーマンスが好いものを選択するのであれば「2018年6月1日までのパフォーマンス」を用いることのみ可とします(つまり、直近のパフォーマンスが好いものを選ぶことは不可とします)。

・ 参考となるウェブサイト
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/funds/
http://www.nikkei.com/markets/fund/


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