Roche 2024Q2

はじめに

Roche (ロシュ) はスイスを拠点とする世界的な製薬・診断薬メーカーであり、医薬品や診断ツールの開発と販売を行っています。同社の2024年上半期(HY 2024)決算報告書に基づき、財務実績、製品売上、主要な開発事項、そしてパイプラインについて詳しく見ていきます。

財務概要

  • 総売上高: 298億CHF(前年同期比5%増加)

  • コア営業利益: 112億CHF(前年同期比11%増加)

  • コアEPS: 10.23 CHF(前年同期比9%増加)

  • IFRS純利益: 66.97億CHF(前年同期比4%減少)

分野別売上

主要分野ごとの売上高と前年同期比の増減は以下の通りです。

  • 製薬部門

    • 総売上: 226億CHF(前年同期比5%増)

    • オンコロジー: 96億CHF(前年同期比4%増)。Perjeta 乳癌治療薬 19億CHF(2%減)、Tecentriq 抗PDL1抗体 18億CHF(2%増)、Phesgo 乳癌治療薬 8億CHF(60%増)、Polivy B細胞リンパ腫 5.1億CHF(54%増)など。Phesgo、Polivyは過去の抗体薬のブレンド品。

    • 神経科学: 46億CHF(前年同期比13%増)。Ocrevus 多発性硬化症治療薬 34億CHF(+8%)、Evrysdi I型脊髄性筋萎縮症治療薬 8.3億CHF(+25%)が成長を牽引。

    • 免疫学:30億CHF(前年同期比1%増)。Actemra 関節リウマチ等 12億CHF(+3%)、Xolair  喘息等 11億CHF (+10%)

    • 眼科学:19億CHF(前年同期比54%増)。Vabysmo 滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫 18億CHF (+93%)。

  • 診断薬部門

    • 総売上: 72億CHF(前年同期比4%増)

    • コアラボ: 基盤事業の強力な成長(+10%)がCOVID-19関連製品の減少を上回る。

全体的にパテント切れで苦しんでいますが、Vabysmoの成功が大きいです。Vabysmoは潜在的な適応患者数も多いのでさらに売上の伸びが期待できそうです。

主要な開発

2024年度前半に、Rocheは以下のような重要な開発を報告しました。

  • 新薬承認: Vabysmo(プレフィルドシリンジ)、Susvimo(適応拡大)、PiaSky(PNH治療薬、新規)、Ocrevus(皮下注)などがUSやEUで承認を取得。

  • 臨床試験結果: ColumviがB細胞リンパ腫患者における生存率を41%向上させる結果を示し、承認申請へ。

また、以下のような特筆すべき開発の進捗がありました。

  • 抗肥満薬:CT-388(注射)、CT-996(経口)のPh1が終了。2024年中にPh2試験結果を発表予定。

  • その他:inavolisib (乳癌、登録)、Gazyva(ループス腎炎、適応拡大、Ph3)、tiragolumab (非小細胞肺がん、Ph3)。

パイプラインの分析

総数: 124プロジェクト
Phase 1: 54プロジェクト
Phase 2: 28プロジェクト
Phase 3: 42プロジェクト

オンコロジー: 60プロジェクト
神経科学: 18プロジェクト
免疫学: 18プロジェクト
眼科学: 10プロジェクト
感染症:7プロジェクト
心血管・代謝: 5プロジェクト
その他:6プロジェクト

オンコロジーを中心としたパイプラインです。RNA薬や抗体薬、低分子薬、タンパク質、細胞と幅広いモダリティの開発を進めていて今後も期待がもてそうです。

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