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武田薬品工業株式会社(Takeda Pharmaceuticals)2024年第3四半期の財務とパイプライン概要
武田薬品工業株式会社(Takeda Pharmaceuticals)2024年第3四半期の財務とパイプライン概要
はじめに
武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)は、グローバルなバイオ医薬品企業として、消化器疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経科学)、希少疾患、血漿分画製剤、ワクチンなどの領域で事業を展開しています。本記事では、2024年度第3四半期(2024年10月〜12月)の財務実績およびパイプラインの進捗を詳しく解説します。特に売上を牽引した主要製品のパフォーマンスに焦点を当て、今後の展望について考察します。
財務概要
2024年度第3四半期における武田薬品の業績は以下の通りです:
総売上収益:3兆5,282億円(前年同期比 +9.8%)
営業利益:4,175億円(前年同期比 +86.3%)
税引前当期利益:2,824億円(前年同期比 +181.5%)
純利益(親会社の所有者持分):2,110億円(前年同期比 +43.5%)
基本的1株当たり利益(EPS):133.71円(前年同期比 +42.1%)
営業キャッシュフロー:8,350億円(前年同期比 +90.8%)
調整後フリーキャッシュフロー:5,683億円(前年同期比 +1,466.3%)
また、通期の業績予想は上方修正され、売上収益は4兆5,900億円(前年比 +2.5%)、営業利益は3,440億円(前年比 +29.8%)と見込まれています。
セグメント別売上
1. 消化器系疾患(Gastrointestinal & Inflammation)
売上高:3,441億円(前年同期比 +1.4%)
主要製品の売上実績
エンタイビオ (ENTYVIO):2,258億円(前年同期比 -0.8%)
ガテックス/レベスティブ(GATTEX/REVESTIVE):311億円(前年同期比 +28.0%)
タケキャブ (VOICINTI):347億円(前年同期比 +10.8%)
2. 希少疾患(Rare Diseases)
売上高:1,904億円(前年同期比 +3.8%)
主要製品の売上実績
タクザイロ:570億円(前年同期比 +15.1%)
アドベイト:312億円(前年同期比 -9.8%)
アジンマ(ADYNOVI):248億円(前年同期比 △7.2%)
3. 血漿分画製剤(Plasma-Derived Therapies, PDT)
売上高:2,485億円(前年同期比 +1.7%)
主要製品の売上実績
免疫グロブリン製剤:1,850億円(前年同期比 +4.8%)
アルブミン製剤:350億円(前年同期比 +21.0%)
4. オンコロジー(Oncology)
売上高:1,434億円(前年同期比 +18.4%)
主要製品の売上実績
アドセトリス(ADCETRIS):314億円(前年同期比 +4.7%)
ニンラーロ(NINLARO):240億円(前年同期比 +17.7%)
アイクルシグ(ICLUSIG):194億円(前年同期比 +34.6%)
5. ニューロサイエンス(Neuroscience)
売上高:1,419億円(前年同期比 -1.6%)
主要製品の売上実績
VYVANSE/ELVANSE:844億円(前年同期比 -2.6%)
トリンテリックス(TRINTELLIX):340億円(前年同期比 +16.4%)
アデロールXR(ADDERALL XR):76億円(前年同期比 -18.3%)
6. ワクチン(Vaccines)
売上高:118億円(前年同期比 +0.7%)
主要製品の売上実績
Qdenga(デング熱ワクチン):101億円(前年同期比 +162.5%)
作用機序
期待されるパイプライン
消化器疾患領域
TAK-279/Zasocitinib:TYK2阻害薬。乾癬を対象にした第III相試験が行われています。
TAK-227/ZED-1227:トランスグルタミナーゼ2阻害薬。セリアック病を対象にした第II相試験が行われています。
TAK-062/Zamaglutenase:グルテン分解酵素。セリアック病を対象にした第II相試験が行われています。
神経疾患領域
TAK-861/oveporexton:オレキシン2受容体刺激薬。ナルコレプシーを対象にした第III相試験が行われています。
オンコロジー領域
TAK-121/rusfertide:ヘプシジンmimetic。鉄の吸収を抑制します。真性多血症を対象とした第III相試験が行われています。
結論と今後の展望
武田薬品の2024年第3四半期は、オンコロジーおよび希少疾患領域の強い成長に支えられました。屋台骨であり、これまで順調に売り上げを伸ばしてきたENTYVIOが前年同期比で売り上げを減らしており今後の動向が注視されます。
一方、パイプラインは豊富で、中でもセリアック病の治療薬TAK-227/ZED-1227の成功が期待されます。セリアック病には現在治療薬が存在しません。人口の1%がセリアック病を有しているとも報告されており、Takedaは大きな市場を手にいれることになります。
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