ファイザー(Pfizer)2024年第3四半期の財務とパイプライン概要

はじめに

ファイザー(Pfizer)は、医薬品、ワクチン、および抗ウイルス薬を通じ、世界中の患者の健康改善に寄与するバイオファーマ企業です。本記事では、2024年第3四半期の財務パフォーマンスとパイプラインの進捗を概説し、投資家にとってのファイザーの今後の展望を明確にします。今回の報告は、COVID-19製品と非COVID製品に分け、主要製品セグメントごとの売上高に焦点を当てています。

財務概要

ファイザーは2024年第3四半期に、前年同期を大きく上回る成長を記録しました。

  • 総収益: 177億ドル(前年同期比+32%)

  • 純利益: 44.65億ドル(前年同期は赤字2.38億ドル)

  • 1株当たり利益 (EPS): 調整後希薄化EPSは1.06ドル(前年同期は-0.17ドル)

  • コスト削減プログラム: 2024年末までに少なくとも40億ドルのコスト削減達成を見込む 。

セグメント別売上

  1. COVID-19製品

    • Paxlovid: COVID-19治療薬として27億ドルの売上を達成(前年同期比で+約2.5億ドル増加)。米国政府の戦略的備蓄向けの供給分も含む。

    • Comirnaty(COVID-19ワクチン): 14億ドルで、米国市場での新型ワクチンの早期承認が収益を支えました 。

  2. 主要製品(COVID-19以外の製品群)

    • Oncology(がん治療薬):

      • Xtandi(前立腺がん治療薬): 8.54億ドル(+28%)、2023年第4四半期に追加適応を取得した影響で需要が高まる。

      • Talzenna: 7,500万ドル(+77%)、Xtandiとの併用による前立腺がんでの全生存期間延長効果が承認されました。

      • Lorbrena(ALK陽性肺がん治療薬): 5,400万ドル(+31%)、新たな患者の継続的な増加により成長 。

    • 循環器領域:

      • Eliquis(血栓症治療薬): 27億ドル(+9%)、米国や欧州市場での市場シェア増加が要因。

    • 中枢神経系:

      • Nurtec ODT/Vydura(片頭痛治療薬): 3.26億ドル(+45%)、米国と一部の国際市場での新規需要が成長を促進 。

パイプラインの進捗

  1. Oncology(がん治療)

    • Talzenna + Xtandi: TALAPRO-2試験で前立腺がん患者の全生存期間延長が確認され、臨床的な価値が強化。

    • Braftovi + Mektovi: BRAF V600E変異を有する転移性非小細胞肺がんでの治療効果が長期追跡試験で確認され、ESMO 2024で発表 。

  2. ワクチン

    • Prevnar 20: 米国で成人50歳以上への使用が推奨され、感染予防範囲が拡大。

    • Lyme病ワクチン候補(VLA15): 北米および欧州で最も一般的な血清型6種類をカバーするフェーズ3試験中のワクチン 。

  3. 抗感染薬

    • Ibuzatrelvir(次世代COVID-19経口薬): 高い抗ウイルス活性を示し、近くフェーズ3試験を開始予定。

  4. 炎症・免疫領域

    • Ritlecitinib(LITFULOの新適応としての尋常性白斑治療薬): フェーズ3試験が進行中で、適応拡大が目指されています 。

業績と展望

ファイザーは、がん治療薬や循環器、神経科学領域での堅調な成長を背景に、2024年の収益ガイダンスを引き上げています。収益は610億~640億ドル、一株当たり利益は2.75~2.95ドルを見込んでおり、COVID-19製品の需要が予想以上に安定していることや新製品の拡販が好調であることが寄与しています。また、コスト削減プログラムの進展により、利益率向上も視野に入れられています 。


結論と今後の展望

2024年第3四半期にファイザーは、COVID-19治療薬・ワクチンの高需要、がん治療薬や循環器系製品の成長により、堅実な収益基盤を構築しました。今後もリーダーシップ強化と新薬開発を進め、長期的な株主価値向上を目指しています。

この記事はPfizer社のearnings reportをもとにChatGPTが作成したものです。

筆者追記:個人的には、がん悪液質 (cachexia) に対するGDF15抗体 (ponsegromab) の臨床試験が目にとまりました。N Engl J Med. 2024 Sep 14. doi: 10.1056/NEJMoa2409515.では、2相試験の結果が報告されており、食欲の回復、体重の回復、筋肉量の増加が認められています。がんを「やっつける」治療が発展することも重要ですが、どの新薬も数ヶ月程度のPFS延長に留まり限界に達しつつあるように思います。
がん患者の苦しみをとる、生活の質を上げる薬物の開発がうまく進むことを祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?