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2024年にFDAで承認された新薬のまとめ

(2023年はこちら

2024年には50品目の薬剤がFDAに新規承認されました。うち日本でも承認済みのものは8品目です。PMDAが遅いのではなく、FDAが迅速承認制度を利用して他に治療手段がない疾患に対する治療薬の承認に積極的になってきているように感じました。

日本では政治的な思惑の絡んだ医薬品の承認について批判を浴びることもあった迅速承認制度ですが、他に治療手段のない希少疾患に対しては躊躇せず承認していく姿勢があっても良いのではないかと感じます。

2024年にFDAで承認された医薬品のリストと日本での承認状況

腫瘍領域(抗がん薬)の承認が13個(26%)と最も多くなっています。全て分子標的薬で、特定の遺伝子変異を有するがんが適応となる薬剤が増えています。ADC(抗体薬物複合体)やCAR-T、T cell engagerなどの新しい技術の開発も進んでおり、今後も分野の発展が期待されます。

次いで希少疾患に対する治療薬の承認が10個を占めています。Crenessity(先天性副腎過形成)やMiplyffaAqneursa(ニーマン・ピック病)など、他の治療手段が限られた疾患に対する新薬は非常に頼もしいです。

腫瘍、希少疾患領域の承認が多いのは昨年に引き続きですが、今年は免疫領域、循環器領域の承認が昨年度より多くなりました。

免疫領域の新薬は、抗TNFαが代表的な炎症全体を抑制する薬剤から、より特異的に疾患や症状の原因となるサイトカインや細胞内シグナルを標的とする薬剤へと、世代交代が進んでいます。自己免疫疾患だけでなく、喘息アトピー性皮膚炎などアレルギー領域の新薬も増えています。

精神・神経領域の新薬は減少しましたが、Cobenfyの登場は、統合失調症の患者さんにより副作用の少ない治療をもたらす可能性があり、どの程度普及が進むのか、長期予後も含め興味がもたれます。

昨年最もアクセス数が多かったのはNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療薬のREZDIFFRAでした。昨年はNASHだけでなく原発性胆汁性胆管炎治療薬のLIVDELZIIQIRVOなど、肝疾患に対する新規治療薬の当たり年でした。

本ブログではFDAに承認された薬剤を取り上げていますが、日本(PMDA)に承認された新薬のうち、FDAでは未承認の薬剤について簡単に整理しました。

2024年にPMDAで承認された日本独自の医薬品

本年もなるべく多く・早くFDAから新規承認された薬剤を紹介していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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