XOLREMDI (mavorixafor)がWHIM症候群の治療薬としてFDAに承認された
XOLREMDI (mavorixafor)がWHIM症候群の治療薬としてFDAに承認されました。
WHIM症候群
WHIM症候群は、CXCR4遺伝子の機能獲得変異によって引き起こされる免疫不全疾患で、常染色体顕性遺伝の形式で遺伝します。WHIMはこの疾患の臨床像の特徴であるWarts (疣贅)、Hypogammaglobulinemia (低ガンマグロブリン血症)、recurrent bacterial Infections (易感染性)、Myelokathexis (骨髄過形成)の頭文字から名付けられています。
この疾患では白血球の骨髄から血液への移動が障害されるため、患者は慢性的で重度な好中球減少症、リンパ球減少症、単球減少症、低ガンマグロブリン血症、骨髄過形成を示します。好中球をはじめとした免疫細胞の減少により、患者は一般細菌やウイルスに対して感染しやすくなり、ヒトパピローマウイルス感染による疣贅、重篤な感染症、時には悪性腫瘍のリスクが高まります。
Xolremdi(mavorixafor)とは
Xolremdiは、X4 Pharmaceuticalsが開発したCXCR4受容体の拮抗薬であるmavorixaforを有効成分とする経口薬です。2024年にFDAに承認され、12歳以上のWHIM症候群患者の治療に使用されます。主な作用は、成熟好中球とリンパ球の循環数を増加させることです。
作用機序
マボリキサフォルは、CXCR4受容体とそのリガンドであるストローマ由来因子-1α(SDF-1α)/CXCL12の結合を阻害します。WHIM症候群の患者では、CXCR4遺伝子の変異によってCXCL12に対する応答が増強され、白血球が骨髄に留まることが問題となります。マボリキサフォルはこの反応を抑制し、好中球とリンパ球を骨髄から末梢血液循環に動員します。
臨床試験
マボリキサフォルの有効性と安全性は、52週間にわたるランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験で評価されました (NCT03995108) 。この試験には、12歳以上で絶対好中球数(ANC)が400/μL以下のWHIM症候群患者が参加しました。主要評価項目は、24時間内におけるANCが500/μL以上の時間(TATANC)であり、マボリキサフォル群では平均15.0時間、プラセボ群では2.8時間という結果でした。また、絶対リンパ球数(ALC)が1000/μL以上の時間(TATALC)も評価され、マボリキサフォル群では平均15.8時間、プラセボ群では4.6時間でした。
試験結果では、マボリキサフォルは白血球数、ANC、ALCの増加を示し、年間感染率はプラセボに比べて60%減少しました。また、総感染スコアは40%減少し、感染頻度、重症度、持続時間および抗生物質の使用も減少しました。治療による重篤な有害事象は報告されておらず、全体的にマボリキサフォルはWHIM症候群患者において良好な耐容性を示しました。
まとめ
Xolremdi(マボリキサフォル)は、WHIM症候群の新たな治療オプションとして、患者の白血球数を増加させ、感染リスクを減少させる効果が示されています。これにより、WHIM症候群患者の生活の質を向上させることが期待されます。FDAの承認を受けたこの薬剤は、既存の治療法に加えて、より包括的な治療アプローチを提供します。
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