Gilead Sciences 2024年度Q2

Gilead Sciences (GILD) は、2024年8月8日に2024年第2四半期の決算報告を発表しました。

財務情報

  • 売上高 : 69億ドル(+5% YoY)。Veklury(レムデシビル)を除くと、売上は67億ドル(+6% YoY)。

  • 営業利益 (Operating Income): 32億ドル(Non-GAAP, +43% YoY)。

  • 営業利益率は47%と、前年同期の35%から大幅に改善しました。

  • EPS (Earnings Per Share): 2.01ドル(Non-GAAP, diluted EPS, +50% YoY)

その他重要な財務情報

  • CymaBayの買収:2024年6月30日をもってCymaBayの買収を完了しました(39億ドル)。原発性胆汁性胆管炎(PBC)治療薬であるseladelparがパイプラインに加わりました。

分野別売上

HIV分野:47億ドル(+3% YoY)

  • Biktarvy: 32億ドル (+8% YoY)。

肝疾患分野:8.32億ドル(+17% YoY)

  • Sofosbuvir / Velpatasvir (HCV治療薬): 4.7億ドル (+12% YoY)。

  • Vemlidy (HBV治療薬): 2.4億ドル (+11% YoY)。

オンコロジー分野:8.41億ドル(+15% YoY)

  • Yescarta (B細胞リンパ腫、CAR-T): 4.14億ドル(+9% YoY)

  • Tecartus (B細胞ALL, マントル細胞リンパ腫、CAR-T): 1.07億ドル(+21% YoY)

  • Trodelvy (乳癌、膀胱癌他): 3.2億ドル(+23% YoY)。

Veklury (COVID19治療薬):2億1400万(-16% YoY)。

主要な開発

HIV領域

  • Lenacapavir: Lenacapavirの年2回投与によるHIV感染予防作用についてcisgender女性に対して行われたPURPOSE-1試験において100%の有効性を示しました。えげつない効果で、人類と科学にとっては大勝利といえるかもしれませんが、開発の方向性によっては同社のその他の抗HIV薬とのカニバリが生じそうです。Gileadは開発した薬物の効果が高すぎて患者数(売上先)を減らしてしまった前科があります(HCV)。

肝疾患領域

  • Seladelpar: CymaBayの買収により手に入れた原発性胆汁性胆管炎(PBC)治療薬としてのSeladelparに関するFDAの新薬申請(NDA)の決定が、2024年8月14日に予定されています。また、欧州での規制当局の決定は2025年初頭に期待されています。

オンコロジー領域

  • Trodelvy: 苦しんでいますね。尿路上皮がん、NSCLCいずれもPhase 3試験が失敗しています。他の抗がん薬による治療オプションがない患者層を対象としているので、有意差を出すのは難しいですね。1st line治療の結果に期待です。

パイプライン

ウイルス領域における圧倒的な開発力と競争力をもつGileadですが、オンコロジー分野を中心に他分野の育成にも力を入れています:

  • オンコロジー領域: パイプラインの半分以上を占めています。Trodelvy (sacituzumab govidecan)は2nd line治療におけるPhase 3での失敗が続いていますが、1st line治療となってどうか。その他、Arcusと一緒に開発している消化器がんに対する抗TIGIT抗体 (domvanalimab)、PD1抗体やCAR-Tなどの抗腫瘍免疫を増強しそうなアデノシン受容体阻害薬 (etrumadenant)も面白そうです。。

  • 免疫領域: 規模は大きくないですが、複数の免疫領域におけるPhase 2試験を実施しています。患者数は多いですが競争の激しい領域なのでどうなるか。

まとめ

Gilead Sciencesは、抗ウイルス薬開発における強みをもとに、がん治療および細胞療法のポートフォリオの拡大を行っています。CymaBay買収により加わったseladelparが承認された場合、HCV, HBV, HDV治療薬で培った販路をもとに安定した売上が期待されます。

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