ブリストル・マイヤーズ スクイブ（Bristol Myers Squibb、BMY）2024年第3四半期の財務とパイプライン概要

はじめに

ブリストル・マイヤーズ スクイブ（Bristol Myers Squibb、BMY）は、腫瘍、循環器、免疫および血液疾患を中心に、革新的な治療薬を提供するグローバルな製薬企業です。本記事では、2024年第3四半期の財務実績とパイプラインの進捗状況を解説し、今後の成長見通しに関する洞察を提供します。今回の報告では、成長ポートフォリオおよびレガシーポートフォリオの主な製品に注目し、製品別の売上動向に焦点を当てています。

財務概要

2024年第3四半期において、ブリストル・マイヤーズ スクイブは堅調な業績を示しました。

• 総収益：118億9,200万ドル（前年同期比+8%、為替調整後+10%）

• GAAP EPS：0.60ドル、Non-GAAP EPS：1.80ドル（前年同期は2.00ドル）

• 2024年度ガイダンス：総売上成長率は約5%、為替調整後で6%、Non-GAAP EPSは0.75～0.95ドルに上方修正 。

セグメント別売上

1. 成長ポートフォリオ（Growth Portfolio）

   • Opdivo（オプジーボ）：売上23億6,000万ドル（前年同期比+7%、為替調整後+7%）、非小細胞肺がん（NSCLC）および腎細胞がん（RCC）など幅広い適応での成長を維持 。

   • Reblozyl：4億4,700万ドル（+80%、為替調整後+81%）、骨髄異形成症候群（MDS）やベータサラセミアの適応での需要増が要因 。TGFβ受容体に作用するリガンドと結合してその作用を阻害します。

   • Opdualag：2億3,300万ドル（+40%）、1次治療メラノーマにおける市場シェア拡大が貢献 。抗LAG3抗体。

   • Breyanzi：2億2,400万ドル（+143%、為替調整後+143%）、特に米国での需要が急増 。（CAR-T：競争がだんだん激しくなってきましたね）

   • Camzyos：1億5,600万ドル（+129%）。ミオシン阻害薬。閉塞性肥大型心筋症（HCM）治療薬 。

   • Sotyktu：6,600万ドル（為替調整後+20%）、主要な国際市場での導入が進み、今後の成長が期待されます 。

2. レガシーポートフォリオ（Legacy Portfolio）

   • Eliquis：30億2,000万ドル（前年同期比+11%、為替調整後+11%）、米国内および主要な国際市場での需要増加が貢献 。

   • Revlimid：14億1,200万ドル（前年同期比-1%）、一部地域でのジェネリック競合が影響 。

   • Pomalyst：8億9,800万ドル（前年同期比+3%）、血液がん治療薬としての市場シェア維持が貢献 。

パイプラインの進捗

1. 腫瘍領域

   • Opdivo + Yervoy（免疫療法併用）：非切除肝細胞がんに対する併用療法として、FDAによる審査が進行中。CheckMate-9DW試験結果に基づく承認申請も行われ、2025年4月21日にPDUFA日を迎えます 。

   • Breyanzi：再発性または難治性の濾胞性リンパ腫（FL）治療に関する適応拡大申請が欧州で進行中 。

2. 循環器領域

   • Camzyos：長期フォローアップ試験のEXPLORER-LTEコホートにおいて、患者が症状改善を持続し、心エコー指標とバイオマーカーの改善が確認されました 。

   • Cobenfy：新しい統合失調症治療薬として2024年第3四半期に米国で承認を取得 。先日紹介した新薬です（Cobenfy）。個人的にはとても注目しています。

3. 免疫および血液疾患

   • Sotyktu：免疫抑制薬として、主要な国際市場での適応拡大が進行中 。

業績と展望

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2024年度の通年業績ガイダンスを売上成長率5%、Non-GAAP EPSを0.75～0.95ドルに上方修正しました。成長ポートフォリオが売上の50%以上を占め、特にOpdivoやReblozylなどの腫瘍治療薬が引き続き収益を牽引しています。これに加え、Cobenfyの新規承認やCamzyosの国際展開が今後の成長に寄与すると見られます 。

結論と今後の展望

2024年第3四半期、ブリストル・マイヤーズ スクイブは、腫瘍および循環器治療薬の堅調な販売拡大と新規パイプラインの進展により、確かな業績を示しました。今後も成長ポートフォリオの拡充と、研究開発への積極投資により、長期的な株主価値向上を目指しています。