#商店街巡り vol.3
事例3:大豊(だいほう)商店街
愛知県豊橋市、豊橋駅前におもしろいビルが連なっています。
「豊橋ビル」「大豊ビル」「大手ビル」という異なる3つのビル。3つ合わせて「水上ビル」という愛称で呼ばれているそうです。
実はこのビル群、牟呂用水(むろようすい)と呼ばれる農業用水路を暗渠化した水路上に建っているんです。なので、川が見えないのに橋があるというおもしろい風景を見ることができました。
昨年6月、50周年記念に雨の日商店街というアンティークマーケットが開催された大豊商店街。その他にもアートイベントなど、様々な形で空き店舗の活用をされています。
3階(一部4階)建てのコンクリート式の長屋で、「建物」としてカッコイイ魅力もさることながら、「おわり」にむけて現状とポジティブな向き合い方をされているところに注目していきたいなと思いました。
今回ご案内してくださった、黒野さん。水上ビルで生まれ育ち、自身の建築事務所を大豊商店街内に構えておられます。商店街の理事長やアートイベント「sebone」の実行委員長など様々なフィールドでご活躍されています。
大豊商店街は今年で51年目。コンクリート構造なので、耐震を考えるとあと20年で終わりを迎えるそう。それまでに、ここに店を持っている・住まれている皆さんは、出ていかなくてはなりません。
その準備期間の20年について、「20年で終わるよ」と声をかけられると同時に、「まだ20年あるよ」と残りの期間にいかに投資するかも考えておられます。そんなことから、様々な「きっかけ」を生み出せるようなイベントを開催されています。
商売と直結したイベントは、お客さんの層はあまり変わらないけれど商店街の人は喜びます。
アートイベントは商売に直結するかわかりませんが、来る層が異なる。そこから新たな交流が生まれ、商店街に新たな風が吹く。
商店街が抱える問題の一つに、店舗は空いているけど上階に住んでいるケースが多く、新規参入の壁になっています。
なので、まずはずっと住んでいる方に空き店舗が「店」としてオープンするイメージを持ってもらうことが必要です。そんなこんなで閉まっていたシャッターが開きだすと、今度はまたおもしろい流れが生まれたのだとか。
というのも、先ほどご紹介した「雨の日商店街」で外から来た様々な方々がアンティークな物品を販売していると、商店街の方々も「ガラクタあるよ~」と店の奥から骨董品などを店頭に並べだしたそう(笑)
なんだかいい流れですよね!そして、そんなイベントがきっかけで、花屋さんが新たにやってきたそうです。
住居と店をどう分けるのかは現在実験中。メーター分けをどうしていくかという部分で行政のサポートがほしいところだとか。
その他にも、「カッコイイ戦略」として年4回のフリーペーパーを作成。ここでは、商店街の方々がとっても「カッコよく」映っているんです。
このような情報メディアの在り方ってすごく重要だと思います。見てわかるものってシンプルに伝わりますよね。
外向きに情報発信するのはWebだけど、商店街の方々の年齢層を考慮した紙媒体も必要だと思っています。それがカッコよかったら、誰だって見たくなってしまう。そしてなんだかやっぱり嬉しくなりませんか?
こうやって積み重ねてきたものが、結果として「まちづくり」になったと黒野さんはおっしゃっていました。私は、そんな肩肘張らないスタンスが心地いいなと思います。
観光客が流れてくるのもいつまで続くかわからない状況で、ありがたみは感じながらも、そこに頼ることは不安要素の一つになってしまう。そんな風にしっかりと起こりうる未来を見据え、決して「受け身」にならずに20年後を迎えたい。そんなポジティブな「おわり」の迎え方は簡単ではないけれど、とてもステキだと思いました。
そんな大豊商店街は2016年8月~開催される国際芸術祭、あいちトリエンナーレの会場の一つにもなっています。ブラジルから来られるアーティストアーティストの展示が行われるそう。
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黒野さんのお話の中で、「何を返せるのか」というキーワードがありました。さまざまな取り組みをしていると、無償でお手伝いしてくださったり、お知恵や人脈を提供してくださったりと動いてくださる方がいますよね。
見返りは求められていないかもしれませんが、それでも関係を「続けていく」ということを考えたときに、やっぱり何か「返せる」人でありたいなと。
noteでもそうだと思っています。
この間社会人?になったばかりの私自身。今はまだ、たくさんの人に頂いている状態で。いつかちゃんと返せるように。また、そうやって頂いたものを次の世代へ送っていきたい。
今はひとまず走ってみることかな、なんて思っています。
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