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『残心残暑』 ガラクタ

『残心残暑』を語るnote
第6回は『ガラクタ』です。まってもうすぐ折り返しですか、、?早い…aikoのライブツアー期間くらい早い

前回の『鮮やかな街』についての記事はこちら↓


もし読んでくれる方がいたのなら、
・楽曲考察初心者🔰
・音楽知識ほぼなし
・感情と勢い論
・個人見解

っていうことをまず念頭に置いてぜひ読み進めてください。

『残心残暑』

『鮮やかな街』のふっといなくなってしまった突然の終わりから、強めのサウンドで始まる『ガラクタ』。ここの曲間がとても好きです。


ガラクタ

お馴染み初聴きメモはこんな

そうそう、僕視点なんだよね多分。aikoの僕と君の世界好きすぎて、、、僕視点からだと結構切ないことが多いよね。今回はどうなんでしょう。
初聴きメモ今回は割と思ったこと急ぎながらも書けてるイメージだな。
アウトロのあのオルガン、とっっってもいいよね。わかる。鍵盤と指が触れ合う音が気持ちを揺さぶって来る。島やん、、、好きです…。

そしてこの曲もドラムはさのっち。
サウンドにコントラストを与えるようなメリハリのあるドラム…好きです…。

初聴きでは”青くて灰色”のイメージだったらしいけど、読み解く中でどう変わっていくか楽しみ。


適当にしていいなんて思わないで

とにかくイントロから心が揺さぶられまくっている(何度も言う)ギターのジャッジャッジャッジャッジャッって小刻みなフレーズが、うるさいくらい聞こえる鼓動みたい。

もうとっくの昔に 自分で迷い込んだ
あの時甘い蜜がどうしても欲しかった
手に入れた君の無邪気はたまに壊れない
プラスチックのコップみたいに思えた

なんか怒涛に畳み掛けて来るね。このイントロからの切なさ感じるけど力強いサウンドが心の中に渦巻く感情そのものすぎてすごい。

aikoの描く”僕と君”の世界は、僕視点といいつつも、女性である私の視点にもなり得るところがいいよね。aikoも女性だから結局そうはなるんだけど、でもすごい。

「甘い蜜」っていうのは君のこと。僕が手に入れたくて入れたくてしょうがなかった君、そしてやっと手に入った君だけど、君はいつまでも無邪気でちっとも以前と変わらない。まるでどれだけ落としても壊れることのないプラスチックのコップみたいに感じてしまう。
え、甘い蜜からのプラスチックのコップって振り幅えぐないです??無機質すぎる…というか、手に入れるまでは「甘い蜜」だったのに手に入れてからは「プラスチックのコップ」って…手に入れたら満足する系の男かおまえは。追ってる内が花で、手に入っちゃえばありがたみがなくなるみたいなね。よくないですよ。適当に扱っても大丈夫だろみたいなね。(口悪くなってますが個人的見解です)

『洗面所』では

ガラスのコップが割れた

と歌っている。

形ある物は儚くいつかはなくなる事
わかってるんだ

とも。
そんな儚いガラスに対してプラスチック。儚くないよねえ〜。君は変わらずにずっと居るなんて思ってたんだろうねえ。

そう思うと、先に感情がなくなったのはどっちなんだろうとも考えてしまう。いや、感情がなくなるって言うよりわからなくなるってイメージかも。好きじゃなくなるとかではなく、”相手がわからなくなる”って感覚に近いかも。
やっぱり君なのかな…でも僕の中での”君”が少しずつ少しずつ変わっていった様子がありありと想像できて、ちょっと痛い…。手に入れる前と手に入れた後。うん。いるよね、変わっちゃう人って。


プラスチックの君とガラクタの僕

今やっと気づいたよ
忘れようと手紙破った僕はただのガラクタ

ようやく気づいたんだね、君がいなくなってから。遅いんだよなあ〜。いなくなって初めて気づいたなんて言いますけど、ねえ…。「ま、いっか」みたいな気持ちでいたんじゃないの〜?と思ってしまう。あ、私自身こういう系の過去は何もありませんので、想像ですので。

この「手紙」って君からの手紙なのかな。君がいなくなる時の置き手紙だったりするのかな。それとも僕が君宛に書いた…ってそんなわけないか。だって今やっと気づいたんだもんね。
君からの手紙だね。それを破ったんだねきっと。
プラスチックのコップのようにちょっと適当に君を思っていた僕自身がガラクタだったんだって気づいたんだね。
なんかさ、aikoの僕視点の曲って君がいなくなる曲多いよね。もっと言えば昔の曲よりも今に近い曲の方がその傾向ある。『泡のような愛だった』あたりから結構その辺変わってるんじゃないかなと感じてる。知らんけど。(もちろん幸せな曲も多数)
『透明ドロップ』『もっと』『ハニーメモリー』『シャワーとコンセント』…君を失いがちな僕…

それにしたって、「僕はガラクタ」ってパワーワードすぎる。何を食べてどんな生活をしたらこんなワードが出て来るのか本当に知りたい。aikoだからこそだろうけど…すごい


胸に迫り刺す

君がいなくなったあの日の夜空は
吸い込む息が冷たくて痛くても何も感じなかった
君はいまもちょっと自転車に乗って
逢いに行けるような
近い場所で生活してるんだね誰かと

ここの情景がものごっつい。『夜空綺麗』のあの初っ端の情景がブワッと広がる感覚と似てるななんて感じた。どちらも冷たい夜の情景だから繋がったんだと思うけど、サウンドも相まって…ここのドラムが最高だよね…この『ガラクタ』もさのっちなんだよなあ。最高です…

このサビが高音から始まるの良いよね。悲痛さが増す。これは歌ってみてわかった事だけど、かなり歌ってて自分が苦しくなってしまう。(私に技術がないって言うのはそうなんだけど、入りでグゥーーン⤴︎っと高くしゃくりあげるから必然的に苦しい表情になりがち)

君がいなくなってしまったあの日の夜、僕は探したのかな。君のいなくなり方ってどんな感じだったんだろう。ちゃんと「もう無理」って言えた別れだったのか、それとも何も言わずにフッといなくなってしまったのか。君からの手紙がある事を思うと、何も言わずに手紙だけ置いていなくなったんだろうなと考える。つら。急にいなくなるなんてね。思ってなかったんだろうな…

結構気になるんだけど、なんで自転車で逢える距離って知ってるんだろう、、、僕は君の今を知ってるってことだよね少しは…SNSで見たりしたのかな。それか友達ヅテで聴いたのかな…
どちらにせよ、どうにかすれば知ることはできるけど、完璧には知り得ない感が逆にグサっとくる。
しかもさらにグサッとくるのが「誰かと」なんだよな、、これやばい。これは僕の妄想だけの話なのかもしれないけど、もしかしたらって最悪を想像してしまうんだね。君はもう僕を見ていないという事実が僕の胸に迫ってきて寒さは感じないけれど容赦なく刺してくるあの日の夜。

これこういう経験(相手がふと急にいなくなってしまった経験)したことある人が聴いたら死に至ると思う。それくらい尖ってる。気がする。鋭い。


きっと芯は出しっぱなしだった

ここの歌詞、なんか好きなんだよね。あとaikoの淡々とした歌い方も結構好き。Aメロは特に歌い方はさっぱりしてる気がする。だけど気だるさもあるみたいな。

気持ちをどこに書いて心を何にこめて
笑顔で表す想い見失ってしまった
かばんの底ホコリと罪悪にまみれたボールペン
もらった時の君の顔思い出した

このフレーズはまだうまく咀嚼できてないんだけど、「笑顔で表す想い見失ってしまった」ってすごく共感できる。だんだん、そうなってしまったりするんだよね。で、それに自分でも気づいてきて「あ…私今…」ってなってくる。

「気持ちをどこに書いて心を何にこめて」ってフレーズは、願い事日記とか曲の歌詞とか、普段から書き物をしてるaikoならではだな〜なんて思う。僕は日記とか書いてる人なのかな。ちゃんと思いを書いて吐ける場所があったらいいな。
そういえば、歌詞を見ずに聴いている時「気持ちをどこに”吐いて”」と空耳してしまっていたけど、「書いて吐きだす」って意味だとしたらそれも間違いではないよなあって思ったり思わなかったりラジバンダリ、、。

「ホコリと罪悪にまみれたボールペン」って…すごいワード。でもなんかいつかの自分が経験したり見たことがある感覚。ホコリだけじゃなくかばんの奥底で「罪悪」にもまみれてるボールペン。もらった当時の君はどんな顔だったんだろう。その頃の二人は幸せだったのかな。少しでも。今よりは。


ボールペン=ガラクタ=僕

必要とした時に夢も書けない
先の固まった僕はただのガラクタ

きっとこのボールペンを見つけて紙の端にまだ使えるか確認した時インクも出なくて使えないことがわかって、「あ、自分だ」って思ったんだね。
ずっと近くにあったのに、そのことにも気づかないで、ふと思い出したように取り出した時にはもう使い物にならなくなっている。
ボールペンと僕と君の重ね方…

これは完全に関係ないとは思うんだけど、ボールペンで夢を書くって感覚は願い事日記に夢とか願望とかを日常的に書いてるaikoならではだなぁってここでも感じた。私ボールペンで夢とか書いたことあるっけ?そんなにないな、、、書いてみたい。
あ、最近aikoと同じ手帳買ったから夢とか書いてみようかな…(そう言う話ええから歌詞について書け)


殺傷能力の高い夜

君がいなくなった最低な夜空は
吸い込む息で変わってく唇の 未練を容赦しない

1番で”あの日の”夜空だったのが、2番では”最低な”夜空になっとるがな、、、僕の中で少し時間が経ってちょっと「なんでなんだよ」って強い気持ちも生まれたのかな。でも何も言わずに静かにいなくなるのは最低だよね。(大いなる自戒)
このサビの部分、サウンドが前に出ていてaikoの歌声よりも少し大きい気がするんだよね。バランスはいいんだけど、バンドサウンド的にでかい。それがまたグッと胸にくる。

でさ、「吸い込む息で変わってく唇の 未練を容赦しない」ってこの1フレーズがもーーーーーすごすぎる。「吸い込む息で変わってく唇」???わかりすぎる…(わかるんかい)
あの冷たい空気を吸い込むたび唇から水分が奪われていく感覚。
そして「未練を容赦しない」の主語は「君がいなくなった最低な夜空」?
君がいなくなってしまった今夜のこの最低な夜空は、僕の未練を容赦してくれない。

容赦しない…情けや遠慮が一切ない。


僕のこの未練になんて寄り添ってくれない。みたいなニュアンスかな。いや、それだとちょっと弱いな。なんかもっとブッ刺してくるイメージ。寒さが鋭い刃になって僕の全身をいろんな角度から刺すイメージ。寄り添ってくれないってより許さないって感じか。最低な夜空は君に寄り添う。
僕を許してはくれない。うん、私的にそんな感覚かも。
言葉の取り合わせが凄すぎるからもうちょっと咀嚼していきたいここ。


逆説の捉え方

誰にも届かない
届いても知らない場所に行けるけど
離れたくない
見えない部屋で笑う君を

ここあんまりまだ理解できてないけど、諦めず書いていこうと思う。
よくわからないのは「届いても知らない場所に行けるけど」っていうところ。
逆説の「も」と「けど」が重なってるから複雑だなーってサラッと触ってみた感じ思う。

届いて(動詞-て)+も(逆説(対立))
行ける(可能動詞)+けど(逆説(対立))

届いたとしても、知らない場所に行ったとしても、離れたくないんだよ。
あ、わかった。この動詞+逆説って並列なんだ。
・届いたとしても
・知らない場所に行けたとしても
でも、離れたくない。ってことか。
あーちょっとしっくりきた。
あ、それか
「届いたとしても、知らない場所に行けるけど離れたくない」
なのか?

”知らない場所に行けるけど”が
①「離れたくない」にかかる
のか
②「届いても」と並列
なのか。どっちだろうね。②の方が個人的にはしっくりくるけど、文脈的には①寄りな印象。
ここじゃない君のいないところにだって行けるけど、僕は君がいるこの場所を、君との思い出から離れたくない。

ラストの「見えない部屋で笑う君を」が文脈としては繋がってないんだよなあ。「君”を”」どうしたいんだって話。
そこがとてもいい余白になっている気がするし、いろんな解釈が出てきそう。
「を」は格助詞で、その中でも対象の用法なのかな。(なんか国語の授業思い出す。割と好きだった)
「君を見ていたい」なのか「君を離したくない」なのか。どうしたいのか気持ちを皆まで言わないところがいろんな気持ちが渦巻くよね。とても好き。

え、てか君の住む家にもしかして行ってる、、?下から君の住む部屋を見上げてる、、?もしかして…わからないけど。
「見えない部屋」を言葉のまま素直に受け取るならばカーテンが閉まっていて中はわからない部屋…。えぇ…僕は君の住んでるところまで知ってるってこと…?ちょっとこれはワードを素直に受け取りすぎだから違うかもとは思う。


僕の本音は静かな星の瞬きに隠す

間奏明け、このフレーズに入る前のこれまで厚みを増していた音がフッと余韻を残して消える瞬間がすごく好き。そして始まるこのフレーズはピアノのラインがとっても綺麗でほんと綺麗な夜空を見てるよう。星の瞬きっぽいよね。
そしてだんだん入ってくるドラムが静かにでも確かに鳴り続けている鼓動。

君がいなくなったあの日の夜空は
吸い込む息が冷たくて痛くても
何も感じなかった

ここのaikoの歌声が、今までよりずっと消えそうでちょっと弱音を吐いてるみたいに聴こえる。
弱音っていうか、悲しそう。切ない。ここで初めて今まで我慢していた僕の本音が漏れる感覚。
歌詞は一緒なのに、何も感じなかったなんて嘘だってこのフレーズでは思っちゃう。というか、今この時になって初めて”何かを感じた”んだなって。


気持ちを認めること

君はいまもちょっと自転車に乗って
逢いに行けるような
近い場所で生活してるんだね誰かと

ここの今までの全ての感情を放出するようなサウンドが大好き。「君は今も」と「自転車に乗って」の感じが…ものすごい、、二つのフレーズのメリハリの付け方は似てるけど、少しずつ違くて、後の方がハモンドオルガンの音が立ってくる。それによって音の雑多感(いい意味で)が増して気持ちの渦巻きをより感じる。
ハモンドオルガンって私クレジットを確認して初めて知ったんだけど、こんな音なんだね!オルガンって想像ではもっとポロポロした音なのかと思ったら(アウトロのピアノがオルガンなのかと思ってた)
ハモンドオルガン…教会などにあるパイプオルガ
         ンをエレクトリック化した楽
         器

面白い…aikoを通して知らないこと知れるのが本当に嬉しい。今回のピアノたちとオルガン、タンバリンなどは島やんが担っている。本当にすごいよね。大尊敬です…
そして切実に今回の『残心残暑』instrumentalバージョンが欲しい。本当にどの曲もサウンド自体が綺麗すぎて、演奏もじっくり聴きたい。使ってる楽器も気になるし。いつかinstrumental出ればいいな〜。

1番書きたかったんだけど、この最後の「誰かと」のあとのブレスやばくないですか??????ここだけ何度も巻き戻して聴いちゃうくらいえぐい。ブレスが最後震えるんだよ…吸う時に震えてるのaikoが。きっと「誰かと」で息を出し切って出し切って吸うからその反動で震えてるんだと思うんだけど、ここがもうグゥワーーーーーっと胸を掴んでくる。
逢いにいこうとすれば行ける距離の君を、知ろうと思えば知ることができるけど全ては知り得ない君のことをこれからも想い続けながら僕は生活していくんだね。辛い道を選ぶんだね。って想像して、心の中で「僕」に声をかける。
ここの震えたブレスからの鍵盤のアウトロ…これ普通のピアノなのかな?こもって聴こえるからどういう演奏方法なのか気になる…普通に演奏してるのかな?(毛布とか被せたらこうなる?ならない?)
ここの鍵盤と指が触れ合うカチャカチャて音とピアノ自体の音色とさ、、最高のアウトロ。じんわりとゆっくり徐々に僕の気持ちが広がってくるイメージ。
曲のイントロと同じようなメロディを辿っているのにイントロからは想像ができないアウトロ…確実にこの一曲の中で僕の気持ちは変容したんだよね。僕の歌ですこれは。
好きです。ほんとに。生で早く聴きたい。

おわり

『ガラクタ』書きたいことが多すぎて少しいつもより長くなってしまった…。
一曲をじっくり聴いていくと、歌詞の意味とか文法とか、いつもは気づかない部分から曲が鮮やかになっていくね。
初聴きメモでは”青くて灰色”って印象を書いてたけど、どうだろう。青は青でも結構濃い深い青になったな。灰色は変わらず。でもちょっと最初感じた色味とは違ってるかも。上手く言えないけど。いろんな色が混ざってる。
aikoは僕視点で曲を書く時どういう気持ちなんだろう。いつもとはちょっと違う気持ちで書くのかな。aikoのそういう音楽をつくり出す時のこともっと知りたいな、と生意気にも思ってしまう。

あと、この『鮮やかな街』『ガラクタ』からの『いつ逢えたら』の流れが本当に良すぎるよね。よね?残心残暑の真ん中ってこともあって、なんか良すぎる(諦めた)
『ガラクタ』からの『いつ逢えたら』は鍵盤繋がりで、たまらなく良いよね。(諦めた)

読んでくださった方いましたらぜひあなたの『ガラクタ』について聴かせてください🤝🏻
ありがとうございました!
次回は『いつ逢えたら』です



読んでくれてありがとうございました💐💙

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