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『残心残暑』 鮮やかな街

『残心残暑』を語るnote
第5回は『鮮やかな街』です。LLR10まであと9日と言うことを知って1日一曲ペースじゃないと間に合わないことを知りました…焦って書いてもしょうがないのでゆっくり書くことにします…

前回の『好きにさせて』についての記事はこちら↓


もし読んでくれる方がいたのなら、
・楽曲考察初心者🔰
・音楽知識ほぼなし
・感情と勢い論
・個人見解

っていうことをまず念頭に置いてぜひ読み進めてください。


『残心残暑』

『好きにさせて』から『鮮やかな街』の綺麗なイントロが始まる瞬間超好きで、一気に秋の風が吹いてくる感覚。
今までのaikoの歌で聴いたことのないアレンジで、トオミさん好きです…となってしまった。
aikoの新たな面を引き出してくださるアレンジャーさんやバンドメンバーやスタッフの皆さま…素敵すぎる。
新しいaikoを知ることができてるって本当にシアワセだよね私たちって。

鮮やかな街

お馴染み(?)の初聴きメモはこちら

ボイス加工いいよね〜。いろんなラジオやインタビューでaikoが話してるけど、今回トオミさん発信で、初めて「ヴォコーダー」っていう音声加工できる機械を使ってアレンジしてもらったそう。ヴォコーダーっていうのは、

人の声を使って機械的な「ロボットボイス」が出せるエフェクターや楽器、シンセ。”
(島村楽器FAQより引用)

のことらしい。
Voice+Coder(声+符号化)からできた造語なんだって!へ〜勉強になる…

「えーーーー終わり方ーーーーー」って言うてるけど、サクラのような感想だな笑
「歌詞爽やかだけどどこか闇深そう」って印象持ったらしいけど、どうなんだろう?楽しみです笑


水色

イントロから『鮮やかな街』すぎる…このタイトル以外あり得ないってくらい。そしてヴォコーダーを効かせたAメロが、新鮮だけどなんだかちょっと懐かしさも覚えるような不思議な感覚になる。水の中にいるみたいでもあるし、水の中ともまた違うなんかガラスみたいな透明なものに隔てられた向こうから聴こえるみたいでもある。不思議〜

誰にも言えない水色の想い出を風が包む
もう忘れてしまってもいいの
今も昔も

この歌詞を見た時『星の降る日に』の「胸のアルバムに刻む水色」って歌詞が浮かんだ。『星の降る日に』の”水色”は”悲しみ”なんだけど、今回の「水色の想い出」ってどんな思い出なのか。
哀愁が感じられるから切ない悲しい想い出なんだとは思うけど。でも「誰にも言えない」が頭につくと切ない悲しいだけじゃないその想い出全体の色々な感情を想像させられる。しかも、「もう忘れてしまってもいい」ですって…
想像広がりまくりですね…ちょっとここの部分はこれからたくさん考えていきたい。
でも、「忘れてしまってもいい」って思ってるってことは、忘れられないの裏返しでもあってちょっとした強がりなのかもしれないと感じた。


aiko最近特に「夢」ってワード使うよね。個人的に2021年に発売された14枚目のアルバム『どうしたって伝えられないから』の頃から「夢」ってワードに対するaikoの意識?意味の持たせ方?が変わったような気がしてて。儚さが増したと言うか、、なんて言ったらいいかわからないけど。

今日は夢の中でもあなたは仕事だから逢えない
言い聞かせる理由にもおかしいって解ってる

たとえ夢の中にあなたが出てきてくれたとしても、仕事で逢えないって悲しすぎる…
夢の中でさえもあたしは「仕事だからしょうがないよね」って自分に言い聞かせてるの…?切なすぎる…
今回のあたしってどんな恋愛してるんだろう。
きっとあなたは「今日も仕事だから逢えない」なんて簡単に言えちゃう人なんだろうな。そんなあなたを諦めつつもまだ好きな気持ちは消えないあたし。この恋愛は、あなたとは幸せになれないってわかってるんだよね。く、苦しい…なんでそんな奴と付き合ってんの?って言いたくなるくらい苦しい…大切にされてない感半端ない…あなたは何か埋め合わせしてくれるような人でもなさそう。あ、でも多分歌ってる時点では別れてるのか、別れようとしているところなのか。これがあたしの水色の想い出の正体なのかな。


歌詞のコントラスト

息をしないこの部屋なんだか寂しいわ
鮮やかなこの街でさよならしよう

この曲、全体的に「ここがサビですドーン!」みたいなテンションの上下がなくて心地いい。あたしが静かにこれまでのことを振り返ってこれからのことを考えるようにとても落ち着いている。

「部屋」っていう単語に「息をしない」ってつけられる人aikoの他に誰がいる…?ってくらいしっくりきてしまう。aikoすげえ…
きっとあなたと暮らしていた部屋にあたしが一人でぽつんといるんだ。あなたがいたことで呼吸ができていたのに、あなたがいなくなってしまって息ができなくなってしまったこの部屋。
寂しいけど、あたしは泣いていないきっと。なんか泣いてるってよりしんみりと「静かだなあ」って呟いてそうなイメージ。
「鮮やかなこの街」が「息をしないこの部屋」ととてもいいコントラストになっていてとても綺麗だなあって思っている。なんで「鮮やか」なんだろうね。
この「鮮やか」のイメージは水彩絵の具っていうよりも油絵の具なんだよね。結構ビビッドのイメージ。
そしてその後に続く「さよなら」というワードもグッと引き立っている。綺麗な一枚の油絵を見ているよう。

なんか一種の解放というか、あなたがいなくなったこの部屋を一歩出ればまた新たな世界が広がる的な感覚?え、なんかある意味吹っ切れてるのかな、あたしって。
あなたとの別れが寂しい悲しい100%な感じじゃない気がする。静かに吹っ切れているというか、どこかで納得しているというか。


うざいほどの朝にはサイダーを

ここの歌詞を聴くたびに『片想い』の

間違いと過ちは何が違う

という歌詞を思い出す。私の脳内のaikoが可愛く聞いてくる。

間違いだったと分かっても一度だけ繋がった
炭酸とラムネを飲み干して朝を濁らす

めっちゃ映画みたいなフレーズ。この「繋がった」ってワードが何を意味するのか。私は真っ先にセフレを想像してしまったけど…
「間違いだったと分かっても」は「間違いだと分かっても」じゃないんだよね〜…間違い”だった”って表現気になる。何を間違いだったと気づいたのか。
炭酸とラムネを飲み干してこの眩しい朝をどうにかしなきゃやってられないような事って。相当私の中では間違いだったことがわかる。後悔もしてる。

ほんとこのフレーズ朝の清々しい朝日の中で澱んだあたしの心にフォーカスが当たって、さらに炭酸とラムネがキラキラと朝日を浴びている様も浮かぶ。だけど、そのキラキラを体に流し込んでもあたしの心の中は変わらない。一層濁る。
「なんでこんな朝って明るいんだよ」って思ったことがあるんだけど、”うざいくらいの朝”を迎えたことがある人はこの歌詞共感できる気がする。知らんけど。


お風呂場の本音

重なり合った悲しみ
口悪くって湯船も腐る
機嫌を上手く取っても変わらないのわかってる

重なり合う「嬉しさ」じゃなくて「悲しみ」なのが切ない。後悔すら感じる。
さらにこの「口悪い」と「湯船」と「腐る」の取り合わせ…すごすぎるでしょなんでこんな表現思い浮かぶの?一瞬「湯船が腐る」って諺あるのかと思って調べたくらい…aikoワールド全開。
あり得ない組み合わせのワードも、ちょっとそういう感覚になるのわかる…ってなっちゃうのがすごい。自分の悪い口のせいで湯船が腐る感覚、絶対いつかの私が経験してるもんな。お風呂って本音が出やすいよね。あれなんでなんだろうね。口も悪くなりがちだし涙も出がち。だからこのワードの取り合わせはほんとすごい。(半ば歌詞考察諦めてるのまだバレてないよね)

この「機嫌」は誰の機嫌なんだろうね。あたしかな?面白いテレビを見たり少し高めのアイスを買ったりであたし自身の機嫌を上手く取ってもこの状況は変わらない…。
ここのaikoの歌い方が少し投げやりというか心の中で悪態をつく感じに聴こえるな〜。私自身も、もうわかってるよね。でもどこかで諦めきれない思いがありそう。


あたしの唄

幾度と励ましてはそろそろ怪しいな
優しい心のままさよならしよう
鮮やかなこの街でさよならしよう

あたしの中で、もう終わりだと分かってる気持ちとまだ大丈夫なのかもっていう繋ぎ止めたい気持ちがせめぎ合っていそう。
「”幾度と”励まし」てたんだから。自分のことを。でも、その励ましも効かなくなってやっぱりダメだなってなってるんでしょ…いきなり切なさくるな。想像するイメージは綺麗で鮮やかなはずなのに、いや、鮮やかだからこそ歌詞とのコントラストが急に切なさにグッと結びついてくるんだな。すごいわ…

「優しい心のままさよならしよう」と思ってるのは最後のあなたへの優しさなのか、果たして…。
『一人暮らし』の歌詞では

優しいままいなくなるなんて最低だよ

「優しい心のまま」っていうのはあなたに対して優しいという意味じゃなくて、あたしの中であなたを嫌いになる前にみたいな意味だと思っている。優しく無くなるのはあたしが嫌だから。
でも、いなくなられた側としては、そうやって何事もなく突然いなくなられる方が心に来るよね多分。多分というか、そうだよね。最低だよね。

というか、この『鮮やかな街』は全体的にいつもの曲よりも「あなた」が見えてこないなーと思っている。あたしの心の中でこもって歌われている感覚。だからすべてあたしの一人称視点でいろんなことが見えてきやすい。これはあなたの歌っていうより、あたしの歌。
こことは違うフレーズだけど、「炭酸とラムネ」とかも私の視点で目の前にある「炭酸とラムネ」が想像できるし、窓の外からの光を感じて「うざいくらい明るい朝だな」ってあたし自身がつぶやいてるあたしの目を通した視点になる。なんかだんだん何言ってるかわからなくなってきたけど。あたしの目線になるから、より鮮やかにイメージできるんだよなあこの曲。

そしてaikoの歌い方の話なんだけど、1番も2番も「この街で」の”この”の震えがすごく好き。ビブラートはなるべくかけないようにと話していたaikoだけど、だからこそこういう内側の揺れが際立つ。


鮮やかさを残して

最後に、はじまりのフレーズを反芻する。

誰にも言えない水色の想い出を風が包む
もう忘れてしまってもいいの

聴こえ方がはじまりとはまた違ってくるよね。歌詞は一緒だけど、ヴォコーダーの加工の付け方やアクセントが違っていて、

「だ」れにも「い」えない「み」ずいろの

と変化する。
あたしの目線を通してまるで自分が水色の想い出を過ごしてきたかのような感覚に陥る。
そして、ラスト「えっ!?」ってなるよね。急にいなくならないで!って思わず口走りそうだった。
この眩しいくらいの鮮やかさだけを残してあたしは最後に消える。ここが何度聴いても好きすぎる。だし、どうしてこのラストにしたのかaikoに聞いてみたい。

これは次の話になっちゃうんだけど、この『鮮やかな街』の終わりから『ガラクタ』のあのイントロの流れが本当に好き。この『残心残暑』を順番に聞いていく中で一番好きな曲間かも。もちろん『skirt』と『相思相愛』も好きなんだけど、個人的にこの『鮮やかな街』が急に終わって「えっ」てなるとすぐに『ガラクタ』の強さを感じる鍵盤がはじまるっていうこの曲間に一番感情が揺さぶられた。

おわり

今回も楽しかった!前回に比べると、より『残心残暑』っぽいというか、じんわりと沁みてくる曲だったなあ。
『鮮やかな街』は聴くたび好きになった曲。最初聴いた時は新しすぎるし終わり方も突然すぎるしで呆気に取られてしまっていたけど、聴けば聴くほど鮮やかさが目に沁みてきた。
これはみんなそれぞれで違うと思うけど、朝の眩しい光に包まれる街並みとあたしの部屋のコントラストとか、油絵のような鮮やかさを想像させる歌詞の中の「さよなら」とか、明暗と彩度がはっきりパキッとしているイメージを抱いた。

私が初聴きメモで「歌詞爽やかだけど闇深そう」って書いていたけど、歌詞が爽やかというより曲の彩りがおしゃれで爽やかなんだなきっと。闇深いかは、んー今のところ闇深さは感じなかったけどこれから聴いていく中で気づくことが出てくるんだろうな〜。闇深いって感想はでも少し理解できる。私にとって、あなたの歌というよりあたしにフィーチャーした曲って印象があるからなんだろうなきっと。あたしの裏側が見えそうで見えないけど歌詞に現れない裏側の想いがあるんだろうなって想像する。

読んでくださった方いましたらぜひあなたの『鮮やかな街』について聴かせてください🤝🏻
ありがとうございました!
次回は『ガラクタ』です



読んでくれてありがとうございました💐💙

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