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『残心残暑』 いつ逢えたら

『残心残暑』を語るnote
第7回は『いつ逢えたら』です。だいぶしゅんできたんじゃないでしょうか…このアルバム。


前回の『ガラクタ』についての記事はこちら↓



もし読んでくれる方がいたのなら、
楽曲考察初心者🔰
・音楽知識ほぼなし
・感情と勢い論
・個人見解

っていうことをまず念頭に置いてぜひ読み進めてください。

『残心残暑』

このアルバムの心臓部分(曲数の折り返し的な意味で)の『鮮やかな街』『ガラクタ』『いつ逢えたら』の流れたまらないよね…
この『いつ逢えたら』は再録なのでこの曲について書けることが嬉しいな。


いつ逢えたら

初聴きメモ↓

そうそう!この再録バージョンではaikoが島やん(編曲やピアノなどを担当)にリクエストしたピアノのフレーズが追加されたりと、更に綺麗さを増して『残心残暑』入りをした。
『いつ逢えたら』は2023年4月11日にデジタルシングルとしてリリースされていて、アニメ「君は放課後インソムニア」の主題歌としても使われた。
優しく静かなピアノとaikoの寄り添う歌声から始まって、ラストは宇宙を纏うかのようなストリングスに包まれてaikoのブレスで終わる。そして再びピアノで曲を締める。
初めて聴いた時よりも、聴いていくうちにどんどん大好きになっていく、なっていっている曲。


夜中3時を越すと眠るのを諦めるクセがある

この始まり方いいよね…綺麗なだけじゃなくしっかり重みもあるピアノというか。
私、aikoのピアノ系の曲(説明下手すぎる)がほんと大好きで。aikoはピアノと向き合って曲を作るから、なんだかその瞬間に近づけるようですごく嬉しいの。ライブとかでの弾き語りも、aikoが曲を作ったその時の姿と重なって見えて、そんな姿を見せてくれて歌を聴かせてくれてありがとうってめっちゃ泣いてる。

頭の中で夜は息をする
明日世界が変わってないように

綺麗すぎる歌詞がもう…。
「夜は息をする」…??どういうこと??ってなるけどすごくすごくわかるんだよね。わかんないんだけど、感覚的にわかるの。
「明日世界が変わってないように」ってaikoが夜に呟くの解釈一致すぎてやばい…と思って過去のインタビューなんか見直してたら、aiko officialのインタビューで

「歌詞の中に“明日世界が変わってないように”というフレーズがありますけど、私は子供の頃からずっとそう思って過ごしてきているんですよ。起きたときに自分も含めて世界がガラッと変わってしまっていたらどうしようという不安があったから、いつからか寝るのを我慢するクセがついて、どんどん夜更かしをするようになったんです。そんな想いがそのまま歌詞になった曲だったので、主題歌のお話をいただいたときに『あ、ピッタリ重なる曲がある!』と思って。

aiko official website discography 「いつ逢えたら」より引用

すごく納得する。この歌詞はaikoだからかけた歌詞なんだな。いつもどの曲ももちろんそう思うんだけど、『ラジオ』を聴いた時に「aikoにしか書けない…」と思った感覚とすごく似ている。
「明日世界が変わってますように」じゃなくて「変わらないでいてほしい」って思いすぎて眠りにつけないところがもう…
aikoはそんな夜を何度超えてきたんだろう。でも本当にaikoは夜更かし通り越して朝寝の人すぎるからほんと早く寝てほしい、、笑
でも、私たちが眠れない時この曲を聴けばaikoが寄り添ってくれる。眠れなくてもいいよって大丈夫だよって教えてくれるような曲。

あなたにどれだけ冗談言えるか
書き直した文字悩んでは消して

このフレーズすっごい響く。鬼刺さる。あなたに冗談言いたいよね。でも言いたいっていうよりは、もっと言えたらいいなっていつも思っちゃう。「変って思われたらどうしよう」って思ってちょっとおちょけたこと言おうと思って書いてたSNSの返信も何度も書いて消して繰り返す。特に深夜帯って無理だよね、ポンっと迷いなく返信するの。私しか息をしてないような気がする静けさだからより、ずっと考えちゃう。それに、あなたはきっと起きていない時間だからあなたとのトーク画面開きっぱなしで、過去の会話とか遡っちゃって「あぁ、この時もっとあんなこと言えたらよかったなあ」とか余計なこと考えて余計どんなこと返したらいいかわからなくなる。

でね、ここすごくいいのが「あなたにどれだけ冗談言えるか」のとこ笑ってるんだよ…。笑いながら歌ってるのが伝わる。絶対笑ってる。笑ってるっていうか微笑んでる。


いつでも不安

まぶたの裏で絵を描いた
戻れなくなりそうなところで眠りにつく

どんな絵なんだろう。きっと目を閉じて、いろんなことを思い描く。あなたとのことも、そうじゃないことも。きっと嫌なことも思ってしまったり。でも夜中ってそうだよね。ぐるぐる答えの出ないこと考えたりネガティブになりがちだったり。
眠りにつくあたしは色々考えてる時に仰向けだったけどこのシーンは横を向いて眠りにつく姿が想像できる。
外では郵便配達のバイクの音がしていたりして。まぶたの裏で描いていたいろんなことを消すようにギュッと目を閉じる。

心強い言葉は怖いから
とにかく触って手を握って

言葉じゃなくて体温であなたの心を信じることができる。心強い言葉を信じすぎた経験があるのかもねこのあたし。だから信じて違った時辛いから、本当にそう思ってくれているなら言葉じゃなくてあたしに触れて手を握っていて。ってこと、、、
唇はもちろんなんだけど手や指が「触れる・触る」って結構重要だよね。
え、てか待って、触る(さわる)と触れる(ふれる)って意味ちょっと違うんだ…あんまり意識したことなかった。

触る…手などの体の一部をあるものにくっつける
   こと。何かが体に当たって、そのものの存
   在が感覚的に認識されるという場合にも使
   われる

触れる…ある物がほかの物に、瞬間的に、もしく
    は軽くくっつくこと。また、「言及す
    る」という意味や「規則などに反する」
    の意味、「ちょっと見たり聞いたりす
    る」の意味など、多くの意味合いを持つ

この2つの微妙なニュアンスの違いは
触れるは、そっと軽い接触
触るは、ある程度の強さを持って動かす
って感じ…?

触るも触れるも意思を持ってるんだけど、触るは確固たる想いを感じる。aikoの歌詞には「ふれる」も「さわる」も出てくるけど、それぞれの歌詞を読んでいくと、その違いがはっきりしてくるように感じる。そういう同じワードが出てくる曲のことについても今後書きたいかも。


いつ×3

いつ逢えたら
いつ笑えたら
いつ帰ったら
脱ぎ捨てようか
あたしの守った心はあなたがくれたもの

この「いつ」三連発攻め…すき。
この3つの「たら」って全部「脱ぎ捨てようか」にかかってるのかな。それともそれぞれの後に歌詞では表現してない気持ちがあるのかな…

いつも、この曲のこのサビを歌う時背筋を正さないと歌えなくてここだけめっちゃ姿勢良くなる。でも、そういうことかも、って最近思いはじめた。あたしもあなたとちゃんと向き合ってひとりの夜にあなたを想って背筋を正してたりするのか持って。(何を言ってる?)

このサビ最後の「あたしの守った」のそれぞれのロングトーン気持ちいいよね。このロングトーンは裏声じゃなくて地声からのミックスボイスなのがとってもすごい。(プロにすごいと言うのはどうなんだと思いつつ)裏声では出せない表現というか、強さの中の優しさというか…

あと「あたしが守った」じゃなくて「あたしの守った」なのは「心」にかかるからなのかな、、、この場合の「の」って所有の意味なのかな…
結構ずっと「あたしが守った心」っていう主格的な意味で捉えてたけど、「あたしの心」って所有格的な意味なのかもね。あなたがくれた心だから守ったんだ…大事に。まだ全然ここ咀嚼できてないけど、歌い方で想いは強く感じる。辿り着きたいな。


aikoのブレなさ

あなたの涙飲み込んだとしても
想いを何度重ねたとしても
揺るぎないものとはいえなくて
無意識にも引き返せないの
身も心もあなたの形

涙を飲み込む…か。ここのフレーズたちって「相思相愛」感あるよね。やっぱりaikoの中にある確固たる”恋愛の核”というか”あなたとあたしの形”というかもはや”人間関係の本質”が表れてる。
「想いを何度重ね」てあなたの心をわかったような気持ちにその瞬間はなれたとしても、「やっぱりわからない」ってなることもあって、絶対的なことではない的な。

「無意識にも引き返せない」って文法がちょっと気になって調べてみた。
「にも」は「に」(格助詞)+「も」(係助詞)
その中でも「〇〇にも〇〇ない」の形に近いのかな。本当は〇〇には同じ動詞が用いられて「その動作をどうしてもできない」、または「その動作をするのをためらう」という意味になる。ちょっと今回はそれとは違うかもしれないけど、意味的にはこれが近いかなーとなんとなく思う。
「無意識」の後に「引き返す」っていう動詞が省略されてそうな気もするから余計。

(無意識に)[引き返す]”にも“[引き返せ]‘ない’

うーん、難しいかも。でも、1番では「戻れなくなりそうなところで眠りにつく」ことができてたのに2番では引き返せなくなってる。

「身も心もあなたの形」ってところに愛の深さを感じるよね。さっぱりした恋愛してたらこんなことないよ。本当はあなたを全てわかりたい、けどそれはできないから。知りたいと思えることってすごいよね。愛の成せる技だなあって思う最近特に。特に歌い方では「形」の揺れが好き。

ここの2番のAメロに関して、先ほどのインタビューでaikoはこう話している

「島田さんのアレンジが本当に素敵で。リズム録りを終えた段階で、ふと2番のAメ口はちょっとメロディを変えて歌おうかなって思ったんですよ。ここ最近は決まったメロディに固執することなく、とにかく楽しんで歌おうっていうモードになっているというか。ライブと同じ感覚で、レコーディングにも自由に向き合えている気がします。それで、実際メロディを変えて歌ってみたら、『すごくエモーショナルになっていいね。演奏もグッと違うフレーズを弾きたくなったよ」って島田さんが言ってくれて。その瞬間、『あー、みんなで音楽を作ってるなぁ」って感じがしてすごく嬉しかったですね。レコーディングは本に楽しかったし、ライブで歌うのが今から楽しみです」

aiko official website discography 「いつ逢えたら」より引用

泣ける…。こうやってaikoとみんながお互いに影響されあって”音楽”が生まれて行くことが本当に尊い。aikoのライブは毎回「音楽だなあ。私音楽の中にいるなあ」って思うんだけど、このインタビューを改めて読んでLLP24の武道館公演を思い出した。2024年2月29日、3月1日の二日間で行われたLLP24の追加公演。
この2日間は特に、いつも以上に「音楽だ。aikoとみんなと音を楽しんでいる…今音楽になってる」って思う瞬間が沢山あった。
いつでもきっとそうなんだろうけど、この『いつ逢えたら』のレコーディング、そんな”音楽”の中で生まれたフレーズがあると知ってジーンとした。


エモーショナル

このフレーズのピアノのフレーズ、すごく綺麗だよね。鍵盤に星が流れてるって思った。再録する時にaikoが島やんにリクエストしたフレーズらしい。

意味深な間に
ふと浮かぶ 思い込んだ呪文とかき立つ甘い乱れ
流れ星のようにいかないで
お願い離れ離れにしないで

「意味深な間」ってなんだろうね。あなたと話してる時の微妙な間のこととかなのかな。楽しく喋ってても、ふっとたまに訪れる沈黙のことかなと想像した。その一瞬の沈黙の中にさえあたしは不安を見つけてしまう。
「思い込んだ呪文」って表現いいよね。呪いとはまた違うんだろうけど、傷つくのが嫌だから自分に言い聞かせるって感じに捉えた。
「かき立つ」…心の奥に潜んでいる感情が湧き上
       がる

この曲通して感情の揺れがあまりない、というか感情が高い位置でそのまま保たれているイメージがあって。泣きそうでもないんだけど心臓が軽くドッドッドッてなってる状態というか。
でもこのフレーズの「甘い乱れ」から「流れ星のようにいかないで」の流れであたしの感情が今まで以上にドバーーーーってなってる気がする(擬音多め)これが島やんが言う”エモーショナル”ってことなのか。エモい、、ってことか。

てか「流れ星のようにいかないで」ってワードセンスやばくないか…流れ星のようにって結構一瞬だよね…あなたとずっと一緒にいたいけどすぐあなたはいなくなっちゃう。
「お願い離れ離れにしないで」ってまるで夜空に願うような切実なセリフすぎる。満月にお願い事すること多いけど、今回は切なすぎるからそうじゃなさそう。夜空にお願い事してそう。なんなら窓越しに見つめる夜空って感覚。ある程度隔てられてる感ある。ベッドの上で座って窓の外の夜空を眺めてるイメージがすごくある。
ここのピアノのフレーズが流れ星っぽいのってそういうこと、、。この曲通してストリングスもすごく素敵だよね…澄んでる空気感がすごく伝わる。


宇宙からあたしへ

このサビに行く前のドラムとストリングスとが高まって行く間奏大好きなんだよね…

いつ逢えたら
いつ笑えたら
いつ帰ったら
脱ぎ捨てようか
あたしの守った心はあなたがくれたもの
あたしの守った心はあなたがくれたもの

サビの歌詞は1番と変わらない。そこがまたすごくいい。aikoの伝えたいことはここなんだなって思える。あたしのブレない気持ちなんだろうな。
それがラストの「あたしの守った心はあなたがくれたもの」に集約されている感じがする。
1回目のそのフレーズからストリングスの音が多くなって(音符が増えるっていうのか?)まるで天体があたしの周りを周り始めるかのよう。
宇宙規模って感じがする。単純ですけど、でもほんとに。その広がった宇宙が最後2回目のフレーズ終わりストリングスが途切れるあの余韻で、あたしにギュッと集約される感じがする。

あと、ラストのロングトーンからのブレスがたまらなくいい。aiko自身もこのロングトーンを出し切った後のブレスで「歌手でよかったと感じる」と話しているけど、なんか本当にブレスに魂がこもってるというか。

そしてラストのピアノの煌めき。
映画の最後のシーンみたいだなあって思う。あたしが眠る窓の外で星がきらめく。
ピアノの音とaikoのブレスで始まりピアノの音とaikoのブレスで終わる。綺麗すぎる。

『いつ逢えたら』と『いつ逢えたら』

今回のアルバムに収録された『いつ逢えたら』は再録されているバージョンなので、久々にデジタルシングルの『いつ逢えたら』を聴いてみた。

まずイントロのピアノの響き全然違うんだね。再録の方が隣で歌ってくれてるみたい。エコーが少ないからかも。
あと全体的にサウンドが澄んでてちょっと尖ってるのが最初の方で、少しスモークがかかったというか優しさを増やしたサウンドなのが再録って感じがする。最初の方は歌声もストリングスもドラムも鍵盤も…全部がそれぞれに綺麗で音の粒が立ってる感じがする。再録バージョンは全てが調和してる。音質の問題なのかもしれないけど、調和がとても心地よくて、その中でaikoの歌い方に少し強さが増してる。

「あなたにどれだけ冗談言えるか」のとこは変わらず微笑んでた。だけど再録の方が微笑み具合が多い気がする。

アウトロのピアノ、ポロロロンが2回になってるのがいいよねやっぱり。星の瞬き感が増すし音が少し高くなるから、眠っているあたしにこれからいいことがありそうなポジティブさを予感させる。
交互に聴き続けてるから『いつ逢えたら』耐久してる気分になった。聴き比べも色々発見があって楽しいな〜。

おわり

だんだん回を増すごとにただの感想noteになっている気がするけど、今回も新たな発見があって楽しかったです。
再録の曲を聴き比べるっていう楽しみもあるよね〜。だから久々に色んな昔の曲聴いてみようかなと思った。
ちなみに今リアルに午前3:27なんですよ…
もう眠れないところまで来てしまいました(でもきっと寝るんだろうな4時過ぎくらいに)
深夜って不思議だよね。気持ちを持っていかれる夜もあるけど、色々なことに考えを巡らせる良い夜もある。
aikoはいろんな夜を超えてきた人だと思うから、今回の『いつ逢えたら』みたいな歌詞が書けるんだろうなあ。本当にすごい。
あとアニメを観たらもっと深まるかもしれないなと思いつつ観るに至ってません…。いつか観れたらいいな…そしてその時にはまた『いつ逢えたら』について新たな発見があると良いよね。

読んでくださった方いましたらぜひあなたの『いつ逢えたら』について聴かせてください🤝🏻
ありがとうございました!
次回は『blow』です



読んでくれてありがとうございました💐💙

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