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『残心残暑』 相思相愛

『残心残暑』を語るnote
第3回は『相思相愛』回です。

前回の『skirt』についての記事はこちら↓


もし読んでくれる方がいたのなら、
・楽曲考察初心者🔰
・音楽知識ほぼなし
・感情と勢い論
・個人見解

っていうことをまず念頭に置いてぜひ読み進めてください。



『残心残暑』


いや〜この『相思相愛』も配信された今年の4月から聴き込んで、もう実家のような安心感です。だから今回も初聴き”じゃない”メモの登場です。

『相思相愛』は今年のコナンの映画の主題歌としてつくられた曲で、映画の主題歌として発表になってから今も、本当に沢山の人に愛されていて本当に泣くほど嬉しいんだよね。
しかも、昔は毎年ちゃんと観ていたコナンの映画の主題歌ってことが本当にすごいなあって。しかも、コナン制作側の方も「aikoさんの好きなように書いてくださいつくってください」って言ってくれたとaiko自身から聴いて、本当にすごいなあって。とっても嬉しくなった。
映画の特設サイトでのコメントで

「音楽じゃなきゃ伝わらないこともあると信じて歌います」

とaikoが話していてとても泣いた。本当にaikoの音楽に対する真摯さグッとくる。だから私はaikoのことはもちろん、aikoの音楽も大好きなんだなと改めて感じた。
特設サイト aikoコメント↓


私が社会人になった2023年の春はaikoの前作アルバム『今の二人がお互いを見ている』に沢山支えられたし、出向になって職場が変わって迎える初めての春だった2024年の春は『相思相愛』に沢山救われた。本当にaikoに救われる人生…。
あ、やばい。背景だけで永遠に語れてしまう。本題に入りましょう。

相思相愛

初聴き"じゃない"メモはこんな感じ

もう勢いすぎるって…もう実家の安心感に包まれすぎていて何も言うことがなかったらしい。
でも本当にすごいことだよなあ…aikoの音楽はいつも、発売された時のことやめっちゃ聴き込んでた時期の記憶とともに私の中にある。本当にaikoは人生です。
初めて聴いた今年の4月、一回聴いただけで身体に馴染んでた。それはすごくストレートだからなのかなってずっと考えている。そしてアウトロのドラムロールが本当に好みすぎて、アウトロ耐久してたこともあったなあ。

そして本当に沢山の人に『相思相愛』が届いていてすっごく嬉しい。コナンの主題歌としてこの世の中に放たれてから、aikoを普段めっちゃ聴く人じゃない人からも「aikoの新曲めっちゃいいよね?」とか「コナン見たよー!aikoよかった!」とか。普段aikoを自分から聴くことのない母からも「aikoの今度の曲いいよね」って言ってもらえた。
本当に大好きです。何度でも言っちゃう。

情熱大陸(2024/9/1放送 aiko#1316)内では、今回のアルバム制作の裏側も放送された。その中で曲間の秒数を自らボタンを押して決めるaikoの姿が映っていた。『skirt』からの『相思相愛』
アウトロの鍵盤の重たい音が途切れてからaikoが静かにボタンを押し『相思相愛』の始まりまでの秒数が決まった。
スタッフの方が押した秒数とは0.3秒差。細部まで妥協せずaiko自身が決めていることを改めて知って、このアルバムはまだシャッフルで聴いていない。


言いたいことは全てここに

もう歌い始めから言いたいことこれじゃん!感。もうこれが『相思相愛』の本体と言ってもいい。

あたしはあなたにはなれない なれない
ずっと遠くから見てる 見てるだけで

“相思相愛”ってすごく幸せなことじゃないですか。相思相愛の意味を調べてみると

相思相愛…互いに慕い合い、愛し合っているこ
     と。「相思」は相手を慕うこと、「相
     愛」は互いに愛し合うこと。

普通「相思相愛」と聞くと、幸せで仕方ない2人を想像する。しかしこの『相思相愛』では、そんな幸せの中に生きるあなたとあたしを、”どんなに想い合っていても完全には分かり合えないから”というaikoの昔から変わらないスタンスで表現している。

「相思相愛」の意味を調べる中で気になった記載があった。

「相」は、相手の意と、相互の意と二つの意がある。「相思」は、相手を一方的に慕うことで、「相愛」は、相手を一方的に愛することであったが、この二語が結びついたら、お互いに慕い合い愛し合うという意になった。
(学研 四字熟語辞典「相思相愛」より)

もともともはそれぞれが一方的に相手を思いやるって意味で、それがセットになったことで”お互いがお互いを”になったってことか。へぇおもしろい。
でも考えてみれば、実際でもそうだよね。相手の気持ちなんかはわからないから、自分は相手を想ってることしか確かではない。だから相手が自分のことをどう思ってるのか不安にもなるし、いらない余計な妄想だって捗ってしまう。
あ、まって相思相愛ってそういうことか?自分たちは不安で仕方ないのかもしれないけど、2人を側から見ていると「お互いに思い合ってて素敵ね〜相思相愛だね」なんてことになるってことか。
相思相愛ってあなたとあたしを俯瞰してはじめて出る言葉なのかも。たとえ二人が両想いだとしても不安は常にあるんだもんね…えぇ…深い…

この「あたしはあなたにはなれない」って歌詞を初めて見た時から、『戻れない明日』と『だから』が頭に浮かんでいた。常に変化していくaikoの中で変わらない部分の一つなんだと感じる。

あたしはあなたじゃないから全てを
同じように感じられないからこそ

(『戻れない明日』)

あたしはあなたになれない
だからずっと楽しいんだよ

(『だから』)

うん…aikoの恋愛の真髄というか、もはやこれは恋愛に限らず人間愛じゃないのか?
aikoの核の部分なんだな。「あたしはあなたになれない、だから隣であなたをもっとわかりたいし、知っていけるのが嬉しい」
aikoだからこそ書ける歌詞、、、。aikoが書いて歌うから説得力が増す。恋愛って大きくみれば人と人だからね。aikoの歌は「広義のラブソング」なんだとずっと思ってるよ私は…

歌い出しから書きたいこと山ほどすぎて終わらなくなりそうなので次。


あたしが考えるどこかで生きるあたし

aikoの書く歌詞って現実味を伴った歌詞が多いと感じてるんだけど、今回はどこか着地せずにふわふわした感覚。aikoの歌い方も、現実というよりあたしの頭の中で考えていることを歌うようにとても柔らか。

どこかにある地球の 違う場所で息をして
どこかにある宇宙で キスをして泣いている

“どこか”という表現によってめちゃくちゃ想像の幅広がってる。個人的には、この”どこか”は今のあたしが生きる世界線ではないと考える。パラレル的な世界線ではあたしはあなたとキスをしている。
”今のあたし”よりも幸せな二人の形だったり、もしかしたら今と同じように少し不安を抱えつつもあなたが好きだと涙を流すあたしを想像してるのか。ここについては多分いろんな捉え方あるよね。「過去や今現在のあたし」なのかもしれないし「想像の中のあたし」なのかもしれないし。

あと、「地球の」の「の」の部分の音程がなんとも絶妙ですごく好きなんだよね。
歌い方とかメロディについては、しらスタ先生のYouTubeで『相思相愛』について楽曲解説されてるから見てない方は是非見て欲しい。歌い方の解説もあって最高


あたしはあなたを好きだけど

Aメロでは現実よりかはふわふわしている感覚だったけれど、少しずつ現実味が増していくような感覚。

楽しい事をあなたと沢山した
苦しい胸も幸せだったけど
もう何もかも海の中
粉々になった言葉も指も全部

ここの歌詞はじめて見た時、コナンの主題歌ってこともあって蘭が海の中に沈んでいってコナンくん(新一)が手を伸ばしながら助けに来るシーンが思い浮かんだ。
aikoは『相思相愛』を書いた時どのくらいコナンの事をイメージしてたんだろう。かなり今回、「和葉・平次」または「蘭・新一」の恋愛模様が脳裏に浮かんでくるような歌詞。

「苦しい胸も幸せだった」んだよね…この時あたしはあなたの気持ちが見えなくて不安が募ってそう。あたしはあなたのこと好きだけど、あなたはそう思ってくれてるのかわからない。まさに海の中に沈んでいくみたい。
言葉や指が「粉々にな」るってすごい表現だよね。でもすごくわかってしまう。


月の存在

そして再びサビで同じフレーズが歌われるが、最後に「月と目が合って笑う」というフレーズが歌われている。

あたしはあなたにはなれない なれない
ずっと遠くから見てる 見てるだけで
月と目が合って笑う

歌い出しの時よりも、Bメロを経て割と現実を伴って聞こえる。aikoの歌い方も少し強め、というか芯を感じる歌い方になっている。
あたしにとって、あなたとの今は両想いだけどあたしの片想いなんだよね。付き合ってても片想い。

この目が合った「月」は本物のお月様のこととは思いつつ、あなたなのではないかとも思ったりする。ほら、笑うと目が三日月みたいになる人いるじゃん、aikoみたいに( ◜︎ ◝︎ )あなたはそういう人なのかもなあ。
もし本物のお月様だとしたら、月を見て笑う感覚ちょっとわかる。いつも見てくれてるんだなあって感じるし、月はこんな今のあたしの気持ちさえもお見通しなんだろうなあとか。すごく嬉しいことがあった笑顔での帰り道も、とっても悲しくて悔しいことがあって涙を流した帰り道も、お月様は変わらずに見ていてくれた。隠し事できない感ある。
あぁ、あなたはあたしにとってそういう存在なのかも。どんな感情の時も私のそばにいてくれる。だし、あたし自身もあなたのそんな存在になりたいと想ってる。

黄色い月に真っ赤な星が寄り添う様に
いつ何時もあたしあなたの力になりたい

(『白い服黒い服』)

aikoの書く歌詞には「月」がよく出てくるけど、お願い事をしたりするいつも見守ってくれている神様的な存在の月とあなたを重ねた月がある。前者の方が圧倒的に多いけれど、今回は前者も後者もどちらもしっくりくる。


あたしにとってのあなた

さて2番。

本当は無い世界に 思い切り手を伸ばして
本当は無い暗闇 目を瞑り怯えてる

こちらは1番のようなどこかの世界線の話ではなく、きっと今のあたしの状況を内省的に描いている。
ほんとにaikoの歌詞は1番が感覚的(想った事を書きたいように書いた的な)で2番が内省的(1番を振り返りつつ厚みをつけて書いている)なことが多くてブッ刺さる。私的にはそう感じるだけで実際はわからないケド…。

1番が「どこかにある」で2番が「本当は無い」この対比もすごく響く。
届かない、自分がどこにいるのかも進む先も見えなくて怖くて。でもそんな時に救い出してくれるのは”あなた”なんだよね。夜空の暗闇に煌々としている月のように。

あたしにとってのあなたは暗闇から救い出してくれる存在なのも昔から変わらないポイントなのかも。

お願い気付いて暗闇から見つけて
(『すべての夜』)

暗闇は手を繋いで 寂しさは抱きしめあった
(『列車』)

今回の暗闇はあたしを包む暗闇。曲によってはあなたとあたしの暗闇もあるから、暗闇考察も深まりそう。


好きだからこそ素直になれない

次に逢える約束の日だけでいい
あなたの隣で素直に笑いたい
二人の夢は秘密だと
言えることだけであたしは生きてきたの

ここめっちゃ蘭と新一の恋愛模様を重ねてしまって心臓ギュンッだった。
ただあなたに逢えれば、隣で笑えてれば…あたしの一途なあなたへの想いが強い。
しかも「素直に笑いたい」なんだよね。あなたを前にするとどこか素直じゃなくなってしまうあたしがいるの超わかる…あなたとせっかく逢えたのにどこかで素直じゃなくなって家に帰ってから後悔するのやめたい。てか蘭も新一も、和葉も平次もせっかく逢えたのにお互いの前でどこか素直になりきれないとこあるよね。推せる。見守っていきたい。

「二人の夢は秘密だと 言えることだけであたしは生きてきたの」ここのフレーズ、あたしの中でのあなたへの想いの募り方が尋常じゃなくてサビへの加速度がすごい。アクセル全開。「”い”える”こ”とだけで”あ”たしは」の「い」「こ」「あ」のとこで強まるジャーン♪ジャーン♪ジャーン♪がすごく好き。確固たる気持ち。

「二人は将来結婚するんでしょ〜?」「え〜?秘密です!」
これはちょっと考えが浅すぎるけど、でもそうやって言われててもおかしくない二人なんだろうな。


人は愛することで自分を知る

繰り返されるこのフレーズ。あたしの中で揺るぐことのない気持ちなんだろうな。
そして2番ではこのフレーズの最後に「こんな恋をした今を」と歌われる。

あたしはあなたにはなれない なれない
ずっと遠くから見てる 見てるだけで
こんな恋をした今を

“こんな”恋。どんな恋?
あ、めっちゃ大喜利みたいになっちゃったな…
辛すぎる?苦しい?楽しい?不安?
なんかどれも違う気がするしどれも合ってる気がする。
きっと、今の時点ではあたし自身もこんな恋がどんな恋かはっきり言葉にはできないんだと思う。いろんな感情がありすぎて。ただ、「あなたを好きという気持ち」と「あたしとあなたは完全に分かり合えない」というスタンスだけは確かにある。
恋愛してる時って、自分のいろんな感情と向き合うよね。相手のことを好きでもっと知りたいと思うが故に焦ったり不安になったり。ネガティブだけではなくポジティブな気持ちも毎日生まれる。


ひとりとひとりの片想い

ここからの間奏、そして大サビに向かう想いがさらに募っていく雰囲気が大好きすぎる。
間奏の終わり「ジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャン」の音の厚みが増して高まっていくフレーズから

あたしはあなたにはなれない なれない

の「あたーしジャーン」ってとこ好き(伝わって)
一回サビに向かうために積み重なっていた音圧が「あた」でなくなるんだよね。ブレイク的な。からの「しは」で再び音の厚みが戻るところが大大大好き。

ずっと遠くから見てる 見てるだけで

少し切なさ混じりだけどこれからも変わらずあなたが好きという強い気持ちを感じるラスト。
あたしもあなたは結局ひとりとひとり。あなたの気持ちの全部はわからないからこそ、これからも分かりたい知りたい。前向きだけど切ない両片想いソング…
ラストのフェイクもとても好き。まるでこれからも続くであろう蘭と新一、和葉と平次の恋愛模様を想像させる。
本当にすごいこの曲…aikoのすべてが詰まってる。


胸が高まる音って

このアウトロも大好きなんだよね…フェイクからだんだん音が減っていき最後は鍵盤の音とドラムロールのみになる。
このドラムロールがあたしの胸の高鳴り、鼓動を表していて…”これからもあたしはあなたに進んでいきます感”最高すぎる。
このドラムロールを聴くだけで自分も誰かに恋をしてるかのような感覚に陥る。天才すぎる…

ラストのドラムの切り方もすごくいいよね。決意っぽい。
てかこうやってアウトロ部分を書きつつ『相思相愛』を最初から聴いてみてるんだけど、最初のフレーズにドラムって入ってないんだよね…「ずっと遠くから見てる」の部分から軽快に入ってくる。そして「どこかにある地球の」からは結構重ためにリズムを刻んでいて、それもあたしの静かな鼓動っぽいなって感じた。ドラムだけでもこんだけ感じられるんだ…一つの楽器に着目して聴くのも楽しいよね。ドラム知識ある方に解説してもらいながら聴きたい。

おわり

は〜〜ちょっと長くなりました。『相思相愛』楽しかった。

この曲はもうだいぶ仲良くなってる気がするから感じることも沢山あったな…。コナンの主題歌ってこともあったし、春にあった出来事やその時の自分のことなんかも思い出してジュワッとなった。

かなり人によって思うこと感じることが変わってくる楽曲だな〜って実感した!自分の中でも歳を重ねたら違うことが見えてくるんだろうなって思う。書いていく中でこの『相思相愛』はaikoのテーマソングなんだと勝手に想像した。

読んでくださった方いましたらぜひあなたの『相思相愛』について聴かせてください🤝🏻
ありがとうございました!
次回は『好きにさせて』です



読んでくれてありがとうございました💐💙

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