4文小説 Vol.18
危機感を煽るばかりではなく、もう少し前向きに捉えられないものか。
ときには考え方の異なる意見に傾聴してみようかと、「未婚化する日本」という本を紐解いてはみたが、「かつては、職場に若い人がいれば、"まだ結婚しないの?"と気軽に聞くことができました」「米の増産といいながら、水田が消えていく状況を止めないようなことでは、収穫量が減るのは当たり前」など、前時代的論調、人間は穀物かと問いたくなる表現が相次いで、刺激が過ぎた。
個々人の生活様式が多様化するのは、控え目に言っても弊害ばかりではないはずなのに、このたびのトピックに接して抱いた感想も、また同様だった。
恋愛至上主義の国では、波紋を企てたようなマスコミの切り取り報道も、その方面に消極的な人間の悪者扱いも、習い性と化してしまう。
―20代独身男性、デート経験なし約4割