4文小説 Vol.2
このところ好天が続いていただけに、予報通りの空模様に朝から落胆していた。
今年で還暦と一回り、同じ日に産まれたキング・カズが毎年ニュースを届けてくれるものの、季節の変わり目とあって天気に恵まれない年が多い。
結婚後10年のあいだ子に恵まれず、夫とは50代前半で死別、いまも20数年前に負った傷の後遺症に苦しみ、ようやく産んだ息子もパラサイトシングル、なにかと苦労が絶えない半生が空を泣かせるのだろうか。
そんな感慨に耽っているとキッチンから明るい声、空き容器に生けた野菜の茎がちょうど3輪の黄色い花を咲かせ、お金をかけずにプレゼントを届けてくれた。
―母の誕生日