【第1局】囲碁の世界におじゃまします
2023年6月、わたしは唐突に囲碁の世界に足を踏み入れた。
買いもの帰りにたまたま公民館の前を通ると、こんな貼り紙が目に入ったからだ。
囲碁の知識は「白と黒の石を使うよね」程度でほぼ皆無だが、なんといっても「初心者歓迎」だもの。
訪ねてみるとおおよその予想どおり、おじいちゃんばっかり。
でもいいの。楽しければ。
「こんちはー」と控えめにあいさつすると
それまで真剣に碁盤を見つめていたおじいちゃんたちの視線がいっせいにこちらに刺さる。
さらにはみんな、目が点である。
「どちらさま?」
「どちらに御用で?」
囲碁のことはなにも知らないが、興味があるから見学したい。
そう伝えたらちょっと困った顔をしながら、でもすごく歓迎してくれた。
看板に偽りなく「初心者歓迎」でほっとする。
週に1回の囲碁倶楽部。
次で5回目だ。
せっかく知識ゼロからのスタートなので、ゼロからの成長記録をつけてみようと思う。
今月のポイント:「囲語」がわからない
はじめは雰囲気をつかむためにおじいちゃんたちの対局を横から見ている。
もちろんなにが繰り広げられているかはまったくわからないが、ちょこちょこ解説してくれる。
残念ながらまだちんぷんかんぷんである。
そして対局を終えたおじいちゃんたちが代わる代わる、手とり足とり教えてくれる。
直接教わっても、なにを言っているのかわからない。
囲碁用語がわからないからだ。
おじいちゃんたちの口からは実になめらかに囲碁用語が出てくるのだけれど、わたしにとってはもはや外国語か暗号である。
ルールもだけど、言葉を覚えないとコミュニケーションが取れない。
ただ、シマを広くしていくゲームなんだろうな、とはなんとなく分析できた。
おぼえたこと
碁盤には線がタテヨコ19本ずつ→19路盤
線の数が少ない13路盤や9路盤もある
石は縦線と横線の交差点に置く
囲めば(石から線が出ていない状態)取れる
石を取るゲームではなく陣地を広げるゲーム
あと一手で取られる石はアタリ
着手禁止点…置いても1本も線が出ないところ
2眼(がん)ある陣地は取られない→まだ理解できていない
欠け目…不完全な眼→まだ判断できない
最初の定石は3×3の位置
隅のほうが陣地にしやすい
どまんなかは「天元の目」
段級位のいちばん下は15級
いわれてもわからない囲語
ケイマ
コウ
コスミ
シチョウ
ウッテガエシ
生き死に
カケツギ
ハネツギ
たぶん、いちばんだいじなのは生き死にの理解だと思う。
「どうやって2眼つくるか(=生きるか)なあ」と、みんなよくつぶやいているので。
今の状況
おじいちゃんたちにYouTubeやアプリで勉強するといいと言われて、とりあえずアプリを落とした。
9路盤で、コンピュータを15級に設定してぼちぼち対局しているのだけれど、勝てない。
たぶん、ある程度「定石」をおぼえないと難しいんだろうなと仮説を立てている。
だとすると、アプリじゃなくて碁盤と碁石がほしい。
「こう来られたらこう置くよね?すると…」というシミュレーションがしやすそうだから。
おじいちゃんたちは
「えいみさんも早くおぼえて(19路盤で)対局できるようになるといいなあ」と口々に言う。
…お相手できるようになる気がしない。
でも、「筋があるから勉強したら伸びるよ」とも言ってもらっている。本当かね。でもありがとう。
…実家の母親に囲碁を始めたと知らせたら、
「おじいちゃんも囲碁好きだったよ」と。
言われてみれば、実家には碁盤がある。
もはや上にゴミ箱が乗っかっているけど…。
碁石もあるのかな。
ものすごいおじいちゃん子だったから、ちょっと嬉しい。
じいちゃん、わたし囲碁始めたよ。
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