ジャニーズ初心者の洋楽オタクがSexy Zoneの曲に大変衝撃を受けた話
去年の春頃、UKロック好きのある友人からLINEがありました。
「Sexy Zoneの新曲がすごい」
そう一言書いてありました。
Sexy Zone??
あのジャニーズのセクゾ??
突然のジャニーズグループの名前に疑問を覚えましたが、この友人は邦楽洋楽問わず様々なジャンルの音楽に精通し自身も楽曲制作に携わり海外でライブを行った経験もあるガチの音楽好きです。
そんな彼からわざわざLINEが来たのです。
これはセクゾの身に何かあったに違いないと思いました。
Sexy Zoneというと私の中では「Sexy Summerに雪が降る」というとんでもないトンチキタイトルの名曲をリリースしたというイメージが強い。
夏に雪を降らす訳のわからなさと王道アイドルソングアレンジのケミストリーにより中毒性を生み出すことに大成功したこの一曲。
ジャニーズにそれほど詳しくない私も大好きな曲です。
こんな意味不明なタイトルの曲を平然と世に送り出すジャニー喜多川氏はやはり只者ではありません(作詞自体は三浦徳子氏とのこと)。
試しにネットで「夏に雪」で画像検索すると過去に兵庫県六甲山で行われたという「真夏の雪まつり」というイベントがヒットしました。
イメージとしてはこんな感じだったのかなと思ったけど多分違いますね。
そんな彼らの新曲が「すごい」っていうとまた我々一般人が想像できないレベルの摩訶不思議ソングでもリリースしたのだろうか。
しかし友人はそのままこう続けました。
「ジャニーズがUKガラージをやってるんだよ!」
UKガラージとは1990年代中期にイギリスで生まれたエレクトロニック音楽のジャンルの一種です。
元はアメリカのディスコ、ソウルなどの影響を受けたガラージ・ハウスをピッチ(スピード)を上げてプレイしたのが発端とされているようです。
シンコペーションを用いた跳ねるような独特のリズム、キックドラムが4つ打ちではなく1・3拍目が強調されて聴こえるサウンドが特徴で「2Step」とも呼ばれています。
2Step音楽のアーティストといえばCraig Davidが有名です。
彼の1stアルバムは全世界で評価され「キング・オブ・2ステップ」とも称されました。
日本だとm-floの「come again」や平井堅の「KISS OF LIFE」が有名です。
K-popだったらCHUNG HAの「Roller Coaster」や、BTSの「Trivia 起 : Just Dance」、これも2Stepです。
しかしJ-POP史において誰もが知る2stepの大ヒット曲というと、数える程しか思い浮かびません。
要するに、大衆受けする音楽ジャンルではないのです。
それをジャニーズ所属のグループがアルバムのリードトラックとして発表したというのだからこれは面白い試みです。
さっそくMVを観てみることにしました。
あれ、ジャニーズってそもそもYouTubeにMV
あるのか?画像とか映像にはいろいろ厳しいイメージがあるけど。
検索してみると、ありました。
でも「Youtube ver.」という、フル音源ではないショート版の映像のようです。
(私は完全なるジャニーズ初心者の人間なのでこの界隈のルール等もほとんどわかっていません。ここから先はジャニーズ初心者の音楽オタクによる感想となります)
さっそく視聴開始。
ちょっと待ってくれなんだこれ、めちゃくちゃいいんだが。
まずイントロからハウスミュージック感全開。
というかこれはガラージ+ディープハウスなのだろうか。
歌詞は全編英語です。
この曲は明らかに今までのジャニーズ界における「アイドルソング」とは違って海外音楽シーンの流行を意識したと思われるアレンジです。
のちにフルver.を聴いたところラップパートでは最近流行りの3連符フロウも入れてるし、とにかくいろんな要素を含んでる楽曲なのですが、驚いたのがこれがめちゃくちゃポップで聴きやすいということ。
音数が少なく、トレンドでもある「引き算アレンジ」のわりと尖った構成だけど、歌詞はアイドルっぽい甘い感じに仕上げているし、彼らの「キラキラとした親しみやすいジャニーズらしさ」も見事に両立しています。
これは確かに音楽好きなら「セクゾの新曲すごい」って誰かに教えたくなるし、色々音楽的専門用語使って語りたくなる気持ちもわかる。
「RIGHT NEXT TO YOU」で検索したところ、一緒にダンスプラクティス動画も出てきました。
え、ジャニーズってこんなにダンスのレベル高いんですか…
これがまた綺麗に揃ったシンクロダンスです。
すごく印象に残るコレオなんだけどこれ振付師誰なんだろう…調べたけど確定情報が出てこなかった。
あとなんか1人すごくダンス上手い子いない?
彼は誰なの?
他の3人ももちろんめちゃくちゃ上手いんだけど、K-POPを見続けてダンスに対して目が肥えてしまってる人間から見ても魅力的な見せ方をしてる子がいる。
調べてみると彼は「松島聡」くんだということが判明。
松島くん?!
なんかデビューした時と雰囲気違くない??
私の中のイメージの彼はデビュー時はすごく素朴な感じで可愛らしい男の子っぽさがあったけど、このダンプラ動画では金髪にオーバーサイズのシャツ、スキニーパンツでオーラ全開です。
細い手足のシルエットが美しく、とにかくダンスのキレと緩急がすごい。
後の3人もそれぞれ個性と表現力があってグループとしてバランスがすごく良いし、Sexy Zoneがこんなに踊れるグループだとは知りませんでした。
今までなんで彼らをスルーしてたんだ私…
そしてこの「RIGHT NEXT TO YOU」、シンプルに映像作品としてクオリティがはちゃめちゃに高いんです。
これMVのディレクターは誰なんだ、と調べてみるとディレクターは田辺秀伸氏だった。
田辺さん!米津玄師の「Flower wall」とか髭男の「イエスタデイ」のMVを撮った人だ!
色使いやカメラの切り替えタイミングが絶妙で印象に残る映像をいくつも制作してる方です。
今回も色鮮やかなイエローの衣装と眩く光る明るい背景、そしてそれに対比するように薄暗く治安が悪い雰囲気のセットを用意して緊張と緩和を上手く演出しています。
田辺さんですか?
妖しげに明かりが灯る仄暗い部屋の中で菊池風磨にサングラスをかけさせて屏風の前に立たせたのは。
これは優勝です。
あまりに性癖に刺さって画像を貼りたくなってしまったので、代わりにMVのイメージに近い(っていうわけでも全然ないのだが)京都、建仁寺の屏風の画像を貼っておきます。
あと佐藤勝利くんの0:52のところの表情変化がその名の通り完全勝利。
こんなにも可愛らしく甘いお顔のアイドルの真横に、美しくもグロテスクにも感じられる蝶の標本なんてものを置いてなんつう顔をさせているんですかここのMVスタッフは…
セクシーサンキューを世に広めたケンティーに至っては流石プロのアイドルです。カメラの位置や目線の置き方を完璧に理解している動きをしています。
ダンスブレイクの途中で指を刺すところが最高だったのでケンティーのチッケムをください。
というかもう全員分ください。
あとK-POPのMVとか観てても思うんだけど、めちゃくちゃに落書きされまくった壁や浴室と男性アイドルって何でこんなに相性がいいんだろうな。
今回はそれに加えて真っ赤なハイヒールが風呂場に置かれています。これはけしからん演出。
というかほぼ初めてじっくりセクゾのMVを観た私ですらここまで魅了されて息も絶え絶えだというのに、ファンの方々はいきなりこの爆イケ映像を観せられて平静を保てていたの?
私、推しにこんなかっこいいUKガラージをこんな美麗MVで歌って踊られたら泡吹いて倒れてしまうんだが。
MV解禁当時のセクラバの皆さまのメンタルの状態を心配に思いながら、この日私はこのMVとダンプラ動画を交互に再生して1日で連続50回以上は再生しました。
それはもうジャニオタ並みに回しました。
それくらい楽曲もMVをレベルが高かったんです。
もうこれは是非ともフル音源が欲しい!
ジャニーズはサブスク配信は一部のグループしかしていないようで、セクゾは対象外のようだ。
それなら仕方ないiTunes Storeで買おう。
昔はたまに買ってたけど最近はサブスクで音楽聴いてるから久しぶりにiTunes Storeで曲を買うなぁ、一曲250円くらいだっけ?と検索してみたところ、基本的にSexy ZoneはiTunes Storeで楽曲を販売していないとのこと。
マジか〜〜!!!
というかこんなことすら知らないなんてジャニーズ初心者にも程がある(もはや音楽初心者)。
いやもうそういう会社の方針ならしょうがないとはいえ、これはあまりにも勿体なさすぎる!!せっかく世界に通用する楽曲やパフォーマンスなのに!!
CDと同じ価格分払うから配信してくれ頼む…
このライネクをきっかけに私は、最近のジャニーズはキラキラアイドル王子様路線の楽曲と並行してゴリッゴリの音楽マニア向けソングも作っているということに気づいてしまいます。
(そしてのちにKing & Princeの「Magic Touch」というヤベー楽曲に辿り着くことになりました。今回はセクゾの記事なのでこの曲に関してはまた今度書きたい)
(ということでこちら、5ヶ月ほどかけてやっと完成しました)
そしてライネクの衝撃から約一年が経った2022年5月。
セクゾのフルアルバムが発売されるというニュースを聞きました。
うおおおおこれはまた新しいジャンルの音楽をジャニーズ的解釈で生み出してくれるのか?!
とさっそく検索したところ今回のアルバムのリードトラックのMVが出てきました。
前回はガラージだったけど今回は何かな!
シティポップ〜〜〜!!
このサウンドは80'sシティポップです。
ここ何年か海外では80年代の日本のシティポップ楽曲が再評価され、山下達郎や竹内まりや、松原みきなどの楽曲がYouTube上でも大幅に再生数を伸ばしており、世界中のDJたちがシティポップ系アーティスト達のレコードを買い集めているのです。
この流れは日本の音楽シーンにも浸透しており、3年前にリリースされたサカナクションの「忘れられないの」も80年代シティポップを意識したMVやCDジャケットで話題になりました。
今回の「THE FINEST」は日本語と英語を織り交ぜた歌詞でイントロからもうシティポップサウンド全開、しかもMVが80年代アニメED風です。
たまげました、これは発注するジャニーズ側が現在のシティポップブームを完全に理解しているのだと思います(昨今海外ではシティポップ楽曲に80、90年代懐かしアニメの映像をミックスした動画が流行しているのです)。
ジャニーズグループのMVなのに本人達は出演せず、おそらくメンバーだと思われるアニメキャラクターが描かれ登場しています。
(きまぐれオレンジロードみたいな作画がめちゃくちゃエモい)
アニメ制作を手掛けたのは、日本のアニメーション・チーム「NOSTALOOK」。
グラミー賞も受賞経験のある英国出身のシンガーソングライター、Dua LipaのMVも手掛けたこともあります。
やはり今回の曲もシティポップを全面に押し出しつつジャニーズらしさも残しています。
最初から最後までバッキバキにベースを主張させた今回のトラックはNulbarichのJQ氏が作ったとのこと。
Nulbarichはソウル、ファンク、ジャジーヒップホップなどのブラックミュージックをベースにした音楽性が特徴のポップロックバンドです。
メンバーを固定せずに楽曲によってメンバーを変えて活動しています。
今回の「THE FINEST」でも彼の持ち味であるアーバンな雰囲気が炸裂しており、特にCメロのベースでは頭を抱えてしまいました。
このベースラインだけ聴かされてJamiroquaiの新曲ですって言われたら信じてしまいそう。
というか程よくエッジを効かせたハスキーな歌声の子がいる。
この声は誰なんだ…今回MVがアニメでメンバーのキャラが歌ってるシーンもないし、誰なのか全然わからん。
どうしても知りたかったので色々調べたところ、NHK BSプレミアムで放送中の「ザ少年倶楽部」という番組内でこの曲を初披露するとのこと。
ナイスなタイミング!さっそく観てみました。
あれ、今回は3人?松島くんはお休みなのかな?
どうやらこの「THE FINEST」はライネクのようなシンクロダンスではなくボーカルで魅せる曲らしい。
風磨〜〜!!!!君か〜〜!!!!
リアルにテレビの前でこんななってしまった
エッジ、フォールを上手く使いさらにセクシーファルセットを決めて見事にそのグループ名を体現していました。
ライネクのMVの時から思ってたんだけど風磨くん表情管理のレベル高くない?
つうかみんな生歌が上手いな…
セクゾ、こんなに歌って踊れるのか…
"Mild"も地球の裏側で"Wild"になるっていうのはこのことだったんやな…
今回のアルバム「ザ・ハイライト」は、「レトロ」をコンセプトにしている一枚なのですが、NHK「Venue101」でセクゾのみんながゲストで出演した回を観たところ、このコンセプトはメンバーによる考案のようです。
このアルバムはNulbarich以外にも、「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌、松たか子の「Presence」をプロデュースした東大卒の天才トラックメーカーのSTUTS、低音ボイスとソウルフルなグルーヴで業界でも話題のシンガーソングライターIri、秦基博や岡崎体育など数多くの実力派アーティスト達が楽曲を提供していました。
ジャニーズ本気出し過ぎやろ。
セクゾ、このまま時代を創っていってくれ。
というわけで去年に引き続き今年もセクゾの曲に打ちのめされ、この度無事にセクゾの沼に入水することになりました。
この歳になってジャニーズグループにどハマりするとは、人生わからないものです。
彼らが出演しているバラエティ番組の映像をいくつか観たのですが、わりとマジで面白すぎて腹よじれました。
もうなんか「セクシー」という言葉を聞きすぎて「セクシー」という言葉がゲシュタルト崩壊してしまった。セクシーとは(哲学)。
あと私はバラエティでパンストを被ったアイドルを見るのは人生でこれが3度目でした(結構あるな)。
これからも彼らにはセクシーで笑いと感動を届けてほしいところ。
まだ最近の楽曲しか聴けていないので、オススメ楽曲があったらセクラバの皆様ぜひ教えてください。
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