医心館で「緩和ケアは全ての患者さんに必要なもの」というのを実感しています
医心館ではいろいろな分野の専門・認定看護師が専門性を活かして現場で
活躍しています。
今日はその中のお一人で、緩和ケア認定看護師の小田桐さんにお話を伺い
ました。
病院と医心館での緩和ケアの違い、認定看護師として培った知識や経験を
医心館でどう活かしているのか、あらためて「緩和ケア」を考える機会に
なったインタビューです。
小田桐さんのプロフィール
緩和ケア認定看護師を目指したきっかけ
- 最初にお聞きしておきたいのですが、緩和ケアの認定看護師を目指されたきっかけはなんだったのですか?
小田桐さん:
緩和ケア第一人者である看護師のドキュメンタリーを観て、どんな環境の中でも希望は見つかるということに感銘を受けて、 緩和ケアって素敵だなと思い認定看護師を目指しました。病気になって戻れない場所、戻らない機能、戻れない日々があるということを知り、そういう辛さを抱えている人を笑顔にしたり、希望を持ってもらう関わりがとても素敵で、それを自分も追い求めたいと思いました。
転職先として医心館を選んだ理由
- 転職を考えたきっかけと、医心館を選んだ理由を教えて頂けますか?
小田桐さん:
元々大学で看護を学ぶ頃から、緩和ケアの認定看護師の資格を取りたいと思っていました。
病院に入職しいろいろな領域の看護を経験することができましたが、訪問看護を通し在宅療養がご利用者様にとっても、ご家族様にとっても理想の環境だと思いました。
しかし在宅看護を続ける中で、ご利用者様やご家族様から「不安だから病院に行きたい」という訴えが意外と多くあり、ご家族様がいて自分が慣れ親しんだ環境というのはとても良いのですが、やはり医師や看護師がいない環境は不安でたまらないという事もわかり、在宅看護の限界を感じました。
一方、病院の病棟や外来勤務している際には、終末期で病院への救急搬送を繰り返し、病院に入院すると「やっぱり家に帰りたい」とお話される方が多くおられました。在宅療養で聞かれていた病院に行きたいという声とは相反する声が多く聞かれる状況があり、“在宅と病院の中間の施設があればいいのに”とずっと思っていました。
ご家族様といつでも会えて、ご入居者様のやりたいことがある程度でき、病院にいるような安心感を持って生活できる環境がベストだと思っていましたので、医心館を知った時はとても魅力的な施設だと思いました。
医心館青森の開設を知って、もしかして医心館だったら病院と在宅の良いとこ取りが叶うかもしれないと思い、医心館を転職先に選びました。
医心館での緩和ケア
- 医心館で行う緩和ケアは、病院と比べてどうですか?
小田桐さん:
緩和ケアは緩和の知識や経験があることが重要ではなく、ご入居者様に寄り添いたい、ご入居者様の声を聞きたい、ご家族様を支えたいというご家族様も含めたケアを大事にするという事が大切で、そう思える方が向いていると思います。ここ(医心館青森)にはそれを実践しているスタッフが多いので、私自身は病院の時と比べてみんな同じ方向を向いて働けていると思います。
緩和ケアの内容には薬剤を使用した苦痛緩和やスピリチュアルケア、社会的側面もありますが、一番大切なことはその方自身を大切にでき、その方の考えを尊重し、ご家族様も含めてケアすることができるということだと思います。そういう点では医心館青森のスタッフは本当に頑張ってくれています。
日常の業務は忙しく、急性期の病棟に近いところもありますが、その中でもご入居者様の話を聞き、ご家族様の話を聞きに行き、そこから得た情報をもとにスタッフ間でカンファレンスをして、皆でその方にとって一番いいケアを考えるという流れが出来上がっています。
- スタッフに緩和ケアとは何か、ということが浸透しているようですが、小田桐さんはどのようなサポートをしていますか?
小田桐さん:
ご入居者様が終末期に向かっていく時にどういう声がけをするか、どうやってご家族様やご入居者様とやり取りをしていくか、どういうタイミングでどういう言葉がけが必要かなどで悩んでいることが多かったので、タイミングが合えばベットサイドに一緒に伺って、こういう風に話すといいよという見本をみてもらったりしています。
柔らかく表現を変えることはとても大切で、ICの時に主治医が病状や予後についてストレートに伝えてしまっていることを、ご家族様の心情を引き出しながら言い換えることだけでもご家族様の心情は全然違ってきます。これは看護だけでなく、介護スタッフでもできることなので職種を問わず伝えていることです。
- 小田桐さん自身は、病院での業務と比べてギャップを感じましたか?
小田桐さん:
医心館は思っていたよりも忙しく、ゆっくり関わる時間が持てないことに最初は違和感がありました。でも医心館では、ご入居者様の大事な局面で、ご入居者様とご家族様に傾聴することを自分が出来なくても、他の看護スタッフや介護スタッフがお互いに協力しあってできています。仕事の忙しさへのギャップはありますが、自分のその日の受け持ちの方に専念できる環境がありしっかり向き合えていると思います。
- 医心館で緩和ケア認定看護師の資格が活かせていると思いますか?
小田桐さん:
私の恩師の言葉で、「緩和ケアは全ての患者さんに必要なもの」というのがあります。
いつも緩和ケアを行う上で支えにしている言葉なのですが、その言葉通りがん末期の方だけではなく気管切開の方やパーキンソン病の方も、病気になった辛い思いを抱え、もう戻れない過去の悔しい思いや辛く悲しい思いを抱えているので、その方たちに関われるのは、緩和ケアの認定看護師としてはとても価値があり、経験が活かせていると思います。
- 「緩和ケアはすべての患者さんに必要」という恩師の方の言葉がありましたが、どうしても緩和ケア=がん末期というイメージがあるのですが・・
小田桐さん:
緩和ケアが、がんの終末期の方のものというのが長い間の経緯で浸透していることもあり、皆さんがどうしてもそういうイメージをお持ちになっているのは仕方がないと思います。
がんになった方の苦しみの緩和に関わりたいというお気持ちはよくわかるのですが、そこの視野をまず広げて頂いて、医心館の“ひとりにはしない”というキャッチフレーズを元に提供されているケアが、様々な疾患、状態の入居者様の生活の質を向上させるもので、緩和ケアに繋がるということを知って頂きたいと思います。 医心館では、がんの終末期の方がたくさんご入居されるので多く関われますが、そこだけではなく気管切開した方や、パーキンソン病や難病の方でご自身が生活してきた場所に戻れない苦しさを持つ方の苦しみを緩和するのも、緩和ケアなんだという事を知って頂きたいです。
- 緩和ケアに向いている看護師さんってどんな方だと思いますか?
小田桐さん:
やはりケアをしながら人の話をしっかり、ちゃんと聴ける方でしょうか・・もっと言うと、聴くだけでなく、その方の望むことを理解し対応できる方ですね。
優しく親身になってお話を聞き、相手がもっと話してくれるように工夫できる、そういう方が向いているんじゃないかと思います。
心に残るエピソード
- 医心館で様々な疾患の緩和ケアに関わってこられたうえで、心に残るエピソードや事例を教えて下さい。
小田桐さん:
特定の事例やエピソードではないのですが、医心館に入職して感じたのは気管切開をされている方が多いな、という事です。
気管切開をされている方のご家族は、その方に愛情をもって細やかなケアをされてこられています。そのようなご家族様に対し、しっかりとご家族様の声を聴いて、一生懸命ご家族に近づけるよう専門職者として知識や技術を活かし関わることで最後は“本当にここ(医心館)でよかった、ありがとう”って言って頂けるのを何度も経験しました。
ご家族様も、ご入居者様がお元気だった頃に戻れない苦しみや、こうなってしまったのは自分のせいだと思う辛さを抱えていることがあり、その辛さや後悔を自分たちが一生懸命ケアすることで補充しようとされている方もおります。そしてケアがうまくいかなかったり十分でないという思いを抱えていると、その方が亡くなった時に大きな悲しみや後悔が残ってしまいます。ご家族の後悔を防ぐためにも私たちが真摯に関わり、ご入居されてからの限られた時間になるかもしれませんが最後の最後までしっかりとニーズを把握して寄り添うケアを行うことにすごい意味があると改めて感じました。
医心館へ興味をお持ちの方へ
- 医心館に興味を持ってらっしゃる方へのメッセージをお願いしま
医心館は忙しいので、入職後「緩和ケア=ゆっくり関わる」ことができないと思われる方もいると思います。
忙しいからといって緩和ケアができないわけではなく、自分ができる時や大事なタイミングでご入居者様やご家族様とコミュニケーションが取れていれば、自分がどう関わるべきかがわかるので、医心館での緩和ケアを実践できると思います。
もちろんがんの終末期の方への関りも大切ですけれど、それ以外の非がんの方、例えば、気管切開となり言語的コミュニケーションができなくなった方、疾患の進行を実感されADLの低下と日々対峙されている神経難病の方などとの、その方の言葉にならないつらさへの意図的な関わりも大切です。寝たきりの方でも、いい音楽を聞いたり、楽しそうな職員の話を聞いたりすると症状が良くなったりします。医心館ではそういうことをご自身の経験を活かしてしっかりできるので、是非挑戦して頂きたいと思います。
インタビューを終えて
インタビュー中にもありましたが「緩和ケア=がん末期の方の痛みをとる」というイメージが先行していて、私もそう思っていましたので、小田桐さんのお話にあった「病気になってしまった苦しみという意味では、緩和ケアはすべての患者さんに必要なもの」という言葉が心に残りました。
医心館の「ひとりにはしない」こそ緩和ケアということを改めて認識したと同時に、
自分への「水やり」も緩和ケアに必要といってほほ笑む小田桐さんがとても素敵でした。
採用部では、今後も医心館内の専門・認定看護師さんのインタビューを
予定しておりますので、お楽しみに!
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