読書記録:経営者の視点系

1.ツイッター創業物語(ニック・ビルトン)

社会の新しいニーズを突き動かして巨額のお金が動き、事業の成長を喜び合う友情と、会社の経営権を渦巻く権力闘争と、人の複雑な感情が描写されて、どんな事業の裏側にも人間ドラマがあると想像力を掻き立てられます。
権力闘争におけるサービスに関する意見の対立からサービスが進化していく観点も面白い。

2.未来に先回りする思考法(佐藤 航陽)


人は今目の前で起きていることからしか将来のことを考えることができないが、現実は人が認知できないほどの膨大な要素に溢れ、複雑に影響し合って、社会を進化させているとの前提における先回りの思考法がとても学び深い

<Point>
・「飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう」とニューヨーク·タイムズが掲載してわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛び、予測を覆した
・ビジネスは間違っていれば衰退する、社会のパターンに対する考察を検証する上で最もシビアなツール
・人間の目で見るとなんの共通点もない事象も、データで分析してみると、人間は思っている以上にパターンの塊
・イスラエルがわずか人口800万人程度で、NASDAQ上場数がアメリカの次に多いのは、危機を認識したNecessityにある
・電子マネーの流通が増えてくれば、実体経済での取引量と名目上の通貨の流通量が一致しなくなるなど、社会インフラの当たり前すら変化していく
・現在の会計基準では情報を資産として計上できないが、情報の価値は高まっている
・人々の持つ価値観が切り替わるタイミングは技術の実現する利便性が、人々の抱く不安を上回った瞬間 
・ロジカルシンキングには、すべての情報を得ることができないという「情報」の壁と、意思決定者が持つ「リテラシー」の壁というふたつの障壁が存在する
・本当の意味で合理的な判断がしたいならば、非合理的なものを許容しなければならない


3.社長失格(板倉雄一郎)

NASDAQ上場を目指すほどの急成長を遂げていたハイパーネットの総額37億円に及ぶ破産の生々しい物語。
外部資本を入れることの重さや、ビジネスにおける人間関係と駆け引き、と成長戦略に伴う人の感情に触れることができます。

4.一勝九敗(柳井正)

ファストリ柳井さんの経営哲学が形成されていく変遷が学び深い。
会社の商売の規模に応じて人の活かした方が変えていく、など自己変革の重要度を考えさせられます。
特に下記の一節が印象深い

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スタートするのは簡単だ。資金さえあれば誰にでもできるが、それを「事業として利益を上げる」、「拡大再生産する」というのはものすごく難しい。しばらく赤字が続いたとしても、そこからブレークスルーできないと将来はない、ということになる。
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