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病児保育開設を目指すナースのお話。〜vol.4〜

ICU。
intensive care unit。

生命の危機に瀕した患者が入院している病棟。

より高度な医療と看護が求められる場所。

手術室から全く畑違いなところにやってきた。
アラーム音やら機械の作動している音やら。
何で鳴ってる?大丈夫?
アラーム音が鳴るたびに聞こえてくるナースの声。
『はーい、いまーす、大丈夫でーす』

朝はドクターの回診から始まるが、これがもうちんぷんかんぷんなわけ。
何言ってんだ?

ところが、先輩ナースたちはそんなドクターたちと丁々発止にやりとりしている。
え?分かってるってこと?このドクターの話が?
すげぇーー。もう憧れぇー。

このやりとりについていかないといけないってことか‥血の気がひく、青ざめる。

でも、楽しかった。

知識が増える、経験値があがる。
一人一人の患者やその家族とゆっくりじっくり向き合えることの喜び。
私に何ができる?患者の苦痛を和らげるために私たちができることは何?
壮絶な看取りのあとのデス・カンファレンス。
看護観がどんどん深まり熟成されていく。

私は今でもICUでの看護がいちばん好きだ。

ドクターとナースの会話に目を白黒させていた私も、10年という月日をICUで過ごした。

ICUから、救急病棟に配置転換し3年目が経とうとした頃。

『定年まであと何年?』
と考えるようになった。
そう遠い話ではない。なんとなぁく、自分の定年を迎えた時の姿が想像ついてしまった。

面白くないな‥

自分のこの先の未来が簡単に想像ついてしまうなんてつまらない。

来年はもう50歳か‥

『うん!決めた!辞めよ!』

そう決めてから、半年後に私は退職した。

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