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【漫画原作】イケメン俳優の弟に成り代わりってアリですか?【第一話】創作大賞中間審査ありがとうございました!
あらすじ
【イケメン俳優ばかりの2.5次元舞台に、人生迷子の姉が弟の代わりに出演!?】
バレエ一筋で生きてきたけれど、19歳で足に怪我をしてプロへの道を諦めたアキ。バレエという家族にも負担が大きいものに挑戦したのに家族に何も返せず、その上レールから放り出されたら出来ることもしたい事もうまく見つけられない自分に絶望していた。
そんな中、アキの弟・ヨウがスカウトされて舞台に出る事になったが、彼は稽古直前で事故にあい出演は難しくなってしまう。男女の姉弟ながらよく似ていた二人。弟の頼みによってアキは「世界で本当の意味で自分にしかできないこと」として、弟のフリをしてイケメンしかいない2.5次元舞台に出る事に!?
キャラクター設定
【主人公】須郷アキ 19歳
幼い頃からバレエをやってきたけれど、怪我をしてバレエを引退。何をすればいいのかわからず燃え尽き症候群になっていた。
バレエという家族の負担もかかるものにうちこんできて「何も手に入れられなかった」という罪悪感を家族に対して、特に弟のヨウに対して持っている。
【相手役候補1】海城 光 26歳
元アイドルの現芸能事務所社長。所属しているのはアキの弟・ヨウ一人。選ぶなら面白い方を、というのがモットーのクセのある人間。人を小ばかにするような話し方をすることもあるが、自分が一度認めた相手にはとことん惚れこみ支援を惜しまない。ヨウと結託してアキが男装して【ヨウ】として舞台をやり切るたくらみの首謀者。秘密を共有するなかで、努力家のアキに少しずつ心を寄せていく。
【相手役候補2】神崎 彰 20歳
舞台に対して何よりド真面目。無意識に出たアキの「2.5次元」を少し下に見るような発言に激高。そこからたびたびぶつかる事になるも、一人で努力するアキに少しずつ心を開く。アキが女性である事を初めて知ってしまい、秘密を共有していくことに。その真面目さから、守らなければ!と張り切るようになって心が揺れることに。
人物相関図
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本文 1話シナリオ
〇現代 主人公の住むマンション/薄暗い主人公の部屋
・ダンボ―ルの中にバレエの道具をしまい込む、主人公のアキ。髪はぼさぼさ、お風呂にも入ってない様子
・トゥシューズ、レオタード、タイツ、バレエ雑誌、とにかくバレエに関するものを真顔で箱にしまい込んでいる
アキ(……)
アキM『15年やってたバレエをやめた 15年間、私の全てだったバレエを』
・母親がそっとその部屋の様子を覗き込み、気づかわしげな顔で離れていく
・部屋に貼ってあるバレエのイラストや、自分が出た大会の写真も外していく。コンクール銀賞、須郷アキ、と名前が入っているものも。ちょっと眺めて、すぐ箱にしまい込む。
アキM『どうやって生きていけばいいのか、全部が分からなくなった』
・バレエのものを詰めた箱を押し入れにしまってから、顔を上げて見渡す。
アキ(バレエのやつしまっちゃったら……だいぶさっぱり、っていうか……殺風景)
・ほぼ空っぽになった部屋を見つめてから、ベッドにだらしなく転がる。
アキ(……せめて、高校生の頃に怪我したかったな……)
(そうすれば受験とか、もうちょっとどうにか……とにかく高卒無職だけは回避できたかもしれないのに……)
〇回想 昔のアキ
アキM『小さい頃からずっとバレエしかやってこなかった』
・一生懸命練習している幼い頃のアキ。教室で真剣な表情をして背筋を伸ばして、腕を伸ばしてもっと高くまっすぐ伸びようとする。
・小さな劇場、スポットライトを当てられるアキ。本番用の衣装で光るスパンコールと汗、イキイキとした表情。
・それの影の部分として、雪の中、大雨の中、お迎えに来ていたり、夜中まで衣装のスパンコールをつけたりしている母のカット。
アキM『でもバレエの神様とかは私にだいぶ塩対応することにきめたみたいで』
・転んでひざを抱えているアキ。みんなが心配そうに駆け寄ってきているカット
アキM『私の足は、バレエには向かない形になってしまった』
・美しく伸びた木のような左足に比べて、右足は膝が少し曲がったままになってしまっている。まっすぐに伸ばせない。
・ジャンプをしてみても違和感。鏡の前で泣きそうな顔のアキ。ひそひそとアキの姿を見て会話する先生たち、そっと首を振っている。
アキM『高いジャンプも出来ないし、これじゃあバレエは踊れない、……踊れるけれど、舞台には立てない。美しくまっすぐ伸びない足でトゥシューズをはいたって意味はない』
アキM『これはバチなのかもしれない、家族をかえりみず、自分の我を通した』
・小さな男の子がマンションの玄関で大泣きしているカット。男の子は、アキの弟のヨウの幼い頃。
ヨウ「おかあさんはお姉ちゃんばっかり! なんでオレと一緒に遊んでくれないの!」
母「ごめんねえ、でも……お姉ちゃんのバレエにはお母さんが必要なの、ヨウくんは一人でも大丈夫だよね、お兄さんだもんね?」
ヨウ「やだ! おかあさん、僕もいく! おかあさん、やだ!! いっつも僕お留守番、やだああああ!」
・バタンとドアが閉まる、泣いている弟に少し考えこむような顔をしながら、母と手をつないで歩き出す幼い頃のアキ。
アキM『子供の頃はぼんやりと、小学生以降ははっきりと理解していた――私のバレエは、家族の犠牲で成り立っていた』
〇現代 アキの部屋
アキ(……なのに、今がこのザマだもんねえ……申し訳立たないって)
・鏡に映った自分、ぼさぼさの髪を適当にまとめている。
・部屋も片付けたというか荒れた様相。バレエのポスターが貼ってあったところ、壁がそこだけ白い。
何かがあったものが失われた、のがわかる部屋。
・ふと、ゴミをまとめるビニールのヒモを見つめながら、部屋の中でぼんやりと立ちつくしているアキ。
・逆光でヒモをもって殺風景な部屋で茫然としている姿は、首でも吊りそうな雰囲気が出ている
アキM『バレエの舞台以外にいる自分に価値も見出だせない。今となっては学校にも行ってない、仕事もしてない、……何がしたいのかも、わからない』
・思い詰めるように、手にした紐を薄暗い部屋で見ている。それを持ち上げたところで意識を途切れさせるように声をかけられる
ヨウ「姉ちゃん! 何してんの、こんな暗い部屋でさあ……」
・暗い顔、重い髪のアキと違って、きらきらした様子のヨウ。
・何でもないと首をふったアキが机に置いた紐を、少し目で追っているヨウ。それからパッと意識を切り替えるように言った。
ヨウ「あのさー、オレめっちゃすげ~報告あるんだけど、聞きたい? ていうか聞いて!」
・暗い部屋の電気を勝手につけて部屋の中に飛び込んでくるヨウ。どうぞ、と発言を促すようにヨウに向かって手を向けるアキ。
・ニマニマとした顔を嬉しそうにぱっと花開くような笑顔に変えて叫ぶ。
ヨウ「オレさあ! この前スカウトされて! そんで舞台のオーディションとか受けたら……受かったんだよ!!!」
アキ「舞台……? あんたいつの間に……」
・ヨウ、少しわざとらしくドヤ顔をして見せる。
ヨウ「やったことないし、こんな機会めったにないし! やってみようかなーって!」
アキ「そんなノリでいいの……?」
ヨウ「何事もやってみてからだって! 2.5次元?ってやつで、知ってる漫画のやつだからいいなって思ったんだよね」
・スマホを見せてくるヨウ。画面には漫画『特殊警察クルゼイロ』という作品。
イケメンキャラが黒い軍服のような制服でキメている描写。
アキ「へえ……読んだことないけど、そうなんだ」
ヨウ「……姉ちゃんはさ、バレエじゃない舞台とかでないの? 映えると思うんだけど」
アキ「私は……いいよ。そういうのは別に」
ヨウ「そうなの? オレ……てっきりみんなにステージを見せたくてやってるのかなって思ってた」
アキ「……」
アキ(……私、何が好きでバレエをやってたんだろう 当たり前すぎて、考えた事もなかった……)
・茫然と考えこんでしまうアキの顔を見て、ヨウはスマホの画面をもう一度見せてくる。
今度うつっているのは公演決定のお知らせと、キャスト紹介をするページ。
ヨウ「これ共演する人。みんなかっこよくてすっごいよ」
アキ「結構、色んな年の人がいるんだ……ヨウの芸名どれなの?」
ヨウ「ないよ! まだここにはないの! これがオレ」
・スマホの画面の中に【ダブル主演のアラン役は一般含めオーディションで決定! 発表をお待ちください!】と書いてある。
アキ「シークレット扱いなんだ、凄いじゃん」
・アキの言葉に、顔をほころばせるヨウ。
ヨウ「チケット、家族用に取らせてもらえると思うから……今度はオレの舞台を見に来て」
ヨウ「それじゃあ、基礎レッスン行かないとだから! 稽古が始まる前に頑張らないと!」
・言い残して出ていくヨウ。振り返りながら言う。
ヨウ「舞台出たら、ちょっとは姉ちゃんとおんなじ風景、見れるかもな~て思ったんだよね、オレ」
アキ「…!」
・ひとり部屋に取り残されるアキ。
アキ(……あいつ、凄いな……身軽で、明るくて……)
アキM『ヨウに、私は何もしてやれてないどころか……きっと奪うばっかりだったのに』
〇現代 翌朝 アキのマンション 廊下
アキ(……久しぶりに、午前中に起きた)
・寝起きのアキが廊下を歩いていると、リビングから言い合いの声が聞こえてくる。声の主はアキの母とヨウ。
アキはリビングに入ろうとして、その声が聞こえて立ち止まる。
アキの母「舞台の話、アキちゃんにしたの……? アキちゃんは舞台に立てなくなって傷ついているのに! アキちゃんを苦しめるようなことはやめて!」
ヨウ「ごめん、とは思ってるけど……でも、……オレ、姉ちゃんはバレエだけじゃなくて、色んなことやってみてもいいと思うんだ、なんかきっかけになればって……」
アキの母「そうは言っても……」
・そっと離れるアキ。自分の部屋に閉じこもる。
アキM『トゥシューズを脱いだら、ただの人……っていうか、それ以下、だ』
・ドア越しにヨウがドアを開けて出ていく音と声が聞こえる。
ヨウ『レッスンいってきます! 夜には帰るから』
〇現代 昼間 路上
・思いつめた表情で道を歩いているヨウ。曲がってくる車に気付かない。
・音に気付いて顔を上げるヨウ、驚いた表情だが身体が動かない
・暗転
〇現代 病院
・病室に飛び込んでくるアキ。焦り、おびえた表情。
アキ「ヨウ! 大丈夫なの!?」
・ベッドにとびかからん勢いのアキ。ヨウの方がむしろ驚いた顔。アキの方を見て弱々しく笑う。
ヨウ「何とか、意識とかは大丈夫。あー、怪我は、この通りだけど……」
・足が固定されているヨウ。痛々しい姿だけど、息を吐くアキ。
アキ「……でも……よかった、即入院するくらいの事故って聞いたから、本当……意識とかないくらいかと……」
「どうにか……大丈夫そうでよかった。何か食べたいものとかある? あー…お使いとかは出来ると思う。早く治すにも食べた方がいいのかな~って」
ヨウ「大丈夫そう?」
・心配がほどけて早口になるアキの言葉を、静かに遮るヨウ。
・いつも笑顔だったヨウ、今は真剣な顔でアキを見つめている。
ヨウ「……全治3か月だって」
「……それまで、舞台は待ってくれないよ」
アキ「……ヨウ」
・ゆがんでいくヨウの表情。泣きそうに見える。
ヨウ「せっかく……これが最初で最後のチャンスなんだ!! こんなに大きい舞台の機会はもう二度とない……」
・アキ、ヨウが舞台に対してこんなに思い入れがあったとは知らず驚く。戸惑いながら返す。
アキ「……でも、そんな大きい舞台のオーディションに受かったってだけでも、十分次のきっかけになるんじゃ……」
ヨウ「……シークレット発表ってさ、替えがいるってことなんだよ。オレが下りたら、次の人がオレなんかいなかったみたいに合格するだけだって言われた」
・どんどん顔がゆがんでいって、ヨウの目じりから涙がこぼれる。
アキ(……久しぶりに、ヨウの泣き顔見た……)
・ベッドの上で、手で顔を隠して泣くヨウ。
ヨウ「ずっと……姉ちゃん、あんたみたいになりたかったし、尊敬してたし、……姉ちゃんみたいになれれば、母さんもこっち見てくれると思ってた」
アキ「……」
アキ(ヨウは私よりずっとちゃんとしてて、強いヤツだと思ってた)
(いつでもずっとニコニコしてたのって……我慢、してたの?)
・胸がつぶれるような気持ち。苦しさに思わず胸元を抑える。
アキ(……なんて言ってやれば……)
・会話を遮るように病室のドアをノックする音。ぼろ泣きのヨウを見てつぶやくアキ。
アキ「……あとにしてって言ってくる」
ヨウ「……いい、いれて……たぶん知ってる人だから」
・鼻をすすりながら言ったヨウに言われるがまま病室のドアを開けるアキ。目の前にいたのは、スーツを着た背の高い男。顔は整っていて、目元は涼やかで怜悧な印象を与える。
・その美しさに一瞬驚き、見惚れたアキ。
??「おや……これで男じゃないんだな? 確かにだいぶ似ているな。背もずいぶん高い。双子かと思った」
ヨウ「でしょ? でも双子じゃあないんですよ……ていうか、オレよりよっぽどかっこいいかも」
・初対面の相手に対してとは思えない言葉と品定めするような男の目線に、不機嫌な顔で口を引き結ぶアキ。
ヨウ「アキちゃん」
・アキが男に何かを言う前にヨウに声をかけられる。慌てて振り返ると、真剣なまなざしで見つめられる。
ヨウ「オレが、舞台に立つ未来を手にするには……クルゼイロに出るしかないんだ」
ヨウ「……だから姉ちゃん、オレの代わりにクルゼイロに出て」
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