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VIVE XR Elite体験会 参加メモ
体験会概要
主催:HTC NIPPON株式会社
日程:2023年2月11日(土)~13日(月)
場所:note place(東京都渋谷区神宮前3-1-30 Daiwa青山ビル 2F)
日本で初めて「VIVE XR Elite」が一般公開となる、事前予約制の体験会。今回はDay 1をゲームデイ、Day 2をメタバースデイ、Day 3をデベロッパーデイと位置付け、それぞれ異なる主題で体験が行われました。
私が参加したのはDay 3のデベロッパーデイで、平日日中での回となります。
※ 以下、口頭で伺った内容や私のテキトーなメモから起こしている内容で構成されるため、詳細スペック等は実際に調べられることをお勧めします。
※ 情報箇条書きです。
会場へ
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当日は雨。会場のnote placeは電車の駅からだと少し歩きます。
内部は開けたスペースが2つ用意されていて、今回は「LOUNGE」での開催、20~40人程度であれば使いやすそうな空間です。もう一つさらに広い「HALL」があります。
プレゼンテーション
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HTC NIPPON VIVE Ecosystem 政田雄也 氏
政田氏はBeatSaberの公式ランキングに載るくらいのBSやり込み勢。
VIVE XR Eliteについて
エコシステムを「VIVERSE」と呼ぶ。
広がるメタバース、本格ゲーミング、新時代の生産性の三本柱。
VIVE XR EliteはCES2023で初出しで好評を得ている。
VIVE ストリーミングの無線PCVRはベータではなく、本体リリース時点でフルサービスとして提供。低遅延がウリ。
PC側でQRを表示しをそれを本体カメラで読み込むことで簡単ペアリング。
本体は熱対策と小型化に力を入れ、長時間利用を重視した設計をしている。
視野角は110°、画素密度は19ppd、リフレッシュレートは90Hz。
IPD調整はVIVE Flowから発展して無段階調整に。
高画質パススルーと指向性スピーカーを備える。
RGBパススルーカメラは一眼、加えて深度センサーが一つ。
深度センサーは積んでいるがまだ動いておらず、どのような内容になるか不明。
MRゲームはリリース当初から豊富にあるわけではなく、これからユーザー、クリエイターとともに充実させていきたい。
ヘッドストラップはモジュール構造で眼鏡型、バッテリー付き締め付け型に換装できる。
眼鏡型について、VIVE Flowでは頭の横で抑える形だったものが、改良して頭を抱え込んで抑える形に。
PCではワークスペースの拡張として仮想ディスプレイとして利用、スマホからミラキャストして使うこともできる。
セキュリティは法人利用基準で気を使っており、カメラ映像をアプリから取得する場合はAPI利用に制限がある。
様々な行動情報は必要な時だけ取得する形で、本体では裏で常時取っていて読み出しが任意、というつくりではない。
フェイシャルトラッカーとアイトラッカーはモジュールで対応。
予約特典でおまけコンテンツあり。
SDKについて
Open XR準拠。さらに独自の「Wave SDK」でMR機能対応。
VIVEPORT M向けのSDKとしてリリース、VIVE AIO(All In One = スタンドアロン)のAPIを利用するためのSDK。
Open XRのハンドトラッキング、アイトラッキング互換。
Wave SDKはハンドジェスチャ、アイトラッキングの瞳孔や瞬き追従、眉連動、唇トラッキングが追加されている。
MRパススルーは投影方式がオーバーレイ、アンダーレイ、プロジェクションの三種類。
Wave SDKを使うとビルドせずにリアルタイムプレビューできる。
現実側のシーンの物体をオブジェクト認識し、種別を割り当てることができる。
アンカーの保存が可能。
ビジネスでのニーズや展望について
パススルーとバーチャルの融合の甘さはまだ感じており、改善していきたい。
リリース時から様々なソフトが勢ぞろいという状況ではないため、開発者とともにハードウェアの可能性を引き出したい。
VIVE ストリーミングでは6k画質での転送や暗号化に対応。
SR Anipalは当初対応せず、Open XRのみとなる予定だったが、既に日本でもリリース済みのソリューションに必要だったためXR Eliteでも対応。
VIVE Focus3と同じくカスタムファームウェアにより柔軟なビジネスニーズに対応できる。
MDMによるリモートデバイス管理、リモートキッティング、バッチ処理ン時対応する。
Psychic VR Lab CTO 藤井明宏 氏
STYLYについて
XRアーティスト文化の育成、ビジネス活用、プラットフォーム運用の三本柱。
現在4.5万人のユーザーと4.4万のシーン。
シーンを収録する「Gallery」と、シーン作成ツールである「Studio」。
「NEW VIEW AWARDS」では4年で600超の応募。
様々な学習コンテンツ。
リアルと重畳した「リアルメタバース」。
VIVE XR Elite対応
何もしなくてもリリースとともにVIVEPORT上で対応になった。
VIVE Flow、VIVEPORT対応済みだったため自動的に対応。
コントローラーの違いによる調整は実施。
ARがカラーとなった。
Wave SDK対応する際は「VIVE Input Utility」がインタラクション実装に便利。
カラーパススルーが実用レベルで出てきたことで、これまで展示でできなかったこと、やりたかったことができる。今後MRデバイスがどんどん出てくるはずなのでみんなで盛り上げていきたい。
STYLY活用法
Studioにアップしておくと構成アセットを横串で検索できる。
ある程度の機能を持ったインタラクションが予め用意されているため実装が楽。
軽い検証に使って本番開発前にプロトタイピングに使う。
マルチプレイできるので同時にプレビューできる。
無料。
VIVE XR Elite 本体を見てみる
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携帯とつけ外しに特化した眼鏡型と、バッテリーを装備し単独長時間利用を重視した締め込み型の、二種類の形態。バッテリー付き締め込みヘッドストラップでは重心が後ろよりで、これはディスプレイ側のズレにくさを重視してわざとこの設計にしている。
今回本体がW-Fi 6E対応となりPCVRストリーミングにも十分な性能となっているが、実は結構前に出た「VIVE WIRELESS ADAPTER」で使われているWiGigの方がまだ強いらしい。これは以前のHTCと総務省の講演で聞いたが、技適通らないので日本で使えない。
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Type-C給電はモバイルバッテリーでも充電器でも何でもよく、18W供給できれば良い。担当の方曰く、15Wでもパススルー等の電力を食うコンテンツでなければ動くのではないかとのこと。
眼鏡型形態の時は本体にバッテリーがないので、何らかバッテリーが必須。
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バッテリーは上部にUSB Type-Cポートがありここで充電。充電しながらの利用可能。出力用端子は横から。
メッシュの部分はバッテリー廃熱用の設計。処理チップやファンはなし。
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本体上部からも排熱用ヒートシンクが見える。ファンはなく自然空冷。
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イヤホンジャックは無し。BTイヤホンは利用可能。
AndroidベースのOSなのでUSB DACは使えるかもしれない。
指向性スピーカーで三方向に出力し、自分のスピーカーの音を周囲に聞かせない、逆ノイズキャンセリングのような仕組みをとっている。
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ガスケット(=フェイスパッド)の裏には開発用のUSB Type-Cポートが隠れている。モジュール追加等はここからになる見込み。
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視度調整ダイヤルの操作はガスケットを外して行う。そのままでも回せなくはない。
使用者の視力によっては視度調整の範囲は外れてしまう。
需要が大きければレンズユニットや後付けレンズも出るかも。
ぱっと見VIVE Flowと同じ光学系にも見えるが、ディスプレイパネルがそもそも違うので光学系も新しくなっているはず。
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下部には右側にIPD調整用ノブと排熱口がある。
視度調整、IPD調整は専用のガイドコンテンツあり。
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前面には二つの外部環境把握用カメラ、一つのパススルー用カメラ、一つの深度センサーがある。
深度センサーがオンになっていない現状では、画像解析による深度推定はWave SDK利用のAIO版には入っていないらしい。
外部環境把握用のカメラは側面下部に一つずつあり、計四つのカメラで把握する。上方向カメラはない。
Lighthouseへの対応は無し。
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眼鏡型形態の時に使うストラップは後ろで締める、頭頂にまわすなど使い方は決められていないが、後頭部に斜めにまわすのが安定しそう。
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コントローラーはVIVE Focus 3互換でとても軽い。バッテリー入っているか疑わしいレベル。
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上はVIVE Flow、下がVIVE XR Elite。こう見ると眼鏡型でもつるの回り込み具合が違う。
ガスケットはXR Eliteの方が芯が入っている感じがある一方、鼻あてに相当するパーツはFlowにしかついていない。
ガスケットはサードパーティから色々出そう。
ガスケットは洗濯すると接着剤等に影響しそうなので非推奨、水拭き程度の手入れが基本。
PVで見られる円筒形のケースはまだ日本に入ってきていない。
現状品切れの状態が続いており、工場にプッシュをかけているものの代理店経由でひとまず注文してもらうしかない状況。個人でも法人でも特に納期は変わらず、注文が入った順にさばいている。
体験会
今回はPC VRの体験は無し。
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視度調整とIPD調整のチュートリアル
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視度調整とIPD調整は専用のチュートリアルがはじめに実施される。
視度調整はガスケットを取り外して行うのだが、ガスケットを外すと本体と目の間の距離を固定する部分がない。聞いたところ本体に額を当ててしまうのはよくないそうで、それっぽい位置で手で固定せざるを得ず、改善ポイントとして考えているとのこと。
短い時間で多くの人に調整をした上での体験を回したかったので、HTC政田さんが作成した調整結果記入カードを利用。
ペンとステッカーとロゴ入り黒マスクをゲット。
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YORIMIYAさんのMR×パーティクルライブ
YORIMIYAさんのパーティクルライブ自体はVRで結構見ているので割愛。色んなプラットフォームで見られるのでぜひ見てほしい。
とにかくパススルーでの周囲環境の確認に違和感がない。Pico 4やQuest Proと比べても一眼なのに上質。上回るのはXR-3くらい?
AIOでのSTYLYの動作にカクつきなし。奥行方向の固定だけちょっとだけズレるが現実空間への固定は割とカチカチ。
MR×シューティング「YUKI MR」
コントローラーがキャラクターになって、それを移動させてシューティングするゲーム。
コントローラーのトラッキングはBeatSaberなどの激しいものになるとどうなるか確認できていないが、基本的な動きについては全く問題ない。Focus 3互換コントローラーのため既に完成済みの技術。
コントローラーのレンダリング位置とカメラ画像に補正がかかっていて、コントローラー位置=キャラクター位置が現実の手の位置にビタ合わせされている。トラッキングが外れない限りかなりズレない。
これまでのARゲームはHMDの視野角が足りずに周囲を探すようなゲームではやり辛さが感じられたが、これはVRと同じ視野角を用意できるので周囲を探索するつくりでも問題が感じられない。
たまにターゲットに弾が届かなくなるが、本体の話ではなくコンテンツ側のコライダーか何かの入れ方の問題っぽい。
ハンドトラッキング デモ
シューティングではコントローラーの位置合わせのために補正をかけていたが、これはスマホや細かい文字が読めなくなるというデメリットもある。今回は補正を切っているためカメラ越しにスマホの文字やキーボードのキートップの文字も読める。解像度に限界はあるが白飛びはしない。
概ね他ハードウェアと同じく問題ない精度でトラッキングされる。
手を重ねるとさすがにトラッキングできず片手を消すしかないが、それを解決するのが「VIVE リストトラッカー」。リストトラッカーはXR Eliteのカメラで6DoFで手首位置をトラッキングし、IMUによる位置予測もしてくれるため、手の位置を消さずに済む。隠れている方の指の動きはリストトラッカーでは補完できない。
リストトラッカーはLighthouse非対応でFocus 3とXR Elite用のデバイス。
ハンドトラッキングではWave SDKがXR Eliteで精度よくトラッキングできる位置にあるかどうかを返してくれるため、トラッキング精度の悪い範囲に手がある場合はハンドオブジェクトを消す等のコンテンツのつくりが推奨される。
シャペロン(=ガーディアン)のようなMR境界を設定できるが、周辺環境の保存と照合が優秀なので、今回のデモの最中に設定しなおしをしていないとのこと。
全体の感想
VIVE XR Elite、よく出来ていると思います。
お値段が18万円とそれなりにするため、VR専用の用途に使うには方向性としてもったいないですが、視度調整のあるVR HMDは他にほとんどない(MeganeXはまだ出ていない)こともあり、MRコンテンツの盛り上がり期待しつつ買う、法人事業も視野に入れつつMRの開発をしてみる、といった用途にはいいハードウェアだと思います。
MRというところでは、価格帯としてもMeta Quest Proが完全に競合ですが、ユーザー目線でのつくりとしてはVIVE XR Eliteがかなりうまく作りこまれていると感じます。一方、パススルーカメラのハードウェア的実装についてはQuest Proの方が限界が高そうである、コントローラーが革新的であるといった点でQuest Proが上回る部分もあります。Questストアに既に豊富にあるスタンドアロンコンテンツもVIVEPORTと比べると強い点です。スペックの差を確認するには横に並べて体験してみる必要がありそうです。
Pico 4との比較であれば完全にVIVE XR Eliteの体験が上回っていると感じますが、Pico 4の圧倒的な低価格は単純な比較ができない要素です。
MRコンテンツの作りやすさという点では、MR映像のゆがみのなさや補正のうまさからVIVE XR Eliteの方が作りやすそうに見えますが、私はどのSDKも実際には使用したことはないため、触ってみないと分からない(業務でないと触る気はあんまりない)ところではあります。
今回、たまたま情報を見かけたため体験会に参加できましたが、かなりじっくりと見ることができたため最新デバイスの動向を知るのによい機会となりました。臨場型のXR関連イベントがかなり復活してきた状況のため、今後も色々なVRデバイスを体験していきたいところです。
おまけ:頂いたプレスリリースのペーパー
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