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虚しきかな、シューマン・ハウス
デュッセルドルフのBilker Str. 15はロベルトとクララ・シューマン夫妻の旧居であった。夫妻はここに1852年9月から54年3月まで住んだ。わずか1年半である。
トーマス・ベックマン氏と松下 佳代子さんご夫妻はこの部屋に1989年から2020年まで30年以上お住まいだった。そして市がこの地にあらたにSchumann-Hausを造るということでその住まいを奪った。
工事4年後にSchumann-Hausは完成し一般公開された。わたしも参観してみた。https://www.duesseldorf.de/schumannhaus
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内容はここがシューマン夫妻の旧居であった形跡は微塵もなく、別にここではなく別の場所に設置しても良さげな展示しかない。
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たとえばバーデン・バーデンのブラームスの家は、彼の使用した家具調度品が生活を偲ばれるように展示されている。わたしはそのようなものを期待していたがまったく当てが外れた。
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居住した歳月の重さからいえば、そこはBeckmann-Matsushita-Hausと呼ばれてしかるべきだし、ベックマン夫妻の功績はシューマン夫妻ほど知られてはいないが、音楽による喜びと慰めを与え続けてきてくださったことはここに住む人々には自明なことだ。
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松下 佳代子さんにご招待いただきこの家を訪ねたのは何年前のことだろうか。今はなきトーマス・ベックマン氏も暖かくお迎えくださったことが嬉しかった。また音楽家夫妻の音楽生活の一端をうかがいしれたのも佳き思い出である。
その思い出のよすがも今はもうない。
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