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対戦攻略記事「頭を使って対戦する」ってどういうこと?

日本人初スマブラプロゲーマー、レッドブルプレイヤーのaMSaです。
タイトルの通り、頭を使って対戦するとはどういうことなのか。実体験も基に色々書いていきます。

主にスマブラDXについて書いてますが、スマブラSPやその他のゲームのプレイヤーにも通じるものがあるかもしれません。
少々長めですがお付き合いくださいませ。

▼コラムの対象者(ターゲット):
・初級者~中級者で伸び悩んでるプレイヤー
・脳筋と言われてしまうプレイヤー
・操作精度はいいと言われるプレイヤー
・手癖が出まくるプレイヤー

▼コラムを読んでくれた人がこうなって欲しいという目標(バリュー):
・フリー対戦の一戦一戦の価値が高まり、成長スピードが上がる。
・相手の動きに対応できるプレイヤーに成長する。


よく言われるけどよくわかんないアドバイス

上位勢と対戦するとよく言われるアドバイスの一つとして
「考えて対戦するのが大事」
と言われます。
私もそう言われてきましたし、特に疑問も抱きませんでした。
また、逆に自分から新規のプレイヤーたちにもそう言ってきたと思います。

しかし、これってどういう意味なのか、改めて考えるとよくわからないですね。いやいや俺考えてるし、読みとかキャラ対策とかしてるしって答えが返ってきそうです。

とりあえずgoo辞書先生に聞いてみたところ「考える」とはこんな定義だそうです。

1 知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
㋐判断する。結論を導き出す。「こうするのが正しいと―・える」「解決の方法を―・える」「よく―・えてから返事をする」
㋑予測する。予想する。想像する。「―・えたとおりに事が運ぶ」「―・えられないことが起こる」
㋒意図する。決意する。「留学しようと―・える」「結婚を―・える」
2 関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。「周囲の状況を―・えて行動する」「くよくよ―・えてもしかたがない」
3 工夫する。工夫してつくり出す。「新しいデザインを―・える」

goo辞書 「考える」の意味 より一部参照
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/47607/meaning/m0u/

つまり「考えて対戦できる」状態とは、上記の定義も合わせて私の中で解釈すると

▼考えて対戦できる状態
①相手の行動を分析し、予測できる。

②相手の行動に対して自分の最善択が何なのかを一瞬で判断し、実行できる。

この2つを対戦中に実行することと言えそうです。
逆に「考えて対戦できない」状態とは

▼考えて対戦できない状態
①相手の行動が予測できない
②最善択が判断できないため、とりあえずガード等のワンパターン行動に陥りがち
③①、②の状態に自分で気付けない

と言えそうです。では「考えて対戦できる」状態の2つの項目について細かく見ていきましょう!

①相手の行動を分析し、予測する。

「予測?そんなもんやってるに決まってるやん。ジャンプ読みとかそういうのやろ?」
せやな。みんなやってるな。
対フォックスを例に挙げるとフォックスのスピードがあまりにも速く、
全ての行動にプレイヤーが見てから潰せる択は存在しないためフォックスの動きをある程度「予測」する必要があります。

しかし、ここで大事なのは「相手の行動を分析して」予測するという点であり、分析の結果その予測に根拠が持てるかどうかです。

例えばフォックスの小ジャンプ空Nによる差し込みを予測して攻撃を置いたら相手の大ジャンプを通してしまい、大ジャンプの空下からつかみの連携を食らってしまった、というシチュエーションがあったとします。

ここでよく陥りがちなのが、つかまれたことでピンチが継続してしまうため、「どうしてその読み合いに負けたのか」を考える前につかまれた後の展開に意識が向いてしまい、
「フォックスの大ジャンプの差し込みを通された」
という読み合いの内容を「忘れてしまう」ことです。

もしかすると相手はたまたま大ジャンプからの差し込みが癖になっているプレイヤーかもしれません。
そうであれば大ジャンプを潰す択を仕掛けることで対策終了となるわけですが、つかまれたあとの展開をやり過ごすことに意識が向いてしまい、何をきっかけに攻撃をくらったか忘れてしまったため、何度も同じ行動に引っかかってしまうわけです。

一度読み合いを負けるだけで一気に撃墜まで持っていかれる可能性があるスマブラDXでは5回も6回も同じ行動を通されてから気付いてももう時すでに遅し(気付くだけマシですが)。
少なくとも2回、3回あたりまでに気付きたいところですね。

①を意識するための練習方法

かといっていきなり分析できるようにはならないので以下のことを意識してみてください。

〇ストックを奪った、もしくは奪われたときにそのストック中に行われた読み合いを振り返る 
 これは展開を覚えておくための練習です。まずは何の出来事があったかだけで大丈夫です。復活台の待機時間も有効活用しましょう。難しければ対戦が終わったあとに振り返っても大丈夫です。

〇どの択を潰すか意識しながら自分の対戦動画を見る。
 操作に意識を取られずにゲームと全く同じスピードで思考に集中できるためオススメです。相手の択を潰せたときのイメージと動画がリンクしていればいい感じ。逆に自分のイメージに反して相手の択が通っていた場合、そこが改善箇所となります。

①が意識できるとこんなことができるようになります。

上の動画は自分とMangoの一戦。
13:55で俺の無敵時間中にMangoはガードを選択しました。
14:38でもステージは変われど同じ選択をしてます。
それを読んで15:15で自分は即ダッシュつかみを選択し、撃墜まで持っていきました。
このとき自分は見てからとか、画面を見るとか一切意識せずに上の分析結果を基にぶっぱなしてます。

他にも例としては
・相手の崖捕まり後の択が崖絶空、攻撃上がり、その場上がり等で固定化されていないかどうか。
・ガードからの選択がガーキャン掴み、空中攻撃、回避行動、ガード継続、ガーキャン上スマ、ガーキャン絶空等の何れかで固定化されていないかどうか。
・台上にいると必ずシールドドロップをする

といった点も分析が必要な箇所ですね。

これが ①相手の行動を分析し、予測する。 です。

▼まとめ
・試合内容を振り返って覚えておこう
・相手の行動を分析し、分析結果を基に読み合いをしよう

②相手の行動に対して自分の最善択が何なのかを一瞬で判断し、実行する。

昔読んだライトノベルにこんな面白い台詞がありました。

『見て、考えて、動いて、間に合う────これができると、戦闘はすげー楽になる』

なるほどなと思いました。
相手の行動を見てから、最善択を考えて、実行した結果間に合うのであれば対戦ゲームは楽になりますね。
これがよくアドバイスで言われる「もっと画面を見た方が良い」という言葉の私の解釈です。

とはいえ、人の反応速度は0.2秒=12Fくらい。「星のカービィスーパーデラックス」というゲームに「刹那の見切り」というミニゲームがありますが、単純に画面の変化に対してボタンを押すだけでもそれぐらいかかるので、
選択肢が増えれば増えるほど反応は遅くなります。

対戦ゲームは極端にいえばじゃんけんの応酬ですが、制限時間も設けられています。
例えば
「相手の先だしのグーに対して1秒以内にパーを出す」
といった選択肢であれば見てから対応できるでしょう。

しかし、
「0.3秒以内にパーを出さないと負け、あいこだと次も相手のターンが継続、手を出さなくても負け」
といった選択肢を取られた場合、見てから考えている間にタイムアップしてしまいます。

よって見てからできる行動には残念ながら限界があることをまず知っておき、全ての行動に見てから全て勝つ、という幻想は一旦捨てる必要があります。

ではどうすればよいか?ヒントはこちらのテニスコーチをされている青木剛大氏のブログにありました。

○人間の反応の限界を知っていますか?それではその限界を超える方法は?
http://ameblo.jp/tnisu150/entry-11932818736.html

テニスの反応速度に関する話ですが、どうやらスマブラにも通じるところがありますね。
相手の行動を見てから対応するのではなく、①に記載したような分析を行って『フライング』をすることで反応速度をあげることができるのです。

上のじゃんけんの例で言えば、相手がグーを90%の確立で出すと分かっていれば0.3秒以内にパーは出せそうですね。
上手い人はグー以外にも反応できるかもしれません。
また、人によっては超パー(なんじゃそりゃ)を引き出しに持っていて、
2回分の勝ち星を得ることも可能かもしれませんね。

②を意識するための練習方法

〇①ができるようになった上で、どれか一つの択だけに意識を集中させてその択を潰す。
 例:フォックスの大ジャンプにのみ意識を割き、先にジャンプして空中攻撃を置く等。

〇次にその択以外の選択肢が来た場合にカバーが効くかどうかを考察する。
 カバーが効かない場合でも、その選択肢を捨てるのではなく、リターンや状況も含めて考察する。
 例:フォックスの大ジャンプにのみ意識を割き、先にジャンプして空中攻撃を置いたが、フォックスが小ジャンプを選択していた場合、それにカバーが効いて有利になるか、それとも不利になるか、それとも状況は変わらないか。

〇フリー対戦で相手の択を潰すための最善択を探すための試行錯誤を繰り返す。
 何が最善択かというのは状況、パーセント、相手のヒットストップずらしの精度やベクトル変更の癖によっても常に変化するため、引き出しを多く持っておくことが重要。
 例:フォックスの大ジャンプに対してこちらの上スマ一点読みが通れば撃墜は可能だが他の選択肢を取られると負ける。空中攻撃を置けばリスクは少ないがコンボにもなりづらくリターンも少なめ。
そうであれば前者の引き出しはストック有利や自身が低%時に使う、後者の引き出しは自身が高%時に使う。

②が意識できるとこんなことができるようになります。

上の動画は自分とRudolphの一戦。
31:25ですが、それまでの対戦で俺はRudolphの差し込みが中台下付近だと
小ジャンプに対する横強置きや引き空前を警戒して大ジャンプの差し込みが多くなることに気付いていたので、空Nではなく大ジャンプだけを潰す択の空上を選択しました。
空上が当たれば好きなコンボにつなげることができますが、これが空Nだと
小ジャンプしか潰せず、当てても単発で終わってます。

反応速度が擬似的に上がれば考える時間が生まれ、最善択で反撃ができる、これが
②相手の行動に対して自分の最善択が何なのかを一瞬で判断し、実行する
です。

▼まとめ
・見てから対応できる行動と見てから対応できない行動があることを理解しよう。
・見てから対応できない行動については①の分析を行い、一番リターンが得られる択を当てよう。
・何が最善択かわからなければどんどん試して探そう。

背景

なぜこんなコラムを書いたかというと、まさに自分が兼業プロゲーマー時代に悩んだ課題であり、言葉に残しておきたかったからです。
残業と休日出勤続きで対戦中に頭が使えていないことが増え、直前の出来事を忘れることがありました。

対戦しても試合内容を覚えていないため、なんであそこで空前したの?って聞かれてもその状況をそもそも覚えてなくて何もわからず・・・。
単純に練習量が足りないと思い、2015年8月からスマブラforを一時的に休止し、スマブラDXに集中して練習に励んだのですが状況は変わらなかったです。

そして、3月のバトゲーでかきぴーフォックスとSanneフォックスに負けてベスト8に終わったときに対戦内容を一切覚えていないことに気付いてしまいました。
覚えていないということは毎回キャラ対策としての読み合いしか仕掛けていなかったわけで、毎回フォックスとの読み合いがかきぴー、Sanneというプレイヤーではなく、キャラクターとしての読み合いになってしまい、次の行動が何なのか予測できなかったです。
ヨッシーというキャラクターを使っていればなお更。そりゃ勝てないわ。

終わりに

いかがだったでしょうか?
①相手の行動を分析し、予測する。
②相手の行動に対して自分の最善択が何なのかを一瞬で判断し、実行する。

頭を使って対戦するイメージがついてきたでしょうか?

さらに「そのキャラクターが多くやること、またはそのキャラクターの強い行動」なのか「この人が多くやる行動」なのかを考えることで
キャラ対策も人対策も同時に進み、非常に効率的です。

もちろん頭が疲れているときには頭を使って対戦することは難しいので
そういうときはしっかり休憩して糖分を取りましょうね。

人によってどういう捉え方をされたのか気になるので
是非感想等あればコメント欄やツイッターなどでいただければと思います。

この記事で書いたことを意識すると結構対戦中疲れますし、頭を使っている時間が長くなるため動きが遅くなります。
始めのうちは苦労するかもしれませんが、上位プレイヤー、更には世界中のプレイヤーと戦っていくために

この対戦攻略記事がお役に立てれば幸いです。

追記:色んな方に早速見ていただきありがとうございます!
もしよろしければnoteフォローやスキ、SNSへの共有など拡散いただけるとモチベーションが上がります=)

aMSa

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📕マガジン『aMSaの対戦攻略記事 』
https://note.com/amsayoshi/m/maf038376102e

🎮プロフィール(詳細はこちら)🎮

🎮出身
1991年10月27日生まれ。兵庫県の田舎育ち。

🎮経歴
日本人初スマブラプロゲーマー🎮レッドブルプレイヤー。東北大学理学部宇宙地球物理学科卒。
2001年に発売されたゲームキューブ版の『スマブラDX』にて18年以上赤いヨッシーを扱う選手として活動中。
2014年、日本人最初のスマブラプロゲーマーになる。
2020年07月現在、VGBootCamp、Red Bull の2社にスポンサードを受ける。
Nintendo Switch版の『スマブラSP』では公式大会解説及び一部開発協力。

💬Twitter
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🎬Youtube
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