行動ターゲティングによるメッセージ施策 | プッシュ通知 | アプリ内メッセージ | メール
1. はじめに | ターゲティングはデモグラからユーザー行動へ
デジタルマーケティングにおいて、従来のユーザー属性 (性別、年齢、家族構成等) を軸としたデモグラフィック ターゲティングから、ユーザー行動による「行動ターゲティング」へ多くの企業がシフトし、高い成果を上げています。
2019年4月にソフトバンクグループから1,000億円以上の資金調達をしたコロンビアのユニコーン企業「Rappi (ラッピ)」も行動ターゲティングにより高い成果を上げている企業の一つです。
Rappi は、Uber Eats のような宅配サービスを提供している企業です。料理だけではなく、スーパーでの買い物代行、生鮮食品、家電、薬、ATM からの現金引き出しと豊富な種類の宅配サービスを提供しているのが特徴です。
Rappi は、OMO (Online Merges with Offline) - オンラインとオフラインをデジタルで融合し顧客へシームレスなサービスの提供で成功している企業としてグローバルでも注目されています。
この Rappi が Amplitude の「行動ターゲティング」によるプッシュ通知やアプリ内メッセージを含むメッセージ施策で以下のような成果を上げました。
次章で Rappi がどのように行動ターゲティングを行ったのかご案内します。
2. 行動ターゲーティング手順
行動ターゲティングの実行手順を以下の順番でご案内します。
3. 目標設定
今回、以下を目標として Amplitude での運用についてご案内します。
新規ユーザーの初回購入率の向上
運用手順については、皆様で実際にご体験頂けるように Amplitude の無料アカウントでご利用頂けるデータでご案内してます。
4. 先行指標 (マジックナンバー) の算出
プッシュ通知やアプリ内メッセージ施策を実行するにあたり、「どういったタイミングで誰に対して施策を実行するのか」が施策設計の中で最も重要なポイントの一つになります。
Amplitude の Compass はマジックナンバー を算出してくれるチャートです。「起点となるコホート」と「目標となるコホート」の 2つを指定する事により、目標コホートと相関関係のあるアクションを統計的に求めてくれます。
以下は Compass チャートで次のマジックナンバー を求めた動画になります。
・ [起点となるコホート] 新規ユーザー
・ [目標となるコホート] 商品を購入したコホート
Compass チャートは複雑な計算をしてくれますが、その使い方は非常に簡単です。
左モジュールに起点となるコホートを設定します。今回は「新規ユーザー (New Users)」としました。右モジュールには目標とするコホートを設定します。今回は「商品を購入したコホート」とします。
2 つのコホートを設定すると Compass は瞬時に統計的に相関関係のあるアクションを算出してくれます。アクションは相関関係スコアの高い順にリストされ、高いスコアはヒートマップで濃い色で表現されます。
今回、ユーザーがプロファイル変更した時に発火されるイベント Edit Profile が最も高いスコアを記録しました。新規ユーザーが商品を購入するコホートとになる先行指標は以下と算出されました。
7 日までに 1回以上 Edit Profile を実行
各モジュールを押下すると、Amplitude がどのように統計的に先行指標を算出したのかの詳細を確認する事ができます。
[TIPS]
マジックナンバーの事例で世界的に有名な Twitter 社や Dropbox 社も、この Amplitude Compass チャートをご利用頂いています。
5. 施策実行
Rappi では施策実行に Amplitude Engage を活用しています。Amplitude Engage で Amplitude と Braze を連携し、プッシュ通知、アプリ内メッセージ、メールでメッセージ施策を行っています。
Amplitude Engage を利用すると、Amplitude で作成した行動ターゲティングを外部ツールへと自動的に連携してくれます。
現在 Braze, LEANPLUM, Facebook, Marketo, AppsFlyer, Adjust, TUNE, branch, tableau, looker, Radar, AWS, snowflake, optimizely といったソリューションと連携しています。(順次追加中)
ここでは Braze を参考に Amplitude Engage での連携についてご案内します。
5.1 ターゲットコホートの設定
まずは施策実行のターゲットとなるコホートを作成します。今回のマジックナンバー「Edit Profile を 1週間以内に実行」するユーザー数を増やす為、この条件に満たしていないユーザへプッシュ通知する事にします。
この場合の設定は以下となります。
対象のユーザー数が 37,413 人いる事が確認できました。Amplitude 無料カウントをお持ちの方はこちらから実際の設定をご確認ください。
5.2 Braze との連携
外部ツールが既に Amplitude と plug in 連携されていた場合、追加開発する事なくデータ連携する事ができるようになります。
Amplitude 管理画面の Project メニューから Advanced > Integration で Braze を選択し、Braze から発行されたキーを Amplitude に設定すると連携が完了します。
5.3 コホートの同期
一旦連携をするとコホートの同期も非常に簡単に行う事ができます。ターゲットとなるコホートを呼び出し、メニューから連携対象のプラットフォームを設定します。
次に手動での One-Time Sync なのか、自動同期 Scheduled Sync なのかを設定します。設定後、Save Sync ボタンを押下する事で同期が開始されます。
5.4 効果測定
Braze との接続では、Amplitude からコホートリストを同期するだけではなく、Braze からも効果測定に向けたユーザー行動結果を Amplitude へと戻す仕様になっています。
Braze においては、以下のユーザーアクションを Amplitude に戻しています。プッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール施策それぞれにおいて、送付、開封、バウンス、アプリのアンインストール等のイベントを Amplitude に戻しています。
Amplitude Engage により、例えば以下のような行動ターゲティングによる効果測定を Amplitude により確認する事ができます。
[効果測定例 1 | 施策状況のモニタリング]
Amplitude では、行動ターゲティングによるメッセージ施策の状況を時系列で確認する事ができます。以下はメッセージ開封率の比較です。行動ターゲティングとそれ以外で比較しています。
[効果測定例 2 | 施策実行後の効果検証]
Amplitude では、行動ターゲティングでコンバージョンしたユーザーグループのその後の効果をあらゆる評価軸で測定する事ができます。以下は ARPPU を評価軸として効果測定をした結果になります。
[効果測定例 3 | 統計的優位性の確認]
Amplitude では、A/B テストの結果測定だけではなく、統計的に優位性を確認できたかも検証する事ができます。統計的優位性が確認できた際は This test is statifically significant といったメッセージが表示されます。
6. まとめ
ここでは行動ターゲティングについてご案内しました。行動ターゲティングは一般的に従来のデモグラよりも高い効果が期待できます。
行動ターゲティングにおいて例えば「カートにアイテムを投入して3日後にチェックアウトしていないユーザーにプッシュ通知」といったリマインド的なメッセージでも効果が期待できます。
一方、ここでは、「導き出したい結果を高めてくれるマジックナンバーを統計的に求めて試作を実行する手法」をご案内しました。
この場合、「カートにアイテムを投入したユーザーがチェックアウトするマジックナンバー」を求め、リマインドメッセージと組み合わせる事により、より高い効果を期待できる事ができます。
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