分割キーボード Majestouch Xacro M10SPを購入してみた
前々から使ってみたいと思っていた分割キーボード。FILCOのMajestouch Xacro M10SP(英語配列/赤軸)を購入したので、レビューしてみたいと思います。
Majestouch Xacro M10SPとは
Majestouch Xacro M10SPはFILCOから2023年10月に発売された左右分割型キーボードです。分割キーボードというとはんだ付けが必要な自作キーボードが主流で英語配列のものが多いですが、このキーボードは市販で日本語配列モデルもあります。がっつり自作キーボードやるわけではないが分割キーボードを使ってみたい層向けではないでしょうか。
70%キーボードであり、ファンクションキーなどはなくFnキーとの組み合わせが必要となってきます。(40-100%レイアウトについてはこちらを参照)
大きな特徴としては以下が挙げられます。
マクロ専用キーがある
専用ソフトでキーを変更できる
日本語配列と英語配列の両方のモデルがある
茶軸/青軸/赤字句/静音赤軸が選べる
購入の動機
普段私はHHKBを使っています。以前はフルリモートだったのですが、出社中心になったためキーボードを持ち運んでいました。持ち運びしやすいHHKBとはいえ定期的には持ち運びたくなかったので、もう一台のキーボードが欲しくなったのです。もちろん使い慣れたHHKBを買ってもよいのですが、あれほど値が張るものをもう一台購入するより前から気になっていた分割キーボードを買う方がキーボード体験的に良いだろうと思い、分割キーボードを検討しました。マクロ専用キーなどの機能やちょうど良い価格(安すぎず高すぎず)に惹かれてこちらの購入を決めました。
※本当はErgoDox EZが一番気になっていたのですが、(円安も相まった)値段でやめました笑
開封の儀
外箱です。チェリー色の目を引くデザインでかっこいいです。
裏面に製品仕様が書いてあります。台湾でつくってるんですね。
側面には配列(英語/日本語)、軸などの記載があります。
箱を開けると説明書とプラスチックのカバーがついたキーボードが出てきます。
分割キーボードの接合部です。かちっとはまる音はしますが、固定されるわけではありません。結合した後に左右の端を持ち上げると分解するレベルです。分割キーボードなので結合する必要もないでしょう(?)
裏面に傾斜をつけるネジをつけられます。画像は奥(数字キーがある側)につけていますが、手前側にもつけるところがあります。手前を高くしたい人っているのだろうか。。と思いましたが、真ん中側に2本つけて傾斜をつけるやり方もできます。やってみましたが私はあまりしっくりきませんでした。
付属でケーブルやキーキャップ、高さ調節ネジなどがついてきます。最下行のキー配列を変更する場合はキーキャップを入れ替えます。(キーカスタマイズできるものは刻印と矛盾がでるので無刻印がいいのですが)
このキーキャップはずすやつは前から少し欲しかったやつ。
レビュー
打鍵感
メカニカルキーボードは初めてだったのですが、軸は最も一般的?でありHHKBに近いといわれる赤軸を選びました。確かにHHKBに近いスコスコ感があり、ストロークも同じぐらいな気がしており使い慣れたHHKBに近い感覚があります。
ただ、最も違うと感じたところはキーを押したときの最下部での”硬さ”です。HHKBのTypeSや静音赤軸ではないので、キーを押した時のクッション性の欠如を感じます。例えるのであれば、木のまな板で包丁を使っている感覚。また、金属音が気になるというコメントを見ましたが、普通に文字を打っていると(大げさに言うとですが)金属音が反響しているように感じます。この金属音はMajestouchシリーズ特有のものらしく、本製品ではかなり改善されているらしいです。
総合的にはHHKBにはかなわないが、思ったよりも良い打鍵感だなと感じました。
初めての分割キーボード
月並みな感想ですが、今まで手を寄せてキーを打つのが体に染みついていたので手を離していることに(脳が騙されているような)違和感を感じ面白いです。これは慣れの問題でしょう。不思議な感覚を持ちながらも普通に打てています。
元々分割キーボードに興味を持った一番の理由は肩が開き肩こりになりにくくなると聞いたからでした。これは長期間使ってみないと分からないですが、確かに肩にかかっている負担が小さく感じます。肩を開くことで椅子の肘掛けを使いながらタイプすることができるため、だいぶ楽に感じます。(その分より一層マウスを使いたくなくなる。)
分割キーボードのデメリットとして例えば右手でBのような左側のキーを打っている人だと打てなくなるというものがあります。自分は大丈夫だと思っていたのですが、実際に使ってみると意外に困ることが出てきました。私はemacsキーバーインドを使うのですが、ctrl+BのときだけBを右手で打っていたのです(絶対そっちの方が打ちやすいもんなぁ)。これは実際に使ってみてから初めて気づきました。ただし、本製品ではマクロキーがあるためマクロキーを割り当てることでこの問題を解消することができます。
キー配列
■ DIPスイッチ
キーボードの裏にはDIPスイッチが12個もあり、これによりマクロで変更できないキー配列(最下行キー)についてそれぞれのスイッチに対して定義された設定ができます。
切り替えるときは必ずPCに接続されていない状態でと記載があるので注意しましょう。
■ カスタマイズできないキーの配列
最下行にある、Ctrl,Win,Alt,space,Alt,Win,Fn,Ctrlは基本的にはDIPスイッチでしか入れ替えることができません。本製品では矢印キーがFnレイヤーにあるため、このタイプのキーボードを使ったことがない人は一番困惑するポイントではないでしょうか。私はHHKBを使っていたためFnを使用した矢印キーに慣れているつもりでいましたが、このFnの場所と矢印キーの場所が変わっているため、困っています笑
HHKBだと右手を右にずらしてFnと矢印キーを押していたのですが、本製品では右下のFnを押しながら矢印キーがjkliにあるため押しづらいのです。このあたりは使いながら使いやすい配置を見つけたいと思います。
■ ハードウェアマクロとソフトウェアマクロ
マクロキーもそうですが、キー配列のカスタマイズに興味がある人も多いでしょう。キー配列をカスタマイズする方法にはハードウェアマクロとソフトウェアマクロの2つがあります。はじめはどう使い分けたらええねんと思いながら取説を読みましたが、まぁややこしいです。
ハードウェアマクロでは説明書の記載に従い、キーボードのみを使いキーに対してマクロを設定することができます。それだと設定しづらいのでGUIで設定ができるソフトウェアマクロとしてFilco Assistという公式からDLできるツールがあります。初見だと使い方が分かりにくいツールですがマニュアルを読めば分かります。
ここでの注意点はソフトウェアマクロだとFn同時押しで使うFnレイヤーの登録ができません!この回避策としてハードウェアマクロであれば、カスタムファームウェアを入れればFnレイヤーにマクロ登録ができます。そして、カスタムキーのM5とM10がFnキーになります!親指で使えるスペースキーの横にあるM5,M10がFnキーになるのは魅力的です。
ただ、このカスタムファームウェアを入れると先ほどのソフトウェアマクロのFILCO Assistが使えなくなります。なんなんだそれorz
うーん、ややこしいですね。。。
私がやりたかったこととしては、矢印キーがデフォルトだと
J:←
K:↓
L:→
I:↑
となっているのですが、vimのようにしたいと思っていました。ただこれをGUIなしのハードウェアレイヤで設定するとなると、矢印キーがない中で正しく入れ替えることができるのかとなってしまい一旦諦めてしまいました。
HHKBだとFnレイヤーもGUIで設定できたのですが。。。
マクロキー
真ん中にマクロキーが左右1列ずつあることにより細長いキーボードだ!というのを見ましたが、分割して使っている分には特に何も感じません。
なんかあると便利そうだなぁ、買ってから割り当て考えるかーと思ってましたが、あんまり割り当てたいキーが思い浮かびませんでした。。。
今のところ、Ctrl+Bを打つ時にBを右で打ちたいのでBをNの左にあるM9に、emacsのペーストであるCtrl+Yを左手だけで打ちたいのでYをTの横に設定しています。分割キーボードで今までクロスで打っていたキーが離れる問題を解決できる位置づけとしてはマクロキーにより解消できるのは大きいなと思いました。
まとめ
初めて分割キーボードを使ってみて、肩を開いてタイピングできるというのは非常に良い体験(健康的にも良さそう)と感じます。打鍵感も想像以上にHHKBに近く満足しています。
一方でキーカスタマイズの点では制約が大きく、思い通りにカスタマイズできないなと感じました。カスタマイズ機能はもしあれば~ぐらいに思っていたのでよしとします。大きくキーのこだわりがある人は本当に実現できるかはチェックしていた方が良いかもしれません。
以上、身体がHHKBに慣れてしまった人間による分割キーボードMajestouch Xacro M10SPのレビューでした。