秘密保持契約(NDA・守秘義務契約)のレビュー:①目的


このnoteでは、私が日々の法務業務で得た知見を、法務初心者向けに書き記しています。

この記事は秘密保持契約について語るシリーズの第1回目の記事です。
今回は、頭書部分(目的)のレビューのポイントについて取り上げます。

1.秘密保持契約の概要・意義

秘密保持契約の概要・意義は以下のとおりです。

秘密保持契約とは、一般に公開されていない情報を開示するにあたり、相手方に対し、開示した情報を第三者へ開示することなどを禁止する契約をいう。(中略)秘密保持契約は、情報の開示を受けた相手方に、①当該情報の第三者への開示や目的外の利用を行わない義務を負わせること、②相手方がその義務に違反し、情報の開示者に損害が生じた場合には、契約上の義務違反を理由に、相手方に損害の賠償を請求できることなどを可能にするものである。

阿部・井窪・片山法律事務所/編『契約書作成の実務と書式 第2版 企業実務家視点の雛形とその解説』(有斐閣、2019年)499頁

2.秘密保持契約の頭書(目的)のレビューのポイント

秘密保持契約の頭書は、概ね以下のようになっていると思います。頭書で記載した目的を引用することによって、秘密情報の目的外利用を禁止する条項(例:「受領者は,秘密情報を本目的以外の目的で使用してはならないものとする。」)における「目的」の範囲が定められるため、頭書の記載は重要です。

株式会社○○(以下「甲」という)と株式会社○○(以下「乙」という)は,甲乙間の○○の分野における業務提携の可能性を検討することを目的(以下「本目的」という)として,相互に開示する秘密情報の取扱いに関し,次のとおり秘密保持契約(以下「本契約」という)を締結する。

阿部・井窪・片山法律事務所/編『契約書作成の実務と書式 第2版 企業実務家視点の雛形とその解説』(有斐閣、2019年)501頁

上記の記載例を題材に、頻出のNG例(修正すべき例)を列挙していきます。

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