ずっと気になっていた人にお話しを聞きに行ってみた。
私は大学の授業をきっかけに、北海道岩内町のずっと気になっていた人にお話しを聞きに行った。
そもそも岩内町を知っている人は多いだろうか?ということで、その町と私の関わりも含めて少し紹介しようと思う。
岩内町は北海道の西の端で積丹半島の片隅に位置する。人口は1万人ちょっと。海あり山ありで、季節を問わずに楽しむことが出来る町である。
私とこの町の関わりであるが、地元が隣町であるため幼少期から何度も訪れていることやこの町の高校に通っていたこともあり、私には思い出が多くある。
私が高校1年生の時、シャッター街で廃れつつあった街中に、突然おしゃれなカフェが出来た。当時の私は「遊ぶところが増えた!」「オシャレ!行きたい!」という喜びと共に「何で都会じゃなくてこの場所に始めたんだろう?」という疑問を持った。しかし、その疑問を解消されることなく私の高校生活は終わった。
今年の大学の授業で、地域のキーマンにお話しを聞きに行く機会ができた。この瞬間私はこのことを思いだして「今しかない。」と思い、岩内町に行くことにした。
岩内町のキーマン
私がお話を聞きに行ったのは、目黒沙弥(めぐろさや)さん。札幌出身。株式会社IWANAI UNITEDの代表取締役である。聞かせていただいた目黒さんのライフヒストリーは、あっけにとられる話ばかりであった。
時を遡って目黒さんの大学生時代。目黒さんはスキーやモーグルを熱心に取り組んでいた。しかし、なかなか展望が見えないと思ったことから勉強に転換し、北大に編入を目指した。それでも思い通りにはいかず、スキーもバイトも全て辞める決断をしたのであった。
全て辞めた??もうこの時点で私は一つ目の驚きであった。何か一つでも失うことが怖いと思っていた私からすると、その決断ができることが尊敬である。日本でこんな大きな決断をできる人は何人いるだろうか。
全て辞めて考える時間ができたとき、目黒さんは世界一周したいと考えた。旅費を貯めるために1年間バイトを3つ掛け持ちし、準備を進めて出発した。世界に飛び出してバックグラウンドまで見たことにより、「表面的だけで見るのではなく、自分でも言葉にして言えるようになりたい。そのためには、自分の目で見て知らなきゃいけない」と思い、その後も日本縦断ヒッチハイク旅と二度目の世界一周をした。
知らないということは伸びしろがあるということ、可能性しかないということ。だから”知らないことを大切に”そう目黒さんは言った。
知らないからやらない、できないのではなく、知らないから先の可能性が広がる。この捉え方が自分にも出来ることで、今までの自分とは違った物事への取り組み方ができると感じさせられた。
世界をみて、岩内にきた。
二回の世界一周と日本縦断を終えて、多くの場所を見てきた目黒さんは、いま岩内に住んでいる。ある仕事をきっかけに岩内町へ来て働き始め、そのやりがいと山から見える景色からのインパクトが強い決め手となり、町民となった。(もちろん他にも決めてはあっただろう)
町民となったら、次はこの町に「活気を与える存在になりたい」と思うようになった。社会の未来を可視化したとき、旅行会社が伸びると踏んだのと、高校生から「オシャレなカフェが欲しい」と聞いた。どちらも町にはなかったが、”ならつくればいい”そう思った目黒さんは「株式会社IWANAI UNITED」と「isalibi」のどちらも作ってしまった。
ね。作っちゃったんですよ。後に細かいお話はするが、目黒さんのマインドや行動力のすごさに少しずつみなさん気づいているだろうか?私はここでもまた目黒さんに驚かされている(二つ目の驚き)。
カフェ&バーの「isalibi」は、最初、目黒さん一人で計画を進めていた。店の外観はガラス張りにして、来ているお客さんを見えるようにした。しかし傍から見ている人からは「ガラス張りなんてお客は来ないよ。」そう言われたことがあった。それでも気にせずに店内の工事を一人でしていると、その様子を見た周りの町民が声をかけてくれるようになり、気づけば工事を手伝ってくれるようになっていたという。「見せた方が周りの刺激になる」「寡黙でやるよりも頑張っている姿を見せるのが大事」目黒さんはそう思ったという。
日本の風習的に過程の頑張りや苦労を”見せない方が美”とされているが、そうではなくその場に足を運んで見せることで、本当の自分の姿を見てもらえる。デザインとしてのガラス張りが、目黒さんの人間関係を豊かにさせるものにもなった。
もう一つの「株式会社IWANAI UNITED」の方は旅行会社であり、海外の人をメインに、岩内へ誘致してツアーなどを行っている。それだけでなく、ニセコにもプライベートシェフとして寿司職人を派遣するなどして、岩内町での人柄の良さや魅力をさらに広げようと、地域の人も巻き込んで行っている。目黒さん自身は海外の人を呼ぶことが自分にできることであると考えており、岩内の人たちも町が廃れている危機感を持って、「岩内を盛り上げたい」という共通の気持ちがあると言っていた。
マイノリティでもマエムキニ
これらのエピソードから目黒さんがどのような人か伝わっただろうか。このような経験をしている人は日本でも少数派のさらに少ない人だろう。目黒さん自身も常に少数派の方で生きてきたと言う。常に多数派の方で生きてきた私、人目をずっと気にして生きてきた私の考えは縮こまっていて、目黒さんの話に驚いてばかりだったのだと思う。マイノリティでも常にポジティブに生きてきた目黒さんと出会えて、私は新たな考え方や捉え方を得られる機会となった。
最後に私の今までの考え方であったネガティブ思考なことと、緊張しいなことをお話したところ、目黒さんの経験を交えて新たな考え方を教えていただくことが出来た。
一つ目のネガティブ思考に関しては”できていないところではなく出来ているところにフォーカスをおいて考えるべきである。”
目黒さんは海外で旅をして様々な環境で暮らしている人たちを見たとき、自分が日本に生まれたことは当たり前じゃないことを実感した。
自分が何でもできるこの環境にいて、できなかったことにずっと悩んでいるのはもったいない。少しでもできたら褒めて、落ち込まない思考に切り替えるようにしたと、言ってくださった。
二つ目の緊張しいな部分では、”覚悟が大事”ということである。緊張は挑戦のサイン。だから覚悟をもって挑戦を乗り越えられれば、かっこよくなれる。大きければ大きい緊張ほど、覚悟をもって乗り越えられた自分はすごい。
今まで人前に立つ場面を何度も経験し、どんな人の前でも覚悟を持って挑戦し終えている目黒さんだからかっこよくなれて、こう考えることができていると感じた。
この記事は私がお話を聞かせていただいたお話からちょっとだけ抜粋したものであり、他にも多くのお話を聞くことができた。目黒さんに出会ったことで、これからの自分の行動や思考が良い方向に変われるように感じた。
目黒さん本当にありがとうございました。
Travel Agency | Iwanai United | Hokkaido
Café & Bar isalibi ┃ 青い扉のカフェ(@isalibi_iwanai) • Instagram写真と動画