【雨】
《ザザッー》窓の外では大粒の雨が豪雨の如く空を飲み
込んでいた。雨の日は全てが憂鬱になる。昨年、姉が
死んだ。飛び降り自殺だった。今日みたいな大雨の日に
学校の屋上から身を投げたらしい。夜だったこともあり、
発見されたのは翌日の朝だった。落ちた衝撃で手足は
四方に曲がり、全身からは血が滲み出ていた。この一件が
あってから父は酒に溺れ、母は姉の後を追うかのように
自害した。「姉ちゃん……」誰も居ない真っ暗な部屋で
一人呟く。その時だった一筋の光が視界に入る。
雷だった。その光を見た瞬間勝手に身体が動きだす。
気が付くとカーテンを開け窓の鍵を解いていた。まるで
姉に呼ばれているかのように下枠に手をかける。
もうすぐで会えるよ、姉ちゃん────。
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