その後ついに
オレは本当にiPhoneをなくしてしまったのか、よくわからない自問自答を繰り返しながらカブを走らせていた。3人の子供に買い与えたときに絶対に無くすなよと、家の鍵は必ず同じ場所へしまえよとか、たまにやらかすことも絶対にあってはならないと言い聞かせてきた。偉そうに言っておきながら自分が犯してしまった事実。ヤバい。弁明のしようがない。そんなしょうもない事を考えながら、この事実を受け入れたくない気持ちになっていた。そうだ、なかったことにしよう。とっととショップへ行きiPhoneを手に入れることができれば、家族には知られなく済む。しかし、10万円をゆうに超える金額が、それほど余裕もない隠し資金から消えてしまう。だが、金はなんとかなる。今後の買い物の予定が大幅に狂ってしまうが、いたしかたあるまい。父親の威厳を落とすわけにはいかない。そうと決めたら行動は早かった。その日の夕方には昨日とほぼ同じ状態にすることができた。家族が帰ってくる前になんとかなった。iPhoneの設定も何とかなったが、いままで使っていたiPhoneからの移行ができないためAppleのアカウントから以前の状態を取り込む。その場合はバックアップをしていなければ取り込むことができない。バックアップをした記憶がなかったが、数年前の状態にすることができた。バックアップはしっかりしておいた方が良いことを学んだ。なんとか昨日と同じ状態にすることができ、ひと安心して夕方を迎える。いつものように酒を飲むか、結局17万円かかったiPhone紛失事件を忘れたい。いや、待てよ。酒を毎日飲んでいた550円を17万円で割ると300日ちょっと。なんだ、そんなもんか。よし、戒めに頑張ってみよう。健康にもなるし。一年酒を我慢する。たまに外食で飲むのは良しとしよう。やってみるか。家では飲まない。ルールはそれだけだ。これが禁酒につながった流れである。禁酒ではないな。