借金の取り立てをしたニートの廃墟体験
ニートが債権回収?そこからの奇妙な体験
スペック:ニート歴5年 30歳 男性
そのときは、まさか自分が債権回収のアルバイトをすることになるとは、夢にも思っていなかった。ニート生活を送っていた私が、ある日突然、債権回収のアルバイトに勤めることになったのだ。
正直、最初は「なんでこんな仕事を?」と、訳が分からなかった。毎日、ゲーム三昧の生活を送っていた私にとって、社会に出て働くこと自体が大きなハードルだった。ましてや、他人の借金を回収するなんて、考えたこともなかった。
しかし、必然性もある。私は毎日働きたくなかった。だから割のいいバイトを探したのだ。好きな時に働いてそれなりに高収入な仕事。できれば週3くらいがいい。そうした考えで生きていると知り合いから債権回収のアルバイトを紹介された。「週3でいいし、3か月とかでもいいから。成功報酬の報奨金もあるよ」
実際の債権回収裁判は弁護士先生が行うが、その手前の調査や小さな取り立てはアルバイトや外注も関与する。とりあえず、当時は1年以上無職だったので、週3で三か月くらい働いて、90万円くらい稼いでまた1~2年無職で暮らそうという計画だった。
3日間の研修では、債権回収の手法や法律について学んだ。電話での交渉、訪問、そして場合によっては裁判へと発展するケースもある。正直、これらの話を聞いている間は、現実感がなかったが、研修中も3日で3万円はもらえた。アルバイトには往復交通費+昼ご飯代も支給されるらしい。悪くない。
いざ、仕事が始まると、想像以上にバイトは厳しくはなかった。借金持ち=債務者の方々は、それぞれ事情を抱えており、感情的な対応をする人も少なくなかったが、もともと共感性の薄い私にとっては、気にならなかった。
暴言を吐かれたり、無視されたりすることもあったが、「いいから払え」「どうでもいいけど、5000円でも取り立てたいな・・・」ということくらいしか考えていない。
取り立ては100円でもいいのだ。100円でも返済すると、債務名義を認めたことになり、消滅時効もストップする。
相手を気遣って世間話でもしたら、1000ー8000円くらいは払う債務者もいる。あとは地道に数をこなす。ラインやSNSを使って遠隔で電子マネー返金もさせる。
仕事を進めていくうちに、債務者の方々の置かれた状況を少しずつわかるよになる。生活が苦しい、病気で働けない、家族を養わなければならないなどもあるが、大半は「だらしない」「嘘つき」「無計画」だった。
返済したくない人は平気でうそをつく。
一度、私は罠にはめられたことがある。
リストにある債務者の住所は茨城県の古びた一軒家だった。壁はツタが覆い、周囲は泥や土で汚れている。陰気だ。
電話したところ、「その住所の家の2階で寝ている、病気で動けないけど、そこに住んでいる。お金は必ず返す」との返答だった。取り立て金額も大事だが、情報収集、債務者の住所の確認も大事である。
私はその一軒家の2階に本当に彼がいるか調べることにした。
こっそり自宅に凸する。
「木村さん(仮称)いますかー?心配です。安否確認にきました」
一軒家の玄関で私は声を張り上げる。奇妙な家だった。生活感がないし、全体的に暗く沈んだ雰囲気だ。周囲に泥やゴミがあるが、私以外の足跡もなければ、誰かが出入りしている形跡もない。
「知り合いの安否確認」の体裁でノックして入ろうと考えた。
だが、ドアにカギはかかってない、それどころか蝶番も外れかけている。
早くバイトを終わらせたい私は廃墟じみた一軒家の中に土足で入った。
一階は和室と廊下、2階への階段。変なにおいがして壁や障子は裂けている。
「木村さん(仮称)いますかー?心配です。安否確認にきました」
きしむ階段をのぼり2階に上がる。2階はさらに異臭がして異様な光景だった。2階も和室だったが、いたるところに盛り塩がおかれていた。だがその盛り塩は腐り青カビが盛り上がっている。
半開きの押し入れには汚い布でぐるぐる巻きにされたなにかがあり、壁には穴が開いている。窓は内側から乱暴な板が打ち付けられて光が差しにくい。
部屋の1つの壁には仏壇みたいなものがあるが、お札で閉じられている。
そして地面の畳には歪んで黒い染みが広がっていた。
私は霊感がまったくない方だが、それでもなにか寒気がした。
背筋がとても嫌な気分になった。匂いと雰囲気のせいか、少し息苦しく、めまいもした。
こんな場所に人間が住んでいるはずはない。
私は嵌められたのだ。
おそらく心霊スポットや事件現場跡地の廃墟を住所として書いたのだろう。
すぐさま、私はその廃墟を逃げ出した。
なぜか心臓がドキドキし、呼吸も荒くなる。
「なにか変な霊がついてきたら嫌だな・・・でもまぁいいや。
考えるのが面倒だ」などと思いながら、私はすぐさまその家付近を離れた。
その後、いろいろあって、3か月のバイトも4か月になり、ときには残業もした。4か月で、手取り145万円は稼げたので、その辺で辞めた。その後は少しの株の配当で長期間の無職を更新している。
債権回収バイトで学んだが、金にだらしない奴は信用ができない。
だいたい貯金のできない人間が、将来の返済をできるわけがないと思う。
嘘つきだし、他人や家族のことをなにも考えていない債務者が多いと思った。
「でもそういう人がいるから債権回収のバイトができるんだろ?
感謝しないと」という意見もあるが決して感謝などしない。
このバイトをしなくても他のバイトをするだけだ。
嘘つきの信用できない人間たちに感謝などするわけがない。
(この記事はとあるニー株関係者のインタビューを元に編集しました。)
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