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残業代請求戦記


1. 絶望の淵

A山は、薄暗い事務所でパソコンの画面に睨みを利かせていた。時刻は深夜2時。今日も残業だ。上司のB氏は、いつも通りの鬼の形相で、A山に仕事を詰め込んでくる。

「A山、この資料、明日までに仕上げろよ。クレームが来たら君の責任だぞ!」「この出勤ゴミ!」「お前なんかどこの会社でも役に立たないぞ!」
「転職は職歴に傷がつく、お前はここで一生働くしかないんだ」「クズ野郎が、こっちの迷惑も考えろ」「会社はお前の生活保護機関じゃないんだぞ」「苦労が足りないんだよ、無能!」「早く稼げよ、給料泥棒が」「他の人が出来ることをなぜおまえは出来ない?」「俺の言う通りしないからだ」「ネットに個々のこと投稿したら裁判で損害賠償だ」「会社と揉めて個人が裁判で勝てると思うなよ」

B氏の怒声は、A山の心に深く突き刺さる。A山は、もう限界だと思っていた。残業代はほとんど払われず、休日出勤も当たり前。心身ともに疲弊し、未来が見えない。

2. 最後の反撃

ある日、A山は思い切ってインターネットで検索してみた。「残業代請求」「ブラック企業」…。検索結果には、自分と同じように苦しんでいる人たちの声が溢れていた。そして、A山は一筋の光を見つける。それは、外部労働組合ユニオンの存在だった。

A山は、藁をもすがる思いでユニオンに相談した。担当者はA山の話をじっくりと聞き、共感してくれた。そして、A山は、これまで我慢してきたすべてのことを吐き出した。

3. 壮絶な闘い

ユニオンの弁護士は、A山の会社に対して残業代319万円の支払いを求める訴訟を起こした。しかし、会社側は簡単には折れない。B氏は、A山を執拗に追い回し、脅迫まがりの言動を繰り返す。

「訴訟を取り下げないなら、お前を会社から追い出すぞ!」「履歴書で実家の住所知ってるんだからな!覚悟しろ」

B氏の言葉に、A山は恐怖を感じたが、ユニオンの弁護士と仲間たちの励ましの言葉に支えられ、闘いを続ける決意を固めた。裁判外交渉にも応じないため、慰謝料を上乗せし、420万にて訴訟に踏み切った。

4. そして、勝利

地方裁における裁判は7か月にわたって続いた。A山は、法廷で証言台に立ち、これまでの苦しみを訴えた。裁判官は、A山の証言と証拠を慎重に検討し、最終的にA山の勝訴を認めた。

判決文を読み上げる裁判官の声が、A山の心に響いた。A山は、ようやく自由になったと感じた。そして、B氏にこう告げた。

「もう、あなたには何も恐れるものはありません。私は、あなたのような悪いやつには負けません!」

A山の言葉は、法廷内に響き渡り、B氏は顔を真っ赤にして、法廷を飛び出した。

5. 新しいスタート

勝訴後、A山は新しい会社に転職した。新しい職場では、残業はなく、労働時間もきちんと守られていた。A山は、ようやく安心して仕事に取り組むことができるようになった。
「どこの会社でも役に立たないとか、、嘘じゃないか・・嘘ばっかりだったな・・・あの会社」

A山は闘いの後、ブログやSNSで個人名を伏せた形でブラック企業に関わる人を勇気づけるような記事や文章をかいた。それらは、多くの人の心を打った。A山の経験は、ブラック企業に苦しむ人々にとって、大きな希望となったようだ。

(完)

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