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実家ニート最後の日

スペック:43歳ニート。新卒のIT会社を2年で退職し、その後はアルバイトや無職などを続ける。

年末。実家の子供部屋暮らしの私だが、年末年始は少し家事を手伝う。
玄関の飾りつけ、懐かしい醤油の匂い。何もしなくても人生の時間は経過していく。実家暮らしは世間体が悪い、だが労働社会よりましだ、43歳になった今も、私にとってニート暮らしができる実家は安息の地だった。

しかし、今年の年末は違った。久しぶりに家に来た叔父が、私の生活に口出しをしてきたからだ。「いつまでこんな生活をしているんだ」「いい加減、自立しろ」「頭がおかしいんじゃないのか?」と。

反発した私は、ついカッとなって叔父と口論になった。その場に居合わせた両親も巻き込み、大喧嘩に発展。両親もいままでの我慢があったのか、
「大人っていうのはな、みんなお前と違って忙しいんだ」
「会社辞めなければよかったのに、なんで辞めたんだ」
「いい年して恥ずかしくないのか?」
心を刺すような侮辱の言葉が続く。
実の親はなぜ、私より叔父の味方をするのか?怒りか悲しみかわからない混濁した気持ちでコメカミが熱くなった。
私も怒りに任せて反論した。3vs1で汚い怒号が飛び交う。
最後は「育て方を間違った!お前なんか出ていけ!」と両親から追い出されてしまった。

実家の玄関の外にでると、冬の冷たい空気が身に染みた。着ているのは薄手のジャンパー一枚、ポケットにはマスクとレシートの紙切れ、飴玉。バックの財布の中には3400円とゆうちょ銀行のカード、BIGーAのポイントカード。あとはスマホと充電器、ボールペンとレクサプロ8錠、麦茶のペットボトル、と漫画3冊など。あとはマイナンバーなどを包んだカードポシェットだ。

すぐにコンビニATMでゆうちょ銀行残高72800円をすべて降ろした。時間外手数料330円は痛いが仕方ない。親との共同口座なので、先に引き出されたら困る、先手必勝だ。

これからどうすればいいのか、途方に暮れた。

とりあえず、近くのネットカフェに駆け込んだ。年末年始の料金は高かったが、他に泊まる場所もない。ベッドに横になり、スマホでディスコードを開く。いつも話している友人?知り合い?たちに、今の状況を打ち明けた。

「マジまいった・・俺、今、家出されてネットカフェにいるんだ」「まさかこんなことになるとは思わなかったよ」「これからどうすればいいんだ?」

友人?知り合い?たちは心配してくれたが、具体的なアドバイスはなかった。皆、それぞれの人生で精一杯なのだろう。ただ誰かに話しただけで少し安心した。アドバイスがなくてもいい、誰かに話すのは大事なのだ。

狭いネカフェの個室で天井を眺めながら、これまでの自分の人生を振り返った。ゲームに明け暮れ、アニメを見て、だらだらと過ごした日々。一度きりの人生なのに、一体何をしてきたのだろう、と普通なら思うが、私はそんな愁傷な反省はしない。私は悪くない。
こんな状況で自分まで責めたら深刻な病気になる。
親も味方してくれないなら、せめて自分だけは自分の味方をしないといけない。

後悔の念がこみ上げてきた。
怒りに任せて簡単に出るべきではなかった。それはあいつらの思うつぼだろう。喧嘩してもいいから、居座ってやればよかった。
叔父にもっと反論すればよかった。

かなり後悔した。
だいたい叔父という生き物は相手が弱そうだと高飛車に出るものだ。もっと幼少期から叔父や親せきに強気の態度で接していればよかった。私は両親に迷惑をかけまいと自分に我慢を強いてきた。叔父や他の親戚にも下手に出ていた。私は気配りや愛想笑いをしていた。
揉めないようにした私の性格にやつらは付け込んだのだ。
だから舐められてきたのかもしれない。

もっと乱暴な態度にしておけばよかった。もっと愛想を捨ててて、冷たくしていればよかった。叔父や両親に心を許さず、踏み込まれない距離感を持っていればよかった。

もっと冷たくしていたら、今頃こんなことになっていなかったかもしれない。でも、もう過去には戻れない。後悔ばかり考えても仕方がない。

私はネカフェのごみ箱からペットボトルを2本拾って洗って水筒にした。
ドリンクバーのオニオンスープをいれて、当面はこれを食事にするしかない。住処と生活費、食費、考えなくてはいけないことことは山ほどあるが、まずは眠ろうと思う。

不安と焦燥感に苛まれ、ときには唸った。
その日はぶつぶついいながらだが、気が付いたら寝ていた。

*とりあえず、ここまで書きました。
落ち着いたら続きも送るかもしれません。

(この記事はとあるニー株関係者のインタビューを元に編集しました。)
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