幽希 インタビュー (Part 2) 『おばけによろしく』
ひとは彼を「岐阜のピーターパン」と呼ぶ。幽希 に出会ってからの9年をざっくり区切って聞いて行くインタビューの後編は、2018年10月リリースの2ndアルバム『おばけによろしく』を中心に聞いていきます。
(※ Part 1 は、こちら)
ひびの (以下 ひ):そして2018年10月リリースとなる2ndアルバム『おばけによろしく』の制作時期になるのかな。振り返ってみたら6月頃に「また録ったもののミックスと仕上げを」って感じでオファーを受けたみたいです。
幽希 (以下 幽):前アルバム『kizetsu』(9曲入り)が完成した時に、今度は12〜13曲入りの物がいいなと思っていて。誰かのアルバムを通しで聴く時に、12〜13曲が丁度良いんですよね。
録音し始めたのが2018年の頭からですね。その頃には、10曲は出来ていたので、その日の気分で空いた時間にゆっくりと3ヶ月位かけて自前のMTR(BOSS BR-800)に録音していきました。まずアコースティックギターでコードを録って、その次にボーカルを録りました。それを元に、サポートとしてお願いした方々に、ベースやリードギターを多重録音してもらいました。そして、曲によっては最後にエッセンス付けとして、電子音やパーカッションを追加で足してみたりしましたね。
ひ:一聴して変化を感じました。まずはその曲数よ!12曲!ぐへっ!となりました。それとまだ曲順はきまってなかったけど、全体的に電子楽器の音やエフェクトなど前作にない機材の導入にニャッとしました。インストの曲もあったりして、面白っ!てなりました。
幽:12曲全て録音済みのMTRをドンッ!とヒビノさんの元へ持っていきましたよね。
どうせ2枚目作るなら、前回『kizetsu』でやっていない事を試してみたくて。電子音が主のエレクトロっぽい雰囲気も感じさせるような1曲を作ったり、歌11曲の間にインスト曲を1曲挟んでみたり、エフェクトを多用に使用してみたりと、ジャンルに囚われないアルバムにしたかった。
ひ:うんうんそれは成功してるよね。
今回もゲストミュージシャンがいますね。エレキ・アコースティックギターに佐藤直己さん。12曲中7曲参加してる!べースには松岡竜ニさん。この人選はどうして?
幽:直己さんは、僕がライブ活動を開始した当時からの付き合いで、大垣市の『アコギな酒場ねじれ』というフォーク酒場のマスターです。竜さんは、その直己さんのバンドメンバーです。お二人とも、とてもヘンテコリンなお兄ちゃんという感じです。特に直己さんは、飛んだ発想を持ってみえる人なので、僕の楽曲にも合うんじゃないかなと思い、お誘いしました。少しの時間でしたが、一緒に作業して、想像を超えたフレーズを連発してくるので、ワクワクが止まらなかったです。
ひ:すごいギターが録れたと思います。
このアルバムだと " 海が見たいよ " が俺的泣けちゃうソングですわ。あ、海に弱いのかな、俺(笑)。
幽:僕も海に弱いです。夕陽が沈む時間帯のあのノスタルジア。海のそばで幼少期を過ごしてきたわけじゃないんですけど、必ず子どもの頃の懐かしい記憶が蘇ってきて。感情が動かされやすいので、歌の題材になりやすいんですね、きっと。
ひ:へーそれは、興味深い話だ。
『おばけによろしく』のジャケットは絵だね。これは幽希画伯(笑)の作品だね。よく描いているの?
幽:幽希画伯のです。子どもの頃は毎日描いてましたよ。今は必要な時にだけ絵を描いてます。ここ最近だと、LINEスタンプ用のイラスト描いたり。
ひ:やってるねー、僕とわたしのイヤイヤ期のね。この『おばけによろしく』のリリースに際して、アムールレコードとしてYouTubeで試聴用ティーザー動画を配信することになったんだよね。曲部分は幽希にお任せしたんだ。アムールレコードのYouTubeチャンネルを立ち上げるきっかけになったし、そっからだよね、幽希が映像に目覚めるの。2019年はMVを作りまくるという(笑)
幽:ヒビノさんに任された事をきっかけにハマってしまいましたね。最初は、iPhoneに元から入っているアプリ『iMovie』を使っていただけなんですけど、今は、色々な映像加工アプリを取り込んで編集作業が楽しくて。でも、iPhone内で編集を完結させるという自分の中で縛りを設けています。その中でも、『人間天国』のMusic Video
があって仲間のフィリップス齋藤くんという男の子と協力して撮ったんですけど、自分から自分に〝はなまる”をあげたい位、「良く表現出来たな!」と想える映像があるので、是非観てほしいですね。
ひ:え!あれ全部iPhone内でやってんだ!びっくり。
しまいにゃ『道草人間ドキュメント』なんて作っちゃったりして。
幽:自分が登場しない動画も作ってみたくて。道草さんは、60代のおじさんなんですけど、心は少年性が高くて純粋なので好きなんですよね。天然記念物みたいな人です。
ひ:そして2020年4月に『おばけによろしく』、5月にはボーナストラックを追加して『kizetsu(都合により " キ・ゼ・ツ ")』をサブスク配信開始しました。手軽に聴けるようになったから、いろんな人にいっぱい聴いて欲しいとは思うけど、できればCDで手に入れて、ジャケットや歌詞カードを手にとって楽しんで欲しいなと思うよ。
幽:そうですね。外出時に聴く時はiphoneを携帯していれば聴けれるのでサブスクは便利だと思うんですけどね。僕は歌詞カードを眺めながら聴くのが好きなので。紙質や色にもこだわって手作りしたので、そこにも触れて感じてもらいたいですね。
ひ:そして2021年には新曲の手の込んだライブ動画のYouTube配信やInstagramでのライブ生配信にチャレンジしましたが、どうでした?
幽:コロナ禍に入ってから、ライブをさせて頂く機会はかなり少なくなってしまったんですが、表現したい気持ちは変わらず持ち続けています。人と直接会さない方法で自分の作った音楽を観て聴いて感じてもらえる場所となると、やはりインターネット上での配信になりますよね。
YouTubeチャンネルでは、『おばけによろしく』以降に出来てきた歌たちをアップしています。
Instagramのライブ生配信は、よく使い方がわからないまま勢いに任せて決行したので、色々と失敗してしまった所が。時間制限があること知らなくて、ライブ途中なのに配信終了しちゃったり。またリベンジしたいですね。
ひ:そうだったんだ(笑)でも貪欲にいろいろとチャレンジするのは、いまや幽希らしいなって思います。こうやって9年間を振り返ってみて思うのがね、幽希の音楽やライブってアングラさを感じさせるんだけど、活動や企画はポップなんだよね。意外にポジティブで熱い(笑)。そこが面白い。そこのギャップが不思議だけど魅力的だと思います。
幽:ありがとうございます。
ひ:長々とありがとうございました。これからもできるだけ、出来ることでサポートしていきますんで、よろしくお願いします。
幽:こちらこそ、ありがとうございました。なかなか過去にやってきた事を思い返すことがないので、僕にとってもいい機会となりました。みなさん、これからもよろしくお願いします。
(終)
幽希『おばけによろしく』CD は
" アムールレコード Base " で買えます。
◎サブスク各社でもDL•ストリーミング配信中です。(下記がリンクページです。)