卒業式の思い出 レミーマルタンVSOP
卒業式の思い出「#みんなの卒業式」のタグで募集していたが、あまり卒業式の楽しい記憶が無い。絞り出しても微かな記憶しか甦ってこない。
1.小学生時代
当時の学校は卒業式には中学生の制服を着用するのが義務ではないが当然の風潮だったので、それに反発して一人だけ私服(ジャケット・ジーンズ)で出席した。
2.中学生時代
クラスになじめず、卒業式が終了後にダッシュで帰宅
3.高校時代
卒業式後、仲の良かった友達と写真撮影した。そのまま帰宅。
4.大学時代
卒業式後、なじめなかった研究室で打ち上げ。特に会話をする人も少なく、つまらないまま一次会で帰宅。
今でもそうだが地味でネクラで協調性の無い人間だったな‥改めて思い知らされる。その時の式場・式後の教室・高校生活最後で去る校舎の情景まで記憶に浮かんだが、余計に淋しい気分になりとても後悔した。
でも一つだけ、noteに書けそうな思い出深い話が浮かんできた。それは高校時代とてもお世話になった先生に卒業式にしたプレゼント。その先生は化学の先生で高校3年間一度も担任や部活動の顧問などの関係はなかったが、化学について勉強を必死になり教えてくれた先生。
私は高校3年のクラス割で受験大学の文系コースにいたのだが、途中で食品化学について興味を持ったため、理系の受験科目も勉強することになった。ところが文系コースでは化学についての授業があまり熱心ではなく、志望校の化学の試験に授業や予備校・自習だけでは対応できない。分からないことだらけ‥悩んだ結果、3年生の秋頃に化学を教える先生に事情を説明し、それならばと分からないことがあれば適宜丁寧に説明してくれ、勉強にも付き合ってくれた。
その先生は化学準備室に机があり職員室よりずっとその机で仕事をしていたので化学を教わるのは準備室で二人っきり。放課後フラっと準備室に入り「ここ、分からないンだけど教えて!」と気軽に訊き、そのまま化学の勉強をさせて貰った。
化学準備室は実験台には真空機、ビュレット台、恒温槽、試験管・ビーカーなど入れられたカゴなど無造作に置かれ、大きな本棚には化学系の書籍が大量に並べられ、中には出版社がサンプルで置いていった大学受験の参考書まであった。それを先生は「要らないから」とタダで貰ったり‥
年を越し本格的な受験シーズンとなると毎日化学準備室に立ち寄り教えを受けた。大学の過去問から想定される問題の説明や大学受験後に持ち帰った化学の問題から採点・解けなかった問題より不足する知識の捕捉など‥
大学受験の結果、最後に受験した1校だけ合格を得られ浪人せず進学できた。進学できたのは熱心に分からないことだらけだった化学を熱心に教えてくれた先生のおかげ。感謝の気持ちを込めて何かプレゼントしようと思い浮かんだのは「酒」だった。それは、化学準備室で勉強させて貰った際に「酒好きで毎日飲んでる」「酒旨いの飲みたいな」「昨日も帰宅してから大量に飲んでたよ‥」など酒にまつわる話を何度も聞いていたので「お酒、それも美味しいお酒なら喜ぶだろう」と酒が一番喜ぶだろうと。
大型酒店へ行くものの酒の味も分からないので何が美味しいお酒なのか当然知る余地もない。そこで、「見栄えが綺麗で値段が高ければ美味しいだろう」と勝手な推測の基、酒の棚に並ぶ酒で「瓶」「箱」が豪華そうで、値段も高校生にしてはかなり高価(5,000円くらいだった記憶)だった「レミーマルタンVSOP」を購入した。
卒業式後、化学準備室に趣き先生に「これ、大学受験勉強のお礼で‥あげるよ」と差し出すと「えええ!こんな高い酒!すげえ!勿体無くて飲めえよ!」と驚かれたのを今でも覚えている。
1年後、大学生となり所用で高校に行く用事があったので久々に化学準備室を覗くと、先生は相変わらずいた。実験台も無造作に色々と置かれ本棚もそのまま大量の書籍が置かれていたが、レミーマルタンVSOPは箱の封も切られず本棚に並べられていた。
それを見て少し笑ってしまった。
先生は何をしているか分からないが、今思えば担任でもない一人の化学教師がこんなに熱心に私へ指導してくれたことは何て贅沢な行為であり空間を与えてくれたものだと、この文面を綴りながら感謝の念が沸き上がってきた。この場を借りてお礼を申し上げたい。
※この話は20年前の話です。当時は学生でも普通に酒は店頭で買えました。あと酒を高校に持ち込むこと自体許されぬ行為ですが、私は飲んでいません。どうかおおらかな気持ちで読んで下さい。
野球関連の事柄を書きます NPB:千葉ロッテ、BCL:埼玉武蔵ヒートベアーズファンです