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梅津庸一展 ポリネーター ワタリウム美術館 レポート

美術家である梅津庸一の個展「ポリネーター」が、ワタリウム美術館にて9月16日(木)から開催されている。
初期作品から近年力を入れている陶作品までがずらりと揃う展覧会になっている。

私が訪問したのは展示初日。梅津は開館直前までの搬入作業でかなり疲労していて、次々と来館する鑑賞者への対応で忙しくしていたこともあり、本人からは話をあまり聞けず、私はパープルームメンバーの安藤裕美と展示を周り、作品にまつわる話を聞いた。


やはり興味深かったのは、各所に置かれた陶たち。場所によっては所狭しと並べられていた。同じタイトルで兄弟のように形が似た作品や、中には割れてしまったものを集めて作った作品もある。瓶の周りに陶を付けて成形し、そのまま窯に入れて焼くといった、通常はしない焼き方をした作品もあるという。
また、ふつう作品全体を釉薬に漬けたり、部分的にしても綺麗に色分けされている作品を想像すると思うが、梅津はドローイングのように釉薬を筆で付けているらしく、それが独特の形と相まって、鑑賞者側にも夢中で作っている様子が想像出来るものになっているのではないかと思う。


ワタリウム美術館地下のライトシード・ギャラリーで同時開催されている『ポリネーターの落し物』にも陶作品が多数展示されている。

膨大な陶作品を作るために展覧会前の数ヶ月間、信楽でひたすら制作に没頭していたというそのストイックさは、想像を絶すると共に、やりたいことにひたすら集中できるというのは、羨ましくもある。というのも、筆者も作品を作っている身なので、美術に対するそういった姿勢には、さまざまな刺激を受ける。

本展は新作の陶だけでなく、これまでの活動を振り返ることが出来る、重要な過去のペインティングやドローイングなども一挙に展示されている展覧会でもある。
是非この機会に、梅津庸一の世界を堪能してみては如何だろうか。


挿絵:筆者



梅津庸一展 ポリネーター
ワタリウム美術館
2021年9月16日(木)〜2022年1月16日(日)
会期:開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(9/20、1/10は開館)、12/31〜2022/1/3
入館料:
大人 1,200円 / 学生(25歳以下)1,000円 / 小・中学生 500円 / 70歳以上の方 900円
ペア割引:大人2人 1,800円 / 学生2人 1,400円
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方:ご本人 700円 / 小・中学生 300円 /
介助者(1名様まで) 1,000円
パスポートチケット:1,500円
※詳しくは美術館HPをご覧下さい
http://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202109/




筆者について
渡邊亜萌(美術家)
1993年神奈川県生まれ。
2016年明治大学文学部文学科演劇学専攻卒業。
2018-2019年度美学校『中ザワヒデキ文献研究』正規受講生。
2020年個展『強いAI』
2021年12月個展『人間らしさを守る人間の会』(予定)
参考記事:渡邊亜萌個展『強いAI』
Twitter: @amoe15821971

レビューとレポート第29号 (2021年10月)

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