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ダークグリーンの答え

戦車模型、特にWW2ドイツ軍を作っていると避けては通れない迷彩にダークイエロー、レッドブラウン、ダークグリーンの三色迷彩がある。これらは時期によって微妙に色調も違うし、現地で迷彩していた時と工場で迷彩を入れていた時とでも色調もパタ―ンも千差万別だ。いや、大戦末期の工場での迷彩はパターン化されてるはずではあるが。現地で希釈する時にも色味の影響は出る。まあ、実車の話は詳しくないので程々にしておこう。
ぼくは正直この三色迷彩が苦手だ。色味もパターンもなかなか「これだ!」という仕上がりにならない。この迷彩は各種メーカーからこの三色がラインナップされているが、当時の色調を再現したもの、スケールエフェクトを考えたものなど、同じ色の名前でも同じ色にはならないのが面白い。これらをそのまま塗装して満足出来ればよいのだが、意外と使わないんだよな。

最新作である。

最近このイタレリの1/35 Sd.Kfz.234/2を仕上げた。しばらく前からちまちまと工作を続け、ワンフェスも終わってちょっと時間が出来たのでブワーっと仕上げてみた。 
塗装途中、ダークイエローの単色迷彩でもいいかなあと思いつつ、むしろ仕上げの幅が広がる「ベーシックな三色迷彩」の練習も兼ねるかと塗料ラックから色を探す。上記したように各メーカーからズバリの名前の塗料が出ているものの、ぼくはそれを使わず「好きな色調の色」を選んでいる。普段基本塗装に使っているのがGSIクレオスのMr.COLLARなので、ダークイエローはC44タン(ライトブラウン)、レッドブラウンはC43ウッドブラウンを好みでずっと使っている。さて、そうなるとダークグリーンは?という話になるが、これがなかなか決まらずだった。これまでいろんなグリーンを試してきたが、イマイチ「これだ」っていう色と出会えなかった。

今回の三色。

また今回もダークグリーンが決まらないなあ…と思ってたが、試しも兼ねてガンダムカラーのUG07 MSディープグリーンを試してみた。ザクの胴体用の専門色だ。
ぼくは三色迷彩の時はダークイエロー→レッドブラウンを塗ってから最後にダークグリーンを入れる。最初のひと吹き目は若干白っぽくて不安だったが、全体に迷彩パターンを入れていくにしたがい「…これはいいのでは??」となった。さらに基本塗装後の汚しなどでも残ってほしかった「ダークグリーン感」が消えずに残ってくれた。
正直盲点だった。このザクグリーンはわりと前からラインナップされてるし、これまで何度もこれでザクを塗装している。ダークグリーンとして使おうという気にならなかったというより、そもそも手に取ることすらしていなかった。何故かはわからないのが不思議でもある。

タミヤのヴィルベルヴィント。

話は前後するのだが、ぼくは基本色はあまり混色したくない。極力瓶生で塗りたい。理由としてはものぐさなところもあるが、複数作った時に「色味が大きく違わずに並べても違和感が少ない」からだ。実際ダークイエローも43年と44年では色調も違うのだが、そういうところは気にしないようにしている。知っててスルーするのと知らずに塗るのは違うからね。まあともかく内藤あんものダークイエローはC44タンの瓶生なのだ。あ、1/72とか塗る時はホワイトを加えて調整はするけどね。
このヴィルベルヴィント(2017年制作)ぐらいからうまくまとめられるようになってきたなあと自画自賛しているが、ダークグリーンはすごく悩んだ記憶がある。何使ったかなーC303かなー。わりと暗めのダークグリーンだなと思う。

タミヤのシュトルムティーガー。

このシュトルムティーガー(2022年制作)はわりと明るいダークグリーンにしてみたが、彩度が高めな感じで塗装中はちょっと不満だった。仕上がっちゃえばそこまで気にならないけどね。

ウェザリング後でもいい色味が残る。

そんな「常に悩ましきダークグリーン」だったのだが、このSd.Kfz.234/2でかなり答えが出たんじゃないかなと思うのだ。いや、繰り返すけどこれはあくまでぼくの好みの色調の三色迷彩であり、実際の色を再現してるわけではない。でも1/35の戦車模型に瓶生で塗った時に「あーちょうどいいな」と思う色を発見出来たのがすごく嬉しかった。

この「瓶生でちょうどいい色を選ぶ」というのは塗装の時の楽しみでもある。混色が嫌いというわけでもないし、必要な時はちゃんと混色する。混色で目的に近い色を再現できる時も嬉しいのだが、むしろ瓶生で選べたほうが嬉しい。だからこそ似たような色調の色はたくさん買い揃えておき、さてどれが近いかなあと選ぶのだ。この悩み時間も嫌いじゃない。

ダークイエローが同じだから並べてもそこまで違和感ないね

あとは瓶生に拘るのは先に触れたように全然違う時期に仕上げた完成品を並べた時でもそこまで「同じ軍隊の塗装として違和感がない」ようにしたいのだ。何度もいうように時期、場所、環境によって同じ三色迷彩でも随分印象が変わるのは事実だが、模型的見栄えとして「色味を揃えておきたい」というのはわりと拘っているポイントかもしれない。そんな事をボンヤリ考えながら次は迷彩パターンの試練が待っている。俺達の模型制作は常に勉強だ。■

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