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「どちらが先に口火を切ったのか、もうわからない。」vol.4

ゲスト:山本精一
2017/7/21 @三鷹scool

「口火シリーズ・大谷による各回の記録とレヴュー vol.4」

 四回目のゲストは、ミュージシャンの山本精一さんでした。BOREDOMS、ROVO、羅針盤、想い出波止場、PARAその他、膨大な数のバンドやユニットに参加し、ギターを弾き、曲を作り、歌を唄ってきた山本さんは、妄想と現実が交錯するような小説/エッセイの書き手でもあり、『ギンガ』や『ゆん』や『イマユラ』といった滅茶苦茶おもしろい著作を上梓しています。「口火」のゲストとして真にうってつけな存在として、登場していただき本当に光栄でした。 

 テーマは「歌を朗読する」。どういうこと? かといいますと、わりとそのまんま、歌を選んで、その楽曲の歌詞を作曲から切り離して、独立した詩として声に出して読んでみる。という試みです。三人でひとり10曲くらい色々と用意して、曲の背景や選んだ理由などを解説しながら、ゆっくりしっかり、旋律やリズムを剥ぎ取って、ステージの上に乗せて、うたのことばとあらためて向き合ってみるとどうなるか? という実験をしてみようと思った訳です。歌詞を読んでみたあと、実際にオリジナル曲を聴いてみたりして、そのあいだにあるギャップとはなんなのか? あと、もともとその曲を知っていた場合と、知らなかった場合で言葉の聞えかたはどのくらい異なるか……とか、実際にやってみないとわからないことっていうのはけっこうある訳で、もしかするとこの回が一番「実験」的な企画だったかもしれません。

 ステージには一応ギターと、書道家でもある精一さんのために書道セットも用意しました。前回まではライブのあとに休憩を挟んで後半にトーク、という構成だったんですが、この回は休憩なしで、一曲読んで聴いて喋って……というシームレスなかたちで。以下、ざっくりとステージ上で読んだり聴いたりした楽曲を(記憶にもとずいて)並べてみます。

 『どーなっちゃってんだよ』(岡村靖幸/大谷)、荒木一郎のフォーク曲(山本)、『こわれてしまったわたしのきかい』(ビイドロ/吉田)、『G.o.a.p』(ムーンライダーズ/大谷)←三人とも大好きムーンライダーズ、『GAPPING』(フリクション/大谷)、『涙から明日へ』(堺正章/吉田)←「山下毅雄を切る!」ver。歌詞カードが見つからず実際は読まず。『雨やどり』(さだまさし/山本)←「怖気をふるうほどに嫌い。というか気持ち悪い。なのであえて読んでみる」とのコメント。朗読完走後、弾き語りも! 『眼がさめる前に』(山本精一/大谷)←違う曲だったかも。とにかく『Rhapsodia』から一曲。「人が読んでるの聞くのは変な感じですねー」(山本コメント)、『トラベリング』(宇多田ヒカル/大谷)←最後にプレイだけ……などなど。

 「朗読」だと言っているのにイルリメなど何度も単に自分が好きな曲をかけようとする吉田アミ、「猫じゃ猫じゃとおっしゃりますが〜」の小唄勝太郎なども用意してきたが、やりそびれた山本精一、スピッツやスマップなどのメジャー曲も持ってきていたが出来なかった大谷、などなど、二時間にわたって話題は無軌道に拡散しまくり、「言葉による時間の構造化」という観点から見れば、この回の時間構造の、即興だからこそ出来た複雑さは、このまま譜面におこして再現できるようにすれば滅茶苦茶面白いものにはなったと思います。 

  山本さんSNS上の動画UP基本NG(山本さん今回だけではなく、動画の投稿公開はすべて断っているとのこと。あと、著作権保護しっかり入っている楽曲はyoutube投稿するとすぐに消されますね。やってみたら限定公開にもかかわらず即削除されました……)ということで、この回の記録は写真アーカイブでお楽しみください。とは言え、記録映像は残してあるので、その映像にもとずいた漫画によるレポートなどを、これから依頼してまた掲載する予定です。お楽しみに。

『口火 Vol.4』記録写真 : Hideto Maezawa

『口火 Vol.4』写真アーカイブhttps://www.flickr.com/photos/amiyoshio/albums/72157688365535546

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