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東京ステーションギャラリーで宮脇綾子の芸術展をみた
宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った
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先日、東京ステーションギャラリーで行われた「宮脇綾子の芸術」展を見てきた。彼女についてはほぼ事前知識がなく、ただ告知をみて心ひかれ出かけた。彼女を表すのに「布絵作家」とか「アプリケ作家」といった呼び方が見られるが、この展示ではあくまでひとりの造形作家として美術史の文脈や言葉で紹介していく試みとの事。
シンプルな技法の魅力
日ごろ手仕事に親しんできた自分でもアップリケのイメージはやや単調でひと昔前ならつぎ当てであったり、誤解を恐れずいえば手芸の中でも子どもじみた印象があった。実際に子どもの頃に縫いものの手習いとしてアップリケを周りの大人から教わる事もあった。だからこそ作品がどんなものかとても興味がわいた。
徹底したアップリケ縛り
実際に作品を見るとそれまで抱いていたアップリケに対する印象は覆される事となったし、徹底して他の技法を使わずに表現がされている事におどろいた。細い線の表現など、刺繍のようにみえる所も細く切った生地や紐そのものを縫い付けて表現されている。(一部、点を表現する所のみフレンチ・ノットのように刺してあった)他の技法を排除しアップリケのみにすると余りこまかな表現は出来なくなるが、そんな事は全く問題にならない、生き生きとした作風が見ていてたのしかった。
遊びのある素材えらび
彼女の作品は自身で収集した古布を材料としているが、そこを見ていくのも面白かった。モチーフに寄せた色みでまとめた物もあれば対象と全くちがう柄ものや素材感の生地をつかう作品もあり、どれもユーモアに溢れていた。中には使い古しのコーヒーフィルターや皮革やストーブの芯といった物まで作品に仕立ててあり、そこは時代性でもあり素材への親しみの感情が見てとれた。
雑誌暮らしの手帖で花森安治の手がけた表紙のイラストは多くの方が目にした事があるかと思う。平面で表された野菜やフルーツの断面やお台所の道具たちのアプリケ作品は花森氏の作品に通じるものもあり両人とも"暮らし"を自分たちの手で美しいものにするバイタリティにあふれ、その様な事を大切にされていたのではないかとも感じた。
会場となった東京ステーションギャラリーは駅開業当時の古いレンガを生かした創りでそのレンガとも相まって味わいぶかい展示でした。
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帰り道に都内でも好きな場所のひとつ銀座ウエスト本店に立ち寄った。意識して行った訳ではないがここは1947年に創業、宮脇綾子は1945年に活動を始めている。物がない時代にあつめた古布で自分や周りを明るく照らすような作品を生み出していた人が居た事を知りとても良い午後となりました。
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