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【脳外科医が解説】 インプットとアウトプットの違い - 脳の機能と失語症から考える-
こんにちは、脳外科医のあみとです!
日本では詰め込み型教育が流行し、
様々なことを暗記させることが重要視されてきました。
そんな教育の弊害か、インプットができていても
うまくアウトプットできない人が多いのではないでしょうか。
インプットとアウトプットの違いは何でしょうか?
脳の機能と失語症を通して考えてみましょう。
インプットとアウトプットのちがい
インプットとは、情報や知識を脳に取り込むことです。
一方、アウトプットとは、脳に取り込んだ情報を活用して考えたり、
話したり、行動したりすることです。
これらは脳の異なる部分で処理されています。
失語症と脳の障害部位
脳外科という仕事柄、いろんな症状の脳卒中の患者さんを診ます。
その症状の一つに失語というのがあります。
言葉が話せなくなることです。
失語には大きく分けて2種類あり、
運動性失語と感覚性失語に分けられます。
感覚性失語は、言っていることは理解できないものの、
話すことができる状態です。
この場合、とりとめもない意味不明なことを話します。
この感覚性失語は側頭葉の障害で発症します。
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運動性失語は、言っている意味は理解できるものの、
自分で話すことができない状態です。
書くことも難しいことが多いです。
この運動性失語は前頭葉の障害で発症します。
感覚性失語はインプットの部分が障害されていると言えます。
一方、運動性失語はアウトプットの部分が障害されていると言えます。
このようにインプットとアウトプットで使っている脳の部分は
異なっています。
インプットだけしても上手くいかない理由
このように
インプットだけを行っても、
すぐに思い浮かべたり、
使いこなせないのは、
使っている脳の部分が異なるからです。
闇雲に一つの方法に固執しても
使われる脳の部分は限られてしまいます。
固定化された一つの方法だけでは、脳の成長は難しいでしょう。
例えば、語学学習では、単語や文法を覚えるだけでなく、
実際に友人や先生と会話をすることで、言語を使いこなせるようになります。
スポーツでは、技術や戦術を理解するだけでなく、
実践を通じて身につけることが大切です。
まとめ
脳のいろいろな場所を働かせることで、
インプットしたものは自由自在に使えるようになり
実生活に役立つようになります。
この記事では、インプットとアウトプットの違いと、
それらが脳の異なる部分で処理されることを
失語症を通じて説明しました。
効果的な学習のためにも、
インプットとアウトプットのバランスを大切にし、
脳の機能を最大限に活用しましょう。
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記事を読んでくださってありがとうございます。
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脳外科医あみと が
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