【脳外科医が解説】 脳内グリコーゲンが維持するエネルギー:運動時の疲労を克服するための星状細胞の役割
こんにちは、脳外科医のあみとです。
脳の疲労感ってどこからくるんでしょうか?
こちらは筑波大学が行った研究です。
脳内のグリコーゲンと疲労感が関係あるんじゃないかというものです。
本研究では、ラットを用いて長時間の運動における脳内グリコーゲンの役割を調べられています。
筋肉グリコーゲンが運動中に使われることが知られているように、
脳内の星状細胞に蓄えられたグリコーゲンが
運動時の脳内エネルギー源として、乳酸トランスポートを通じて
持続的な運動耐性を維持する役割を果たすのではないかという仮説を立てています。
長時間の運動により、筋肉グリコーゲンが枯渇し、血糖値が低下し、セロトニン活性化などの中枢疲労因子が増加することがわかりました。
脳内グリコーゲンの減少が中枢疲労の因子となっていることが示唆されていました。
長時間の運動により、脳内の乳酸トランスポーターであるMCT2の発現が増加することがわかりました。
これにより、脳内神経細胞での乳酸取り込みが促進され、
筋肉でのMCT増加と同様に脳でも乳酸がエネルギー源として利用されることが示唆されました。
さらに、代謝解析の結果、脳内ATPは乳酸やその他のグリコーゲン分解生成物によって維持されることがわかりました。
このことから、脳内グリコーゲンが長時間の運動時に脳内ATPを維持することで、疲労から神経細胞を保護する可能性があることが示唆されました。
最後に、グリコーゲン分解抑制剤や乳酸トランスポート阻害剤を使用した実験により、
星状細胞由来の乳酸が脳内ATPの維持に必要であることが示されました。
これらの結果は、星状細胞由来の乳酸が脳内ATPを維持し、持続的な運動耐性を維持することで、神経細胞を疲労から保護する可能性があることを示唆しています。
脳内のグリコーゲン代謝産物である乳酸が中枢性の持久力と関係しているんじゃないかという研究でした。
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某大学病院で働く 脳外科医あみと が
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