【脳外科医が解説】覚えておくべき記憶の種類
こんにちは脳外科医のあみとです。
「記憶力を良くしたい!」
そう願っている人は少なくないと思います。
しかし実際、この「記憶」について深く考えたことはありますか?
一言に「記憶」と言ってもその意味はさまざまです。
今回はそんな記憶について脳科学的に見ていきましょう。
誰もが一度は、
「なぜこの情報を覚えているのに、あの出来事を思い出せないのだろう?」
と考えたことがあると思います。
これは、記憶にはさまざまな種類があり、私たちの脳には、たくさんの情報や経験を保存するための複数の「記憶のボックス」が存在していることが関係しています。
具体的に記憶は大きく短期記憶と、長期記憶に分けられます。
短期記憶 :
新しい知人の名前、電話番号などを一時的に覚える記憶です。これらの情報は海馬によって数秒〜数分間保存されます。ワーキングメモリーとも呼ばれていますね。
一瞬の風景、香り、音・・。こういったものは短期記憶の中でも、感覚記憶と呼ばれ、数秒だけ保存されます。
短期記憶のうち、海馬によって重要と判断されたものが、大脳皮質へと送られて長期記憶へと変化していきます。
長期記憶 :
その名のとおり長く脳に保存される記憶です。幼少期の思い出や学生時代の経験などは私たちの長期記憶として、無限に保存されると考えられています。この長期記憶は、さらに陳述記憶や非陳述記憶に分けられます。
陳述記憶:
陳述できる記憶、つまり、実際に言葉や絵などで表すことができる記憶です。
特に、
「いつ、どこで、何をした」
というような具体的な経験の記憶はエピソード記憶と呼ばれます。
このエピソード記憶は、意識しないで自然と覚えられることが多いです。
「今日はデパートに出かけた!」、とかは頑張らないでも覚えていますよね。
一方、難しい言葉や数式の理解など、一般的な知識などの記憶は意味記憶と呼ばれます。
これはエピソード記憶とは違い、学習をすることで覚えられます。
これら陳述記憶は大脳皮質で保存されています。
非陳述記憶:
言葉などで表せない記憶です。
手続き記憶とも呼ばれ、体験を通じて身体で覚えた運動技術などです。
一度覚えるとなかなか忘れないのが特徴です。
これは、小脳が中心となって記憶を形成していると考えられています。
たとえば、子供の時に自転車を乗れるようになると、大人になっても乗れますよね?
自転車に乗る際、どのようにペダルを踏むか、手を動かすか。それは無意識のうちに身につけたスキルとして手続き的記憶によって保存されているからです。
一口に記憶と言ってもいろいろな種類があり、これらの記憶の特徴を知ることで、学習がよりスムーズになります。
勉強をしても成果が出ない人の特徴として、短期記憶から長期記憶へ移行をさせるのが苦手なことが多いと思います。
逆に勉強が得意な人の特徴としては、これらの複数の記憶の特徴を上手に使って、短期記憶から長期記憶へと情報を処理していると思います。
皆さんも記憶にもいろいろな種類があることを知った上で、
その特徴を上手に使うことで実生活に役立ててください。
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記事を読んでくださってありがとうございます。
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脳外科医あみと が
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