某ところへの応募作

『コンテスト荒らし』

 牛乳の早のみコンテストから戻ったカレの様子がおかしい。
 あの…さ…
 ロごもる。
 ムシして
「賞金」
 手のひらをさし出すと、
 金拾万圓也
と書かれた祝儀袋が乗った。
 でもって副賞が…
 副賞?
 振り向くと、みごとなホルスタイン一頭と執事がいた。
 執事?
「北村と申します。一か年、エルス様のお世話をいたします」
 ダンディーな、初老の執事が牛の世話??????

 それからーか年、北村とエルスはうちにいて、あたしとカレは新鮮な乳製品に、一切不自由しなかった。


 ※ ここで終わりでもいいのですが…(笑)


 二年後私はキタムラ牧場を訪れた。
 カレとはとうの昔に切れていた。
 執事は汚物まみれになりながら、牛舎で牛たちの世話をしていた。
「奥様」
「シングルシングル。あんな奴とは別れたわよ。あなたここの跡取りだって?」
「不甲斐なくも独り身ではございます」
「コンテスト荒らしの使い古しでよければ雇わない?」
「!」
 目パチクリの執事にキスすると、あたしの再就職は即決した。
 その間もエルスはもくもくと飼料を食んでいる。
 女を落とすのはやはり胃袋。
 あたしはエルスにナンパされたんだな。
 悪くない。

それでも地球は回っている