レインズ・デイズ・アフター⑦仲間
翌年裕太は映画七本主演し、CMは22種類。
テレビドラマはお付き合いで二本ほど主演したが、あんまりやりたくないみたいだった。
俺?
俺は演技はむり。
裕太映画にサービス出演何度かしたものの、あまりの大根ぶりに声がかからなくなった。
唯一うまくいったのは、ダンスバトルをテーマにした、
ダンス男子ンダンシング
という一本だけ。
ダンスバトラーの一人を演じた。
仮面のダンサーという設定だったので、気楽にやれたのだ。
やっぱ踊るのは楽しい。
調子に乗ってテレビの深夜枠で、ダンス登龍門番組持たせてもらったけど、出場者と優勝者があまりにも情実で選ばれるので嫌気さして、2クールめから弟グループの、少年Tに仕切りを譲った。
そのせいか、少年Tこと龍村達也、高見隆弥、鯛川ティリーはけっこう気楽にレインに絡んでくれるようになった。
裕太と話したがらない連中の中にも、俺となら話す、みたいな連中も出てきた。
特にティリーは俺を兄貴呼ばわりで、やれステップおしえろだの、即興苦手だの、言いたい放題を言いにくる。
もともとノリでつるむの好きなので、けっこう一緒に遊ぶようになったが、もちろん裕太のケアは怠らなかった。
裕太の“仕事”は明らかに増えていた。
母君がマムンから、勝手に七百万借りたのだ。
映画を撮るとか言っていたが、今日び七百万で撮れる映画はまずない。
誰かか何かに貢いでいることは間違いなかった。
自分で責任取らせろよ。
無理無理無理。
自分で責任取れるくらいなら、こどもティアーに売ったりしないよ。
美しいルックス、美しい肢体、表現力もある、声もいい。
なのになぜ、君は幸せになれない?
俺は胸をいためつつも、ただただ裕太を見守っているしかないのだった。
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