レインズ・デイズ・アフター番外編⑤レイン・クルーズ悠斗ファン編(後編)
撮影会。
似顔絵会。
一緒に料理。
立場入れ替え。←ファンがパフォーマンスして、他のファンと悠斗が盛り上げる。
『何でもいいからやっちゃってー!』
のコールかけたりして。
歌真似、振り真似、家族の不平、等々出てくる出てくる。
こんなたのしみかたもあるのかー、みたいな、まさにまさにそんな感じ。
そしてついにクライマックス。
全員競泳大会がきたのだ。
まさしく対抗戦。
規定距離泳げない人は歩いていい。
六十七人と三十三人なので、めちゃめちゃアンバランスな戦いなのだけど、このままでいいよね。
あたしら二周回ろう。
悠斗は、
無理しないで!
と繰り返してたけど、あたしたちはもう完全やる気だった。
クルーズの間中、いろいろ楽しませてくれた悠斗に、最後に大きく恩返ししたい!
コノちゃんと、真奈ちゃんは、二人で一規定距離。
あとはみんなでファイトだ。
泳ぐ。
泳ぐ。
悠斗ファングループがアツいので、なんか煽られて私らも必死で泳ぐ。
六十七人対三十三人。
私らは一回泳げばいい。
でも悠斗ファンは二回ちょい。
泳ぎきれなかったら歩けばいいので、そんなに深刻なものじゃない。
けど悠斗ファンたちは頑張る。
頑張る頑張る頑張る頑張る。
最後の一人は泳ぎに自信があるのか、コースを二倍ずつ泳(や)った。
つまり彼女は確実に、四回分以上泳いでいるのだ。
何でそこまですんのよ!
思わず叫んだ私に、ゴールインした彼女は答えた。
悠斗好きだから。
ほとんどぴったり同着の、二秒もない差で悠斗ファングループが勝利したのだけど。
トリが出なきゃ大会終わんないでしょお!!
いきなり悠斗がTシャツ脱いで飛び込んだ。
もう泳いでる。
こいつう!!
裕太もTシャツ脱いで飛び込んで行った。
男と男の対決だ。
先行悠斗、追い上げる裕太、抜いた、ああっ、抜き返された!!
追いつ追われついい勝負。
どっちのグループも懸命に応援する。
裕太!!
裕太さん!!
悠斗!
悠斗さん!!
頑張れーっ!
どっちも頑張れーっ!!
そうなのだ。
声援はいつしかどっちも頑張れに集約されていった。
同じレインのファンなのだ。
どっちがどっちじゃないのだ。
裕太が泳ぐ。
悠斗が泳ぐ。
美しい者と補う者。
そうした者たちを支える者。
私たちは互いに支え合い、補い合っている。
私たちは数あるティアーの中で、レインを選んだ。
ソニックでも5starsでもKYOTOでもなくレインを選んだ。
そんな私たちが推しを争ってどうするのだ。
レイン愛してる。
レイン!
レイン!!
手が、壁に着いた。
どっちの手だか。
どっちが先だったんだか。
船上はいつまでも、大きな歓声に湧いていた。
いつまでも。