二次創作につき無断転載厳禁
漫画家のかっぴーさんが
明日地球は滅ばない
とおっしゃるので
ちょっといたずらっ気で、
明日地球が滅ぶなら
という弱虫ペダルの二次創作を持ってきました。
こっそり二次ですのでどうぞご内聞にww
『明日地球が滅ぶなら~二次創作弱虫ペダル新開隼人』
目が覚めると動けなかった。
ガリバー状態。
手も足も、頭も、髪まで、地面に貼り付けられている。
どういうことだ。
「気がついたな」
甲高い、かわいい声が聞こえるが、顔が動かせない。
あ、寄ってきた。
ほわほわした毛、長い耳、赤い目。
うさぎ…?
「うさぎでわない。うさぎさまだ」
わっ、何羽もいる!
「何羽でわない。何柱だ」
神か。
なんで俺を。
「罰だ。おまえはうさぎてらすおおめがみ様をてにかけ、そのごしそく様を私物化してると聞いた。その罪科によりしょけいする」
処刑されるのか、まあ、それも仕方あるまい。
話すうさぎが剣を抜いた。
「覚悟!」
振りかぶられて目を閉じる。
とそのとき。
「待て」
止める声。
剣が俺のぎりぎりで止まる。
現れたのは、長いローブを引きずったうさぎ。
頭には冠がある。
瞳を見て、思った。
もしかしてこいつ…
「なぜです、ごしそく様! こいつはうさぎてらすさまのかたき」
「かたきでもあるが恩人でもある。ていちょうにお連れしろ」
縛めを解かれた俺は城に連れて行かれた。
城は箱根山中のよくわからないどこかにあった。
城は広大だったが、あくまでうさぎのサイズ。
俺のとってはちょい手狭。
その手狭な中に俺専用の檻が…
これがまた狭い。
さすがにごしそく様もこれではだめだと思ったようで、
「きょ、きょうだけはわたしの部屋へ置く」
俺はごしそく様の居室へと通された。
大きな扉を閉ざしたごしそく様は、大きなマントと冠を取って、俺を振り向いた。
やはりうさきちだった。
「おめさん、これいったいどゆこと?」
「すみません。何と説明していいか…。僕もまだ、話聞いたばかりで…」
しきりに頭をかいている。
「おっかさん。女王様だったのか」
「それはほんとうみたいです。でもって僕たち…ウサギじゃないみたいで…」
「どっから見てもウサギだけどな?」
いつもみたいに持ち上げて、しげしげ眺めると、
「しげしげ眺めないでください」
手足を振ってじたばたする。
かわいくて、思わずぎゅーっとした。
「もう絶対だめですからね!」
教師に叱られるみたいに、目の前で短い前足を振られている。
「だって腹も減ったし…なんか集中しないし」
「そう思ってお食事用意させました。きっと喜んでいただけます」
うさきちが前足をポンポンと打ち合わすと、うさぎの美人メイドが六人くらい力を合わせて『食事』を運んできたが、大きな銀盆の上に乗っていたのは、山盛りのパワーバーと六本ものベプシだった。
「お好きでしょお?」
好きっていうか、そのつまり…
せめて味がチョコバナナならと思ったが、ハンで押したように全部プレーン。
うさきちいっ!
おまえは俺の何を見…
ベプシ!
それは俺の飲み物じゃないよ…
「おれのお気にの体調管理は」
「筋トレです」
「おれの口癖は!」
「俺は強い」
うさきちいいい…
「おめさん、自転車競技部の全員を好きだろう」
「はい!」
だろうな…
「だからみなさんをお連れして、この星を出るつもりなんです」
え?
「この星明日滅ぶんです。だからみなさん助けたくて。でもあなただけは助けちゃいけないって。母さまの…仇だから…」
言ってうさきちは涙ぐむ。
「でも僕はあなたと一緒に行きたい」
けなげな瞳が俺を見上げる。
「だから僕のお嫁さんになってください」
えええ???
「花嫁として選んだ人を、残していけとは、仲間も言わないと思うのです」
「う、うさきち…」
俺は震えて言葉にならない。
まずは種族が違う。
そして性別が同じだ。
そして…
「サーヴェロを置いてはいけないよ」
「新開さん…」
うさきちは、つぶらな瞳で俺を見ている。
「サーヴェロは運ばせます」
「じゃあ行く」
俺は前言撤回した。
やっぱり命は惜しい。
異種族同性結婚の件は、あとでゆっくり考えればいい。
その夜半、城~宇宙船~は、静かに、宇宙に向けて飛び立った。
遠ざかる地球を見ながら、俺ははたと気づいた。
これからの人生、俺は二度とチョコバナナ味のパワーバーを食べられないのだと。
この城にはプレーン味しかない。
振り向いた俺の目の前で今、地球が砕け散ろうとしていた…