今様牡丹灯籠

露子さん来てないか!

飛び込んできたのは新さんだ

躰の調子はどうなのかしら

気の毒そうにママが言う

薬が効いていると本人は言ってますが、どんどんお痩せになってますね

薬って、柳の葉でしょう?
飲みもしない
咥えさせられてるだけ
あれでは死を待つばかりよね

恋目が開いたら助かるのかしらと考えてもみたが
前世、お露さんと新三郎さんだったときは、新さん気づいたけどだめだった
たぶん今生も・・・


そう思いつつ外を見遣る
大きな牡丹の衣装の柄のドレスを身に纏った露子さんが、新さんに寄り添って去ってゆく
嬉しげに


さだめなら恋醒めさすな野暮の鳥

ふっと五七五が浮かぶ
二人がいいならそれでいい




バーもののけ
連作の拾壱


※ 牡丹灯籠そのものは
 明治の三遊亭圓朝25歳時の作
 だそうです
 もとは浅井了意の
 『御伽婢子』で、
 そのさらにもとは
 中国明代の怪奇小説集
 『剪灯新話』
 に収録された小説
 『牡丹燈記』だそうで、
 了意のを翻案する形で
 落語の怪談噺として
 成立させたのが圓朝だそうで
 翻案につぐ翻案ですな







それでも地球は回っている